流通
琉球海運株式会社
「Cotoka for PC」で IT 運用管理者の PC キッティング時間約90%軽減と
デバイス選択の自由度を向上し、コストも最適化
海運会社の IT 現場が抱える人手不足の壁への挑戦
PC 運用のサブスクリプション化により情シスをより生産性の高い DX 推進へシフト
沖縄本島を拠点に本土の主要港ならびに先島諸島を結ぶ海上輸送を担う琉球海運株式会社(以下、琉球海運)は、全社で約120台に及ぶ PC を利用しています。その運用管理をわずか 3名のメンバーで担っている情報システムチームの負担軽減を図るとともに、ユーザーの満足度を高めて業務生産性を向上すべく、PC 導入・運用をサブスクリプション化する「Cotoka for PC」を JBS より導入しました。これにより新規導入した PC の初期セットアップやデータ移行にかかる作業時間を大幅に削減。生み出された余力を最大限に活用することで、同社の DX 推進に向けた取り組みを本格化しています。
【事業概要】
「沖縄のライフライン」を支える海運会社
琉球海運は、沖縄県那覇市に本社を置く海運会社です。「夢とくらしと文化をはこぶ」という企業ドメインのもと、沖縄本島を拠点に東京、大阪、福岡、鹿児島の各主要港ならびに宮古や石垣といった先島諸島を結ぶ航路を運航しています。
島嶼県(とうしょけん:島が多い県のこと)である沖縄において、貨物輸送の 99%は海上輸送に頼っています。そうした中で同社は日用品から建築資材、車両まで、県内で使用される多くの貨物を海上輸送で運ぶ重要な社会インフラを担っており、まさに「沖縄のライフライン」を支えています。 同社の事業エリアは国内だけに留まりません。福岡、鹿児島、那覇、宮古島、石垣島と台湾(高雄)の 6港をウィークリーで結ぶ海外航路も運航しており、多様化する輸送ニーズに対応しています。
琉球海運株式会社 企画部 取締役部長
外間 博一氏
そんな同社では、積極的な IT 活用により業務改革を推進しています。同社 企画部 取締役部長の外間 博一氏は、「当社は海上輸送に関するさまざまな基幹業務に関して、業界内でも比較的早い段階からシステム化を進めてきました。しかし、関連・関係会社とのデータ連携についてはまだ十分とは言えない状況です。今後は、琉球海運グループの中核企業として一層のリーダーシップを発揮し、一貫輸送を支えるシステムのさらなる拡張と高度化を目指した IT 戦略を推進していきます」と話します。
【導入の背景】
少数精鋭ゆえに情シスのキッティング負担が増大し、デバイスの選択肢もない
もちろん、さまざまな業務を安全かつ快適に遂行するためには、PC 環境の整備が欠かせません。同社には 120近い PC 端末があり、那覇市の本社をはじめ東京、大阪、福岡、鹿児島、宮古、八重山の各支店、台湾の駐在員事務所などに分散して活動しています。しかし、これらの従業員が利用するすべての PC の運用管理を、企画部 情報システムチームのわずか 3名の職員が担っているのが実情です。
背景にあるのは、海運業界ならびに沖縄県特有とも言うべき人材不足の問題です。同社 企画部 課長の與座 大介氏は、「多くの業界で IT 人材の不足が叫ばれていますが、なかでも海運業界は深刻な状況にあります。沖縄県内の大学などで IT を学ぶ人材はそれなりにいるのですが、本土の大都市圏に流出していく傾向が強く、人材獲得は容易ではありません」と話します。
結果として、情報システムチームの負担は増すばかりです。
琉球海運株式会社 企画部 課長
與座 大介氏
琉球海運株式会社 企画部 担当(情報システムチーム)
阿波連 宗梧氏
「PC の調達からトラブル対応まで、私たちが一手に担っているのですが、特に手間がかかるのが PC 入替時の初期セットアップを中心としたキッティング作業です。元の PC からのデータ移行まで含めれば、ほぼ丸一日を費やしてしまいます」と話すのは、同社 企画部 情報システムチームの阿波連 宗梧氏です。
同社 企画部 情報システムチーム 課長代理の知念 龍氏は、「加えて日々の問い合わせ対応にも相当な時間を取られており、3名の担当者の負担はあまりにも重く、本来期待されている DX 推進に資する活動に十分な時間を割くことができませんでした。この課題を解決するためには、PC 運用管理業務の抜本的な改善が必要でした」と続けます。
一方で、PC を利用する現場のユーザーの間でも要望が高まっていました。同社 企画部 情報システムチームの阿波根 愛美氏は、「ユーザーに配布している PC は A4 サイズのノート PC のみで、他に選択肢はありません。特に移動が多い営業担当者などからは、もっと軽量コンパクトで持ち運びの楽な B5 サイズのノート PC を使いたいという要望を受けていました」と話します。
ユーザーの選択肢を増やすためには、解決しなければならない課題があります。「セキュリティやガバナンスの観点からも、多様な PC に対する統一された管理体制を確立しなければなりません」と與座氏は強調します。
琉球海運株式会社 企画部 担当(情報システムチーム)
阿波根 愛美氏
【JBS 選定の経緯】
負担軽減と生産性、コスト可視化を目指した PC 管理へ
PC 運用管理業務の効率化に向けて、同社は「データレス PC™(Passage Drive)活用によるデータ保護と業務中断時間の最小化」「Windows Autopilot(以下、Autopilot)による端末初期設定の自動化」「Microsoft Intune(以下、Intune)の MDM(モバイルデバイス管理)機能による遠隔操作でのデータ削除やワイプ対応」「故障時のスムーズな良品交換体制の確立」「従業員が自由に端末を選択できる仕組みの導入」といった 5つの目標を掲げました。ただ、これだけでは十分とは言えません。
琉球海運株式会社 企画部 課長代理(情報システムチーム)
知念 龍氏
「当初は独自に導入した Intune と Microsoft Entra ID を連携させて Autopilot を運用しようと考えていたのですが、それでは情報システムチームへの依存体質から抜け出すことができず、抜本的な負荷軽減につながりません」(知念氏)
そうした中、従来からの PC の調達先である横河レンタ・リース株式会社が 2024 年2月に開催した端末管理の自動化セミナーを受講し、出会ったのが「Cotoka for PC」です。PC を「モノ」での提供でなく、「コト」として提供するサブスクリプション型のサービスで、PC 選定から展開・配布、更新、ヘルプデスク、データ消去、リプレースまで、PC のライフサイクルをトータルにサポートするのが特徴です。
同社は、「従来から抱えていた課題に対する解決策がここにある」と判断し、横河レンタ・リースのパートナーである JBS から Cotoka for PC を導入しました。
「決め手となったのは、JBS が提供しているリモートサービスデスクです。このサポートとの連携によって情報システムチームの運用負担を軽減するとともに、ユーザーの満足度を向上させ、さらに PC 調達にかかるコストを見える化できるという、“三方よし”の PC 運用管理体制を実現できると考えました」(知念氏)
続けて與座氏は「JBS は Cotoka for PC の製品知識に加え、Intune や Entra ID、Autopilot をはじめとするマイクロソフト製品に対する高い技術力と豊富な支援実績を有していることに大きな安心感がありました。さらに JBS は当社が長年取引してきた地場の IT ベンダーである株式会社OCC ともパートナーシップがあり、横河レンタ・リースを含めた 3社が協調しながら Cotoka プラットフォームを活用し、PC の選定から配送、初期設定、運用サポートまで一貫してサービス提供する体制は本当に素晴らしいと感じました」と続けます。
ソリューション提案および導入支援にあたった JBS ストラテジックセールス本部 ストラテジックセールス部 2課の當間 雅貴は、そのポイントを次のように語ります。 「琉球海運さまにおける今回の Cotoka for PC 導入で JBS が果たした最も重要な役割は、イントラネット構築や Intune / Entra ID の最適設定など、準備段階における SIer としての貢献にあったと自負しています。また、JBS は沖縄にも事業所を構えてヘルプデスクサービスを展開しているなど、琉球海運さまにとって地理的にも身近な存在であることを高く評価していただけたと考えています」
【導入効果】
キッティング時間の大幅な短縮とユーザーの生産性向上を両立
Cotoka for PC の導入プロジェクトは 2024年6月 ~ 10月にかけて進められ、11月からユーザーへの新規 PC の展開を開始。12月までに全 120台の入替を完了しました。
「以降、配布した PC の初期セットアップはユーザー自身で行うことになるため、トラブルの頻発が懸念されましたが、JBS が準備してくれたマニュアルとサポートにより、大多数のユーザーが問題なく作業を完了することができました。また、テスト段階で不具合が発生した際にも、JBS のエンジニアが当社の東京支店を訪問して原因がネットワークにあることを突き止め、解決に導いてくれました。こうした JBS の数々の貢献により、スケジュール遅延なく Cotoka for PC の導入が進みました」(知念氏)
これにより同社は、情報システムチームの大幅な業務負担軽減に成功しています。
「仮に従来どおりの方法で PC の初期セットアップとデータ移行を個別に行った場合、全 120台の作業を完了するまでに約960時間を要すると見込まれていましたが、今回これを 100時間にまで短縮することができました。また経営陣からは、社内で利用する PC がサブスクリプション化されたことにより、運用フェーズまで含めたコストが見える化・定額化されたことが高く評価されています」(與座氏)
もちろん多くのユーザーからも好評を得ています。複数の機種から自由な選択が可能となった中で、特に以前から切望されていた軽量コンパクトな B5 サイズのノート PC は人気の的となっており、営業担当者を中心に業務の機動力を高めています。
【今後の展望】
BI ツールや AI の活用によるデータ分析と IT 運用の内製化に向けた取り組みに注力
同社は Cotoka for PC の導入によって削減された情報システムチームの時間を最大限に活用し、DX 推進に注力していく構えです。BI ツールや AI 技術の活用もそうした中のテーマの 1つであり、全社的なデータの分析・活用を活性化させ、データドリブン経営の実現を後押ししていこうとしています。
また、先島地方(さきしまちほう:宮古列島と八重山列島の総称)において港湾運送や陸送、倉庫などの業務を担っている小規模な子会社のシステム強化も喫緊の課題であり、今回の Cotoka for PC 導入を通じて培ったノウハウを横展開し、グループ全体の PC 運用管理業務を効率化していく考えです。
一方で同社が常に念頭に置いているのが、IT 活用の自立化です。「過度にベンダーに依存した体制は決して望ましいものではなく、JBS に対してもスキルトランスファーを意識した情報提供やフォロー研修などを期待しています」と外間氏は語り、PC 運用管理についてもアウトソーシングと内製のバランスの取れた体制づくりを目指しています。
琉球海運株式会社
代表者:代表取締役社長 比嘉 茂本社所在地:沖縄県那覇市西1丁目24番11号
設立:1950年1月23日
従業員数:約237名
主な事業内容:海上運送事業(内航海運業)、貨物利用運送事業(第1種及び第2種)
2025.10.02公開