製造
パナソニック エナジー株式会社
現場主導の BPR を全社へ段階的に展開し、
社員一人ひとりが改善を担い続ける業務改革文化の醸成を目指す
現場の一人ひとりが変革の担い手に
自律的な改善文化を育てる BPR への挑戦
車載用リチウムイオン電池をはじめ、社会インフラを支える幅広い電池事業を展開するパナソニック エナジー株式会社(以下、パナソニック エナジー)では、現場に根差した業務改革を継続的に生み出すための BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を推進しています。同社が特に重視したのは、単なるツール導入ではなく、非効率な業務プロセスの見直しです。この一連の取り組みをサポートする伴走パートナーに JBS を選定し、社内の全部署のユーザーが自律的に改善を回し続ける文化の醸成を目指しています。
【会社概要】
車載から産業・民生分野まで、日々の生活を支える電池事業を展開
日々の暮らしから車載分野、産業・民生分野、パナソニック エナジーは幅広いシーンで用いられる「電池」を主な事業領域としています。
モビリティエナジー事業では、車載用リチウムイオン電池の開発・製造・販売を担い、電気自動車(EV)の進化・普及を支えています。車載用電池の先駆者として、円筒形電池の高容量化において常に業界をリードしてきました。
エナジーソリューション事業では、リチウムイオン電池と蓄電モジュール・蓄電システムの開発・製造・販売を通じて、データセンターや電動アシスト自転車など生活の利便性向上に貢献しています。
そしてエナジーデバイス事業では、マンガンやアルカリ乾電池、リチウム一次/二次電池、ニッケル水素電池など豊富なラインアップを展開しています。
【導入の背景】
事業成長とともに顕在化した現場課題を BPR で解決へ
EV やデータセンター向けの需要拡大を受けて成長を続けるパナソニック エナジーですが、事業規模の拡大とともに業務量が増大する一方で将来的な人員不足リスクが潜在化しています。従業員の年齢構成上、今後定年退職を迎える従業員が増加する見込みであり、「限られた人員でいかに生産性を高めるか」が喫緊の課題となっています。
同社 情報システム革新センター デジタルプラットフォーム推進部の新崎 亜佑美氏は、「お客さまのために使える時間を生み出すためには、業務の無駄を省き、効率化できるところは徹底的に改善するしかありません」と話します。
パナソニック エナジー株式会社 情報システム革新センター デジタルプラットフォーム推進部 デジタル活用推進課
新崎 亜佑美 氏
パナソニック エナジー株式会社 モビリティエナジー事業部 製造管理課 大阪工場係
高取 和樹 氏
一方、生産現場で顕在化していたのが、デジタル化の遅れに起因する問題です。
同社 モビリティエナジー事業部 製造管理課 大阪工場係の高取 和樹氏は、「スペアパーツの在庫管理や経費管理など、Excel に手入力している付帯業務が多く、発注書を紙に印刷して上長の承認に回すといった手続きも残っています。また、ベテランの経験に依存した業務の属人化も進んでおり、次世代へのノウハウの継承が危惧されています」と明かします。
こうした課題を解決するためには、現場密着で業務プロセスを変えていく地道な取り組みを重ねるほかありません。そこで始動したのが、「Evergreen」をコンセプトとする BPR プロジェクトです。
同社 情報システム革新センター デジタルプラットフォーム推進部 部長の安保 將門氏は、「新陳代謝を繰り返しながら一年を通して葉が生い茂る常緑樹のように、一人ひとりが業務改革を続けられる現場になれば、自ずと会社は強くなります。Evergreen にはそんな思いを込めました」と話します。
【JBS 選定の経緯】
上流から実装まで伴走できるパートナーとして JBS を選定
現場レベルの自律的かつ継続的な BPR を目指したものの、いきなりそのサイクルを全社に定着させることは困難です。そのためパナソニック エナジーは、アプリ開発の内製化まで見据えた取り組みを伴走サポートしてくれるパートナーを必要としていました。
こうした経緯から複数ベンダーとの比較検討を経て、選定に至ったのが JBS です。
「もともと JBS については、パナソニックグループへの Microsoft 365 導入時からの面識があり、非常にわかりやすい勉強会を開催していただくなど、社内でも高い評価を獲得しています。また、パナソニックグループの別の事業会社に対しても BPR の伴走サポートを行っていると聞き、他ベンダーにはない安心感がありました」(新崎氏)
さらに、安保氏がこのように続けます。
パナソニック エナジー株式会社 情報システム革新センター デジタルプラットフォーム推進部 部長
安保 將門 氏
「Microsoft Power Platform などのツールに関して高い技術力を有するベンダーは他にもありましたが、私たちが望んだのは、上流の業務プロセス設計から下流の IT 実装まで一貫し、あるべき方向に導いてくれるパートナーです。この条件を満たすのが JBS でした」(安保氏)
【導入プロセス】
ツールより先にプロセスを整理し、可視化から実装まで一気通貫で推進
BPR プロジェクトは 2023年4月にスタートしました。初年度は人事・総務部門に絞り、JBS の伴走のもとで業務プロセスの洗い出しに着手。担当者へのヒアリングと現場視察を重ねる中で、これまで各担当者が自分の業務範囲しか把握できていなかったフロー全体が、徐々に可視化されていきました。
初年度の実績と反省点を踏まえ、2024年度からは全社を対象に改善テーマを広く募集。寄せられた約30件のテーマの中から 3つを選定し、各現場での BPR を本格化させていきました。その 1つが、住之江工場におけるスペアパーツ在庫管理業務です。
このプロセスで一貫して重視されたのが、ツールの検討をあえて後回しにするという姿勢です。業務プロセスの課題が明確になって初めて、解決手段として Microsoft Power Platform が候補に上がるという順序を徹底しました。
「社内でも、まずツールを使ってどう効率化するかという発想になりがちでした。だからこそ業務プロセスの整理を出発点に据えることにこだわりながら進めてきました。その順序を守ることが、効果を早く出すことにもつながると実感しています」(新崎氏)
実装フェーズに入ると、アプリ開発の技術支援だけでなく、現場ユーザーへの説明や業務データの前処理といった地道な作業にも JBS が並走しました。
JBS クラウドビジネスサービス事業本部 インテリジェントプロセスオートメーション部 BPRグループの大澤 茉優は、「まず着手したのは、現場の業務を『見える化』することです。スペアパーツ在庫管理を例にとると、担当者へのヒアリングと現場視察を重ねながら、これまでブラックボックス化していた業務フローを丸ごと解きほぐしていきました。私たちが担ったのは、ツールを使わせることではなく、なぜそのツールで何を変えるのかをチーム全体で『腹落ち』させることでした。実際に現場に足を運び、運用の実態を目で見ることで初めて設計に落とし込める要件もあり、その理解をもとに両社で改善案を検討し、実運用に即した形で仕組み化できたことが今回の成果につながったと考えています」と振り返ります。
こうした現場密着の取り組みが実を結び、2024年10月の開発着手からわずか約半年で本番稼働に漕ぎつけています。
【導入効果】
現場主導の BPR によりスペアパーツ在庫管理の改善を実現
本番稼働後、スペアパーツ在庫管理業務には大きな変化が現れました。
「以前からこの業務は紙運用による工数増が問題視されるとともに、発注数調整の属人化が進んでいました。加えて、承認・見積回答のワークフローも進捗状況が不透明で、多大なリードタイムが発生していました。そこで業務プロセスを見直したうえで、アプリ化することを決定。発注点を DBM(ダイナミックバッファマネジメント)手法(※)に基づき自動調整することで作業工数を低減し、属人化の解消を目指しました」(高取氏)
このアプリによってスペアパーツ発注の承認リードタイムが大幅に短縮され、製造現場では在庫の適正化が進みました。あわせて QR コードを活用した入出庫管理機能も実装したことで、管理者への過度な依存や記録漏れが解消されるなど、大きな業務改善の効果をもたらしています。
こうした改善効果を生み出したのは、単なる IT ツール導入にとどまらない BPR への取り組みがあってこそです。
「JBS に既存の業務プロセスを読み解いていただいたことで、これまで中身がブラックボックスになっていたフロー全体が可視化されました。また、業務の現状(As - Is)と改善すべき目標(To - Be)を描いたことで、次にどのようなアクションを取るべきかが明確になりました。単なるツール操作にとどまらない、BPR の本質を学ぶことができました」(高取氏)
- DBM(ダイナミックバッファマネジメント):実需データや消費の動向をもとに在庫の適正量(バッファ)をリアルタイムに調整し続けることで、過剰在庫や欠品を防ぐサプライチェーン管理の手法
【今後の展望】
エバンジェリストと AI 活用で改善文化を全社へ拡大
2025年度からはプロジェクトがさらに本格化し、社内の全13部門が並行して業務改革に取り組む体制が整いました。これに伴い、調達部門における輸出管理業務の改善など、多岐にわたるテーマが立ち上がっています。そうした中で注目すべきが、「エバンジェリスト」の導入です。
「業務プロセスの見直しからアプリ開発まで、一連の BPR を実践するエバンジェリストを各部門でアサインし、部署間でのノウハウの横展開を含めた推進を2025年に取り組みました。」(安保氏)
さらに、生成 AI を活用した業務改革を主導する「パイロット」を 20数名、別途選出しています。
「2026年度のテーマ募集はまだ始まったばかりですが、この動きを受けて、AI 活用に関心を持つ多くの部署から問い合わせが届き始めました」(新崎氏)
こうしたパナソニック エナジーの新展開を、JBS としてもさらに密着した伴走サポートで後押ししていく意向です。JBS 西日本事業本部 営業1部2課の升水 啓介は、「ツールへのこだわりを、これまで以上になくしていきたいと考えています。今はお客さま自身が多様な AI を活用して業務を効率化できる時代であり、Microsoft Power Platform のような業務自動化ツールと AI を組み合わせることで、さらに大きな相乗効果がもたらされるでしょう。特定のツールへの固執は、発想の幅まで狭めかねません。お客さまと私たちの目指す方向は一致しているため、これまで以上に柔軟な視点から支援の幅を広げていきたいと考えています」と、今後の方針を示します。
BPR は決して一過性の取り組みで終わらせてはなりません。現場に根づく改善文化として育てていく両社の取り組みが、さらに続いていきます。
パナソニック エナジー株式会社
代表者:代表取締役 社長執行役員 CEO 只信 一生本社所在地:大阪府守口市松下町1番1号
設立:2022年4月
従業員数:グローバル連結 約 22,200人
事業概要:一次電池(乾電池、リチウム一次電池)、車載用円筒形リチウムイオン電池、 産業・民生用リチウムイオン電池、蓄電モジュール、蓄電システム、 ニッケル水素電池等の開発・製造・販売
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2026.10.28公開