Microsoft Dynamics 365 導入事例
本田技研工業株式会社
業務の進捗や帳票をポータルで管理・共有することで全国的な法人営業組織全体の業務改革を推進
業種 | 製造・ヘルスケア |
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導入ソリューション | カスタマーポータル for Dynamics 365 |
テーマ |
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製品パートナー | マイクロソフト |
本田技研工業株式会社 法人営業部 事業管理課 チーフ 中島 肇氏
Microsoft Dynamics 365 によるデジタルトランスフォーメーションの推進により
リモートワークにおける円滑な業務環境を実現
あらゆる分野のモビリティを開発・提供している本田技研工業株式会社(以下、Honda)の法人営業部では、営業活動から、見積、契約、納入までの一連の業務を、Microsoft Dynamics 365(以下、Dynamics 365)上に展開。帳票のデジタル化や全国のディーラーとの円滑な情報共有環境を整備しています。
【会社概要】
「The Power of Dreams」を原動力に新たな価値を創造・提供するHonda
Honda についてご紹介ください。
Honda は、1948年(昭和23年)の創業以来、あらゆる分野の “モビリティ(動くモノ)” を開発し、世界中のお客さまのもとへ届けてきました。たとえば、誕生から 50年経つスーパーカブや最近では二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」、空を移動する喜びを叶える HondaJet を開発するなど、いつの時代も“夢” を原動力に、人々の想像や期待を越えるモノを創り出し、多くの人々に驚きや興奮、感動を提供しています。
2019年には、二輪・四輪・ライフクリエーション、航空機や航空機エンジンなどすべての事業を合わせて、世界中の約 3,000万人のお客さまに、魅力的な商品・サービスをお届けしました。
また、2020年4月には、「既存事業の盤石化」と「将来の成長に向けた仕込み」をさらに加速させることを目的とし、事業運営体制の変更を行いました。この事業運営体制の変更を通じて各領域の事業運営を強化し、「強い商品、強いものづくり、強い事業」の実現を目指すとともに、Honda が創業時から変わらず取り組んできた社会課題解決への姿勢をさらに強めることで、持続した成長・進化を実現するとともに、「The Power of Dreams」を原動力に新たな価値を創造し、世界に新しい喜びを提案していきます。
【利用状況】
営業活動から、各種手続き、納車までの一連の業務と管理を Dynamics 365 上で実現
Dynamics 365 を用いて開発したシステムの概要を教えてください。
企業向けに社用車の販売を担当する法人営業部において、営業活動から、見積、契約、そして納入までの一連の実務をすべて網羅し、進行・管理するためのシステムを Dynamics 365 および Dynamics 365 ポータル上に展開しました。利用者は、Dynamics 365 やポータルのサイトにアクセスすることで、構築した各種サービスや機能を利用できるようにしています。
システムを構築・運営するのは法人営業部の担当となりますが、法人営業の活動は Honda の全国ディーラー網である Honda Cars と一体となってお客さまへの営業から、各種手続き、納車後のアフターサービスまでの実務を担っています。そのため、システムの利用は法人営業部だけでなく、Honda Cars、加えてビジネスパートナーである行政書士法人も利用する仕組みとなっています。
具体的な機能について教えてください。
顧客・案件・営業活動管理、見積作成、契約データ作成、納入業務進捗管理といった業務において、必要な情報や書類を作成・登録・伝達・共有する機能を実現しました。また、受発注や会計といった社内基幹システムをはじめ、社外の企業情報データベースやクラウド名刺管理、国税庁法人番号公表サイトなどとも連携を図っています。
今後の展開・拡張予定などがあれば教えてください。
Dynamics 365 に集約したデータを元に商談の動向を分析したり、ポータル上で共有する情報を増強するなど、よりお客さまにとって価値のある提案ができるよう、法人ビジネスを支え進化させる基盤へと昇華させていきたいと考えています。
JBS が担当している業務について教えてください。
JBS には、システムの導入・構築および、導入後の運用サポート、システムの改修・拡張に関する開発などを依頼しています。
【導入効果】
紙帳票の削減や情報共有が促進され、業務改革のきっかけに
システムの導入効果について教えてください。
今回、紙帳票が削減され、情報共有が進んだことにより、さまざまな効果が上がっています。また、業務改革推進の大きなきっかけにもなったと受け止めています。詳細は次の通りです。
紙帳票の削減による効果
これまでは、紙帳票を中心に業務を行っていたため、Honda Cars 各社と法人営業部とで大量の紙帳票のやり取りが必要でした。具体的に申し上げると、従来は 1契約あたり十数枚の紙帳票を発行していたため、その管理にも手間と時間を費やしていました。
システム導入後は、公的な申請書などの一部を除き、自社で作成する帳票をはじめ納車に必要な情報が完全にデジタル化されたため、紙帳票のゼロ化に成功しました。情報の取り扱いや管理が容易となり、Honda Cars 側でも法人営業部側でも作業が省力化されました。また、リアルタイムで情報を共有できるようにもなり、お客さまへの対応力や対応スピードの向上につながっています。さらに、ペーパーレスによる環境対策も推進されました。
情報共有の促進による効果
ポータル画面上で契約内容や手続きの進捗状況を登録・管理でき、必要な作業の確認や書類データへも簡単にアクセスできるようになり、作業の漏れやミスが少なくなったことで、ベテラン社員と若手社員の業務品質のムラも解消されつつあります。
また、新型コロナウイルスの影響により各社ともリモートワークを強いられましたが、クラウドにアクセスできれば業務を進め、情報共有を図ることができたので、出社がままならない緊急事態下においても、業務を止めることなく対応することができました。
業務改革の推進
業務をデジタル化するにあたり従来の業務を分析し、非効率な手法や必要のない作業などを洗い出しながら、業務フローの再構築にも取り組みました。業務の標準化を進めることにもつながり、将来的に事業活動だけでなく、風土や制度など法人営業組織の変革に発展させることができるきっかけとなったと捉えています。
導入時に苦労したことなどはありませんでしたか。
一部、新しいシステムに慣れるまでに時間がかかる利用者も見られましたが、旧来の作業手法を引きずっていては業務改革の足かせとなってしまいますので、システムリリース後は旧来の手法は完全に排除して定着するのを見守りました。加えて、リリース直後にはいくつかのシステム改善要望もありましたので、Dynamics 365 のカスタマイズのしやすさを生かして柔軟に改変や微調整なども行いました。そのような対応が功を奏したのか、半年ほど経過した後は要望などもなくなり、業務が円滑に流れるようになりました。
【導入背景】
法人ビジネスの事業性や生産性の向上を図るため業務をデジタル化
新しくシステムを構築した背景やねらいについて教えてください。
国内における少子高齢化を背景に人手・人材不足は、これからも続くことが予想されます。そして、現人員の高齢化も進む一方、働き方改革など業務環境の変化にも柔軟に対応していかなければなりません。そのような状況下、お客さまに応対する時間をさらに創出して法人ビジネスの事業性や生産性の向上を図るためには、業務のデジタル化による省力化や効率化が急務となります。
これまで積み上げてきた既存の仕組みには“利用しやすさ”というメリットもあるのですが、従来のままでは硬直化している組織や仕組みを変革し、新しいビジネスモデルやサービスを展開することは難しい状況でした。そのため、先進的なシステムの開発・導入に取り組む決断を下しました。
【選定理由】
最新の営業管理手法が組み込まれている Dynamics 365 に期待
システム基盤として Dynamics 365 を採用した理由を教えてください。
当社では既に Microsoft Office 365 を導入しており、連携が容易であったこと。ほかのサービスと API で連携でき、事業環境やシステム環境の変化に柔軟に対応できる拡張性が高いこと。タブレットでも使用できることなどが、Dynamics 365 を選んだポイントとなります。検討段階では、自社でのスクラッチ開発や他 SFA サービスなどの利用も検討しましたが、最終的には先進的なトレンドを取り入れた最新の営業管理手法が組み込まれている Dynamics 365 に期待して導入を決めました。
JBS にシステムの構築およびサポートを依頼した理由を教えてください。
JBS からの提案は、十分に業務を理解してもらっているとともに、将来的な展望を踏まえた内容で、満足できるものでした。また、Dynamics 365 をはじめとしたマイクロソフト製品に精通しており、経験やノウハウも豊富なことから、安心してシステムの構築・運用を任せることができると判断しました。
【JBS への期待】
継続的な Dynamics 365 のサポートに期待
要望や期待があればお聞かせください。
JBS
は常に当社目線でシステムの利便性向上や業務改革を実現する提案をしてくれます。理解度や提案力が高いが故に、つい期待値より高い要望をしてしまう場合でも、単に言われた通りにシステムを構築するのではなく、それに応える積極的な姿勢でプロジェクトに臨んでくれました。
また、結果的に今回の取り組みが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態下でも、ビジネスを継続するための基盤として、その役割を十分に果たしてくれたこともあり、JBS にはとても感謝しています。
今後も、法人ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によって、さらなる高みを共に目指していきたいと考えています。
JBS 担当者のコメント
本システムは、Honda 様の考える新しい業務プロセスを Dynamics 365 と外部サービスや社内システムと連動させることで実現しました。システム開発を行うにあたり、Honda 様側のプロジェクトメンバーの皆さまに Dynamics 365 の特性を細部まで理解していただけたことが本プロジェクトの成功につながったと考えております。
ビジネスソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部 マネージャー 古屋 和樹
本プロジェクトは営業の生産性向上および業務効率化を図ることを目的に進めましたが、今回のシステム導入がゴールではないと思っております。今後も中島様をはじめとする法人営業部の皆さまと JBS が “One Team” となり、Dynamics 365 を活用することでさらなる進化を実現していきたいと考えております。
コンサルティングサービス本部 ビジネスアーキテクト室 副室長 八朔日 淳
Dynamics 365 の導入後に行った保守サポートにおいて、Honda 様に常駐することでリアルな現場の意見を取り入れ、より使いやすい UI などを追求することができました。今後も、Honda 様のビジネスに貢献できるシステムを構築していきたいと思います。
ビジネスソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部 向井 健人
2020.10.27公開