データ統合アプリケーション開発事例
国立大学法人九州工業大学
データ統合アプリケーションの開発により大学運営業務の効率化とスピードアップを実現
業種 | 流通・サービス・公共・その他 |
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テーマ | データ活用 |
製品パートナー | マイクロソフト |
(左から)国立大学法人九州工業大学 研究協力課 舟木 大誠氏、会計課 吉岡 雅之氏、総務課 永松 靖子氏、情報基盤課 黒﨑 覚氏、情報基盤課 金光 昂志氏
※所属情報は 2022年3月31日時点
Excel 管理のデータを Power Apps のノーコード開発により顧客主導の DX 推進を支援
九州工業大学は、1909年に私立明治専門学校として開学して以来、建学の精神「技術に堪能なる士君子」の養成の実践により、これまで 7万人を超える工学系人材を世に送り出すとともに、学術の進展につながる知の創造、産業界の競争力強化並びに地域の発展に貢献してきました。今年 2022年に創立 113年を迎えた伝統ある国立大学です。現在では、北九州市戸畑区、同市若松区および飯塚市に 2学部・3大学院(2学府・1研究科)を構え、約5,600名の学生を有する工学系大学として、最先端の教育と研究を行っています。
同大学では大学運営の一環として、「寄附金」や「共同研究」などこれまで各担当事務部門で管理していた企業データを統合管理し、分析するためのアプリケーションを Microsoft Power Apps(以下、Power Apps)で構築。アドオン開発なしの標準機能、およびノーコードの標準カスタマイズで実装しました。
【システム概要】
民間企業を軸としたデータを統合管理するためのアプリケーションを Power Apps で構築
Power Apps で構築したアプリケーションについて教えてください。
「寄附金のデータ(約 2,400件)」や「共同研究の契約情報(約 4,000件)」など、民間企業を軸とした各種データを統合管理するためのアプリケーションを Power Appsで構築しました。
これらのデータは、これまで担当部門ごとに管理しており、Microsoft Excel(以下、Excel)などを用いて手作業で管理・処理していました。今回、それぞれのデータを Power Apps のデータベースである Microsoft Dataverse に取り込み統合し、アプリケーション上でデータを処理・分析したり、定型帳票へ出力したりするなど、業務のデジタル化と標準化を図りました。
具体的にはどのような用途で利用されているのでしょうか。
それぞれの情報の登録や検索、集計といった基本的な管理業務が主となりますが、学長や執行部といった役員への報告業務、各種会議体や監督官庁への報告業務などにも活用しています。さらに、企業カットやテーマカットでの傾向分析などが容易にできるようになったので、今後は企業への戦略的なアプローチのための立案などにも活用していきたいと考えています。
「寄附金の受付情報」や「共同研究の契約情報」など企業を軸としたデータを一元管理
【構築手順】
基本機能によるアジャイル開発により、約 3か月間で実装を完了
アプリケーションの構築・運用体制を教えてください。
基本的には利用部門のメンバーが部署横断のプロジェクトチームでアプリケーションの運用を担っています。
どのように開発を進めたのでしょうか。
国立大学法人九州工業大学 会計課 課長
吉岡 雅之氏
当初、Microsoft Dynamics 365 でアプリケーションの構築を考えており、私たちが実現したい機能やデータを JBS へ伝えたところ、約 1週間で Microsoft Dynamics 365 によるデモアプリケーションを構築してもらえました。しかし、そのデモアプリケーションで画面の様子や使い勝手などを確認した際、この内容であれば、Power Apps で要件を満たせると JBS から提案いただき、Power Apps で機能を実装してもらいました。
機能や画面がある程度実装できた段階で、都度、各業務担当に画面のレイアウトや操作性など確認してもらい、修正を繰り返しながら機能を実装していきました。開発をスタートしてから、約 3か月で予定していた機能をほぼ実装することができました。
3か月間というのはかなり短い期間かと思いますが、当初の予定通りだったのでしょうか。機能面で問題などはなかったのでしょうか。
今回、開発期間を短くし、導入コストも抑えるためアドオン開発などは行わず、ノーコードかつ、Power Apps の標準機能および標準オプション機能のみでアプリケーションを開発しました。そのため、3か月という当初からの予定通りのスケジュールで進みました。
また、機能面に関して Web アプリケーションという制限はありますが、都度、機能や画面を確認しながら実装していきましたので、問題などはありませんでした。
国立大学法人九州工業大学 総務課 社会連携係 係長
永松 靖子氏
【導入背景】
大学が組織として一体となり、戦略的に企業への対応を目指す
アプリケーションを開発・導入した経緯について教えてください。
国立大学法人九州工業大学 情報基盤課 情報基盤運用係 係長
黒﨑 覚氏
これまで寄附金や共同研究への対応は、学部や教授個人などが中心となり、大学運営に携わる私たちは事務作業に徹していました。しかし、これからは大学運営の一環として、大学という組織が一体となって企業へと戦略的に対応していく必要があると考えています。そのため、これまでは別々に活動していた組織も 1つの部署に統合することになりました。
一方、事務の現場では、これまでデータを手作業で管理していたため、業務が煩雑となり、ミスなども発生しやすい状況にありました。また、データは毎年蓄積されていきますが、データ量が増えると処理が重くなり業務のボトルネックとなったり、学内外から求められるレポートの作成にかかる時間や手間も大きな負担となったりしていました。さらに、データがばらばらに管理されていることで、企業を軸としたデータの分析や集計もままならず、その課題を解消したいという思いもありました。
そのため、これまでもデータの統合を何度か検討してきたのですが、汎用的で継続的に利用できるかどうかという点、そして費用面で折り合いが付かず実装を断念してきたという経緯があります。
【選定理由】
コストを抑え、スモールスタートが可能な Power Apps を選択
今回、データの統合を推し進めた理由を教えてください。
Power Apps を採用することで、これまで断念してきたデータの統合を実現できると考えました。その主なポイントは次の通りです。
- Microsoft 365 の包括ライセンスを契約しており、大きなコストをかけず Power Apps を利用できる
- スモールスタートが可能で、規模や機能に応じてスケールアウトや横展開がしやすい
- アカウント管理(Active Directory)との連携がしやすい
- 普段利用している Microsoft Word や Excel など、マイクロソフト製品との連携がしやすい
- ノーコードで必要な機能を実装できる(学内での運用が可能)
- 特定のベンダーに依存せず、アプリケーションの開発・運用ができる
国立大学法人九州工業大学 総務課 社会連携係
諌山 日吉氏
JBS に導入支援を依頼した理由を教えてください。
JBS は当学が取り組んできたこれまでの経緯も踏まえた上で、開発基盤として Power Apps をベースとした適切な提案をしてくれました。プロジェクトの初期の段階から親切かつ丁寧に相談にのってくれ、マイクロソフト製品の導入・運用に大きな強みを持っており、企業や大学など対する導入実績も豊富なことから、安心してプロジェクトを任せることができると判断しました。
【導入効果】
通常業務やレポート業務の効率化とスピードアップを実現
アプリケーションの導入効果について教えてください。
国立大学法人九州工業大学 情報基盤課 情報基盤運用係
金光 昂志氏
これまで手作業で行っていた業務が効率化され、作業負荷が軽減されました。たとえば、件数の多いデータを取り扱う際や複数のスプレッドシートの情報をまとめる際などは、PC の動作が遅くなり作業効率が落ちてしまうこともありましたが、そのような問題が解消されました。学内外への報告なども以前よりも短期間で対応できるようになりました。
また、これまで難しかった企業カットでのデータ集計や分析を、複雑な作業をすることなく柔軟に対応できるようになり、データ統合の目的を達成できました。寄附金や共同研究の拡大といった実質的な成果はこれからというところですが、就職先データも統合が済めば成果をより大きなものにできると期待しています。
一方、アプリケーションの開発については、Power Apps を採用したことで、ねらい通り早期にスモールスタートを図り、いち早くメリットを享受できたことは大きな成果だと捉えています。
【今後の展開】
就職先データなどを取り込み、大学版 CRM も視野に
今後の展開予定があれば教えてください。
今後は学生の就職先のデータを取り込んだり、CRM の機能などを追加したりしていきたいと考えています。
JBS への評価や要望、期待があればお聞かせください。
今回のプロジェクトはコロナ禍でのスタートであったため、JBS とのやり取りはフルリモートでの対応となりましたが、JBS は対面と変わらなく丁寧かつ迅速に対応してくれました。わずか 1週間でプロトタイプとなるテストアプリケーションを作ってきたときは驚きましたが、テストアプリケーションがあったおかげで、システムの構築に慣れていないメンバーも動作イメージに関する共通認識をイメージできたのでとても助かりました。
また、実際のアプリケーションに開発においても、各業務を理解した上で、最適な機能を提案してもらえ、それぞれの機能ができた段階で実際の画面や動作を確認し、修正や変更があれば次回のレビューまでに対応するという流れで対応してもらえたので、利用者の要望にそった機能のアプリケーションを開発することができました。
これからも丁寧で迅速なサポートに期待しています。
国立大学法人九州工業大学 研究協力課 産学連携係
舟木 大誠氏
JBS 担当者コメント
プロジェクトの円滑な遂行に一丸となって協力いただきました九州工業大学の皆さまに感謝いたします。今後、今回導入したシステムが発展し、貴学のさらなる DX 推進に寄与できるものになると確信しております。
中部・西日本・九州本部
田村 隆
今回 JBS が九州工業大学の皆さまの業務課題解決に向けたご支援ができたこと、この上なく幸せに思います。限られた時間の中でも、お客さまとの密なコミュニケーションにより常に方向性を揃えられたことが、短期間でリリースができた要因だと実感しています。
ビジネスソリューション本部 Dynamics プラットフォームソリューション部 CRM ソリューション 4グループ
大澤 茉優
国立大学法人九州工業大学
代表者:学長 三谷 康範
所在地:福岡県北九州市戸畑区仙水町 1-1(戸畑キャンパス)
設立:1909年4月1日
学生数:学部 4,048名、大学院 1,568名(2022年5月1日現在)
2022.09.30公開