サービス

千歳コーポレーション株式会社

IT インフラのクラウド移行を DX 課題に位置付け、
プライベートクラウド環境から Microsoft Azure への “Lift & Shift” を推進

IT インフラの Microsoft Azure 移行事例 千歳コーポレーション株式会社

IT インフラのさらなる “安全・安心・安定” を目指した Microsoft Azure 移行で
運用コストの削減とメンテナンス負担の低減を実現

三菱UFJ銀行が店舗を有する首都圏および主要都市のビルを中心に快適なオフィス空間を提供している千歳コーポレーション株式会社(以下、千歳コーポレーション)。同社は、全社的な DX 戦略の一環として、IT インフラのクラウド移行を推進し、途中段階として移行した外部データセンターのプライベートクラウド環境から “本丸” となるパブリッククラウド環境への移行に踏み出しました。パートナーに選定した JBS と協働し、IT インフラの Microsoft Azure(以下、Azure)への移行を成し遂げるとともに、今後の PaaS 化を見据えた体制を整えています。

【事業概要】
快適なオフィス空間とクオリティの高い賃貸マンションを提供

千歳コーポレーションは 1960年8月に、当時の三菱銀行(現、三菱UFJ銀行)をはじめとする三菱グループ各社の協力を得て設立された、オフォスビル賃貸事業を柱とする企業です。首都圏および全国の主要都市の駅近くに位置する三菱UFJ銀行が店舗を有するビルを中心に、快適なオフィス空間を提供しています。さらに現在は、長年のオフィスビル事業で培ったノウハウを生かし、好立地でクオリティの高い賃貸マンションも提供しています。

また、総合ビル管理やオフィス移転、工事などを担うグループ会社の千歳ファシリティーズと連携し、新時代におけるリアルな価値を創造するサービスをワンストップで提供。オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッド・ワークを支えるワークプレイスの設計から施工まで、トータルに提案しています。

【導入の背景】
プライベートクラウドを経由して汎用的なパブリッククラウドへ

多様な働き方を支える空間の価値を提供する千歳コーポレーションは、自らの DX 実現に向けて、クラウドの有効活用を IT インフラ戦略における最重点テーマの 1 つとして取り組んでいます。

多様化・高度化する社内の IT 課題を、外部のクラウドサービスを最優先で活用して解決していくという基本方針に基づくもので、これまで内製で構築・運用してきたシステムをオンプレミス環境からパブリッククラウド環境に移行する計画を立てました。

取り組みの起点となったのは 2021年です。本社オフィスリニューアルにおけるフリーアドレス化に伴い、社内に設けられていたサーバールームを撤去することを決定。これに合わせたオンプレミス環境の全面的なクラウド移行が始動したのです。ただ、一足飛びにパブリッククラウドへ移行するのは困難でした。

千歳コーポレーション株式会社 執行役員 システム部長 吉田 秀信 氏

千歳コーポレーション株式会社 執行役員 システム部長
吉田 秀信 氏

同社 執行役員 システム部長の吉田秀信氏は、「本社オフィスのリニューアル工事を短期間で完了する必要に迫られ、ひとまずは他社データセンターを借用する形でプライベートクラウド環境の IaaS に移行することになりました」と話します。

このプライベートクラウド環境に対してシステム運用上の支障や機能面に特に不満があったわけでありません。しかし、IaaS 状態のままでは、保有しているシステム資源の保守や EOS(サポート終了)に対応するための工数やコストが、いつまでも発生し続けることになります。

千歳コーポレーション株式会社 システム部 部長 藤田 淳 氏

千歳コーポレーション株式会社 システム部 部長
藤田 淳 氏

同社 システム部 部長の藤田淳氏は、「最大の懸念は、人材に関する課題です。EOS に伴うサーバー更改などの煩雑な作業を継続的に実施できるスキルと経験を有するインフラ担当者を確保することは、当社においても困難になりつつあります」と話します。

さらに同社 システム部 次長の磯部宏氏は、「プライベートクラウド環境の仮想サーバー群はスケジュールを最優先し、短期間で移行・構築されたこともあり、稼働の効率性や経済性といった観点から、果たして最適なシステム構成となっているのかどうか、確信を持てずにいました」と続けます。

そうした中、できるだけ早期に汎用的なパブリッククラウド環境へステップアップしたいという想いが、ますます高まっていました。「限られたシステム要員をインフラ周りの煩雑な運用管理から解放し、DX 推進を中心とした、より社員の業務に寄り添った施策に振り向けていきたいと考えています」と吉田氏は強調します。

【JBS 選定の経緯】
移行前のアセスメントから基盤の設計・構築、運用まで一貫した伴走支援

IT インフラ変革の “本丸” とも言うべき、パブリッククラウド環境への移行を進めるにあたり、同社は「全社の積極的な DX 推進を支えるため、万全な “安全・安心・安定” を備えた基盤を確保する」、「中長期的な運用体制の縮小や IT 維持コストの上昇を見越し、保守の低コスト化・省力化を図る」という、大きく 2つの目標を掲げました。

とはいえパブリッククラウド環境への本格的な移行は、同社によって初の試みであり、多くの懸念が次々に持ち上がりました。

「移行作業はどれほど複雑で煩雑なのか、内製してきた既存のアプリケーションは新環境でも円滑に利用できるのか、移行コストはどれほどかかるのか、移行後のランニングコストは確実な低下が見込めるのか、社内のシステム要員にはどの程度の作業負荷が発生するのかなど、『やってみなければわからない』 ことばかりでした」(吉田氏)

そこで同社は、このプロジェクトで協働するパートナーとして、JBS を選定しました。
「JBS との付き合いが始まったのは 2021年頃からで、それほど長い取引があるわけではありませんが、社内ポータルサイト刷新にも共に取り組んできた経緯があり、当社のシステムを熟知しています。常に的確かつ親身なアドバイスもいただくなど、新たなシステム施策を推進するうえで、JBS はかけがえのない存在となっています」(吉田氏)

同社が JBS を特に高く評価したのは、マイクロソフト製品に対する技術力です。

「JBS が日本マイクロソフトと非常に緊密な戦略的パートナーシップを築いていることを伺っており、数あるパブリッククラウドの中でも最有力候補としていた Azure への移行を進めるうえで、私たちの最良のパートナーとなり得ると判断しました」(藤田氏)

さらに JBS に対する期待は、単に Azure 移行の局面のみならず、その先のフェーズまで及んでいます。

「Azure のエキスパートとして豊富な経験を有する JBS ならでは、移行前のアセスメントから基盤の設計・構築、運用まで一貫した伴走支援をお願いできます。特に運用に関して 『マネージドクラウド for Azure』 を通じたサポートにより、当社側の保守・運用負担が軽減できることが魅力的でした」(磯部氏)

千歳コーポレーション株式会社 システム部 次長 磯部 宏 氏

千歳コーポレーション株式会社 システム部 次長
磯部 宏 氏

【導入効果】
当初想定を 30% 上回る運用コスト削減が期待

同社 IT インフラの Azure 移行は 2024年1月に開始し、アセスメント、要件定義、設計・構築・テスト・運用設計を経て、同年 12月までにすべての移行作業を完了。現在は、マネージドクラウド for Azure による本番運用フェーズに入っています。

「本来移行フェーズは私たちが主体となって実施すべきものであり、JBS は支援の位置付けでしたが、タイトなスケジュールで作業を完了させるため、当社側メンバーと一体となって積極的にプロジェクトに関与してくれました。他社製品を含むトラブルシュートにも大きな貢献を果たしていただいたことに、大変感謝しています」(吉田氏)

こうした評価に対して JBS クラウドテクノロジーサービス事業本部 コンサルティングサービス部の舟生は、「クラウド移行だけに限らず、あらゆるプロジェクトを妨げるのが、お客さまと参加ベンダーごとに縦割りされた役割分担と責任分界点による弊害です。私たちがその “隙間” を埋めて、プロジェクト成功に貢献できたことを嬉しく思います」と応えます。

  • 当初想定を30%上回る運用コスト削減が期待

  • 実際に今回の Azure 移行は、すでに多くの成果をもたらしています。

    「年間の運用コストが大きく削減される見込です。また、Azure 環境の強固な情報セキュリティ水準の享受が可能となったことや、マネージドクラウドの利用による運用・保守負担の低減も定性的な効果として挙げられます」(磯部氏)

    そして Azure への移行後も、同社は JBS と共に運用コストのさらなる削減策を導き出すべく検討を進めています。

    「今後 Reserved Instance を適用することで、運用も容易になるとの提案を JBS のサポートチームからいただきました。これにより当初想定を 30% 上回る運用コスト削減が期待されており、投資費用も 2年強で回収できる見込です」(磯部氏)

    【今後の展望】
    IaaS への移行完了を受けた次のステップとして PaaS 化に向かう

    集合写真

    今後に向けて同社は運用コストの削減とともに、IT インフラの安全・安心・安定のさらなる向上を図るべく、Azure 上で稼働するシステムの PaaS 化を進めていく計画です。

    「現段階はプライベートクラウド環境の IaaS で運用してきた基盤の、Azure 上の IaaS への “Lift”(リフト)が完了しただけに過ぎません。Azure 本来のメリットを最大限に享受するためには、クラウドネイティブなテクノロジーへの “Shift”(シフト)が不可欠です。Azure 上で利用可能なさまざまな PaaS 機能を弊社の利用環境でも有効活用することで、ユーザーの利便性やインフラのメンテナビリティの向上を図っていきたいと考えています」(吉田氏)

    例えば、Azure OpenAI Service をはじめとする AI の本格活用も、そうした中で描いている構想の 1つです。社員の生産性向上や業務の品質向上、新たな価値創出に資するさまざまなチャレンジを JBS と共に検討している過程にあり、今回移行を成し遂げた Azure をそれらの施策のベースインフラとして活用していく構えです。

    千歳コーポレーション株式会社

    代表者:取締役社長 永田 裕之
    本社所在地:東京都千代田区神田鍛冶町3-6-3 (神田三菱ビル 9階)
    設立:1960年8月
    従業員数:281名、千歳グループ社員総数 901名(2024年10月31日現在)
    事業概要:オフィスビル賃貸事業、マンション賃貸事業、提携企業内保育所運営、銀行店舗チャネル再編業務の受託

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    2025.10.30公開

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