Microsoft Office 365 導入事例
宝印刷株式会社
高いセキュリティが求められるシステムはオンプレミスでの構築が必須と考えていませんか?クラウドで迅速・低コストで構築できます!
業種 | 流通・サービス・公共・その他 |
---|---|
テーマ |
|
製品パートナー | マイクロソフト |
(左から)宝印刷株式会社 営業企画部 次長 善場 正仁氏 同部 システム開発課 主任 市川 喜隆氏
国内におけるディスクロージャーサービスのパイオニアとして知られる宝印刷株式会社(以下、宝印刷)。同社では 2016年11月より、IPO(新規上場)を予定する企業向けのクラウド型文書管理支援サービス「X System for IPO」の提供を開始した。
JBS はその基盤部分となる Office 365 の実装を全面的にサポート。宝印刷は、機密文書を作成・管理・共有する IPO
文書管理支援サービスにおいて必須とも言える高いセキュリティ性能を実装しながら、構築にかかる工数や導入後の運用コストを削減できるクラウドならではのメリットも享受することに成功した。
【システム概要】
IPO に必要な書類の作成・共有を支援するクラウドサービス「X System for IPO」
まずは今回リリースされた X System for IPO はどのようなシステムか教えてください。
X System for IPO は、IPO に必要な書類の作成・共有・管理を支援するクラウドサービスです。IPO に精通した宝印刷が 1952年の創業以来培ってきた経験やノウハウをベースに、IPO を検討中の企業様内だけでなく、外部関係期間とも安全に情報を共有するための機能を提供しています。基盤にはマイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Office 365」を採用することで、関連業務の効率化とセキュリティリスクの排除を実現します。
基本的な機能は次の 4つです。
機能1:ポータルサイト
ご契約いただいたお客さま専用のポータルサイトを提供します。ポータルサイト内では「スケジューラ」「お知らせ機能」「連絡先リスト」といった、IPO 関連業務のスケジュールを管理するための各種便利機能をご利用いただけます。
機能2:文書共有スペース(社内用)
IPO 実務に必要な文書を格納・編集するための「文書ルーム」を提供します。多くのユーザーが使い慣れている Word、Excel、PowerPoint などの Microsoft Office アプリケーションによる文書の共同編集や閲覧が可能となっています。
機能3:文書共有スペース(社外用)
社外の関係機関と文書を共有するためのスペ-スを、社内用の文書共有スペースとは別に提供します。
機能4:データの自動バックアップ機能
文書の履歴管理(バージョン管理)機能を実装し、過去のデータを履歴として保管・参照することができます。
IPO を予定している企業にとって、X System for IPO を利用するメリットとは何ですか。
IPO に関する実務はとても煩雑です。厳密なスケジュール管理に加え、膨大な作成資料の履歴管理も必須となります。また、社内においても情報を開示する範囲や担当者が限られる一方、証券会社や監査法人など社外の関係機関による確認を受けなければならない場面も多く、情報漏えいリスクに対する対策も必要となります。
X System for IPO はそのような IPO 関連業務における様々な課題を解決し、利用企業様に次のようなメリットをもたらします。
- 専用サーバ(クラウド)で資料を管理することで、IPO 業務関係者だけが資料を閲覧可能な環境を作ることができる。また関係者に対しても、許可された場所(オフィス内など)以外からのアクセスを制限できる。
- 社外の関係者とも安全かつ簡単に資料を共有でき、メールでの文書共有につきものの煩雑さや、誤送信や情報漏えいのリスクを排除できる。
- 使い慣れたユーザーが多い Microsoft Office アプリケーションで文書の閲覧・編集作業ができる。
- 資料の編集履歴が自動管理でき、いつ誰が修正したのかが簡単に分かる。
システム導入・運用にかかわるメリット
- サーバやシステムの構築が不要なクラウド基盤のため、すぐに使い始めることができる。
- 信頼性や堅牢性、安全性の高いクラウド基盤(Microsoft Azure)でデータを管理できる。
- システムやセキュリティの運用負荷がかからない。
【導入背景】
信頼性や堅牢性、セキュリティなど、世界トップレベルの品質が期待できる Office 365 を選択
サービス提供基盤としてクラウドを選んだ理由を教えてください。
宝印刷株式会社 営業企画部 次長
善場 正仁氏
自社でサーバを用意して、社外からの安全なアクセス環境やセキュリティ環境を整備するとなれば、工数もコストもかかり、サービスの提供を開始するまでに時間も取られてしまいます。サービス提供開始後も、ハードウェアや OS 環境などの保守やセキュリティのアップデートなど、運用面での手離れも悪く、社内で一定のリソースを確保し続ける必要もあります。
新規上場する企業の数は限られていますので、初期投資と保守運用コストを抑え、迅速に信頼性や堅牢性の高い基盤を構築し、限られた社内の人的リソースを機能設計の企画立案に集中投下するためには、基盤に関してクラウド以外に選択の余地はありませんでした。
また、クラウドであれば利用企業数やデータ容量の増減に合わせてコストの最適化も図ることができる点も重要なポイントとなります。
では、クラウドの中で Office 365 を選んだ理由を教えてください。
システムの設計段階では、共有ストレージのようなサービスの利用も検討したのですが、サービスに機能を合わせるとなると IPO の業務に関連したサービスとしては十分な機能を提供できないという結論に至りました。また、スクラッチでサービスや機能を開発するとなると膨大なコストや工数が必要になります。そのため、SharePoint Online による文書の共同編集や履歴管理、ポータル機能などを利用してサービスが構築できれば、コストも工数も抑えられると同時に、迅速にサービスの提供を開始でき、機能の改良や追加もしやすいと考えました。
また Office 365 はマイクロソフトがワールドワイドに展開している Microsoft Azure 上で運用されており、国内外の大手企業に採用されているサービスなので、信頼性や堅牢性、セキュリティなどに関しては世界トップレベルの品質が期待できます。我々もお客さまに自信を持ってサービスを提案できますし、お客さま自身も安心してサービスをご利用いただけます。
【選定理由】
実績と経験に裏打ちされた提案内容と認証に関する解決策を高く評価
サポートベンダーを選定したときの要件を教えてください。
当社でもこれまで様々なサービスやシステムを開発してきましたが、クラウドで、SharePoint を使って、認証機能などセキュリティも担保したサービスを迅速に構築するとなると、専門家からの提案およびサポートは不可欠です。また、これからサービスを運用・展開していく上で、経験豊富なベンダーから得られる知識やノウハウは当社の財産にもなります。そのため、経験や実績、技術力が豊富であることは選定の要件となりました。
また認証機能に関しては、Office 365 や SharePoint Online、Active Directory(AD)の標準機能だけでは実現が難しい部分がありました。この点はサポートベンダーからの提案に大きく期待した部分であり、セキュリティに関する提案内容は選定要件の中でも重要なポイントとなりました。
宝印刷株式会社 営業企画部 システム開発課 主任
市川 喜隆氏
認証機能に関して、具体的にどのようなところが標準機能では実現が難しかったのでしょうか。
接続先を制限できる機能の実装が必要でした。クラウドなのでどこからでもアクセスできるのは一つのメリットなのですが、X System for IPO に関しては情報漏えいやなりすましのリスク要因となります。そのため、基本的にお客さまの拠点以外からは接続できないようにする必要がありました。
また、アカウント単位で制御ができたり、タブレット端末などからのアクセスを制御したりすること。さらには、認証時の成否のログをスムーズに取得できるようにすることなども実装したいと考えていました。
JBS からの提案を採用した理由を教えてください。
いくつかのベンダーに提案を依頼したのですが、JBS の提案は実績と経験に裏打ちされたもので、高い技術力と当社の要望を理解してくれていることが分かる内容でした。特に、認証セキュリティに関して、JBS での導入実績も豊富な Office 365 に標準対応している「HDE One」を提案してもらい、IPアドレス制限や端末制御の課題もスムーズに解決することができたので、安心してサービスを構築できると感じました。
また、マイクロソフトの数あるパートナーの中でも有数のベンダーで、Azure や SharePoint に関しての実績や経験も豊富なことから、JBS にサポートを依頼することにしました。
【JBS への評価】
高度な技術力と提案力でサービスのスムーズな提供開始に貢献
サービス構築時に苦労したことなどがあれば教えてください。
システムの仕組み自体で大きな問題はなかったのですが、今回、Office 365 の機能をベースとしたクラウドサービスを言わば外販することになるので、テナント構成やライセンスの形態などに関してマイクロソフトとの調整が必要でした。
テナントに関してはお客さまごとに分けたかったのですが、マルチコンテナになってしまうとコスト負担が大きくなるので、シングルテナントで論理的に各文書ルームを独立させることで対応しました。
また、ライセンス形態に関しては、JBS に間に入ってもらい調整をしてもらったことで、最終的には納得のいく形態で利用できるようになりました。
JBS への要望や期待があればお聞かせください。
JBS は技術力や提案力が高いのはもちろんですが、対応も迅速で、期待以上の働きをしてもらえました。スムーズにサービスの提供を開始することができ、感謝しています。
現在、細かな修正や当社の開示決算自動化ツール「X-Smart.シリーズ」との連携などについても JBS に相談に乗ってもらっていますが、今後も IPO を予定しているお客さまが、安心かつ効率的に作業できる環境づくりをサポートしてもらえればと思います。また JBS ならではのレベルの高い提案などにも期待しています。
JBS 担当者からのコメント
お客さまの社内向けシステムの提案・構築をお手伝いする機会はこれまでたくさんいただいていたのですが、今回は外部に提供するクラウドサービスの構築を担当しました。スクラッチで開発するのではなく、Office 365 や SharePoint Online というサービスインフラの特徴を生かしながら、宝印刷様とサービス利用者様の双方にご満足いただけるシステムとして X System for IPO を作りあげる必要を感じ、これまでの案件とは異なる緊張感がありました。さらに X System for IPO は宝印刷様が得意とされるビジネス分野の入口とも言えるサービスですので、利用企業様にご満足いただけるかどうかがその先の宝印刷様のビジネスに大きな影響を与えると感じています。そのため、宝印刷様がこのサービスに対してどんな思いを持っているのか、将来的なことも考えてどのように発展させていきたいのかを入念にヒアリングするように心掛けました。
また Office 365 のライセンスに関しては、自社利用を目的としたライセンスとは購入形態が異なるため複雑な面がありましたが、費用を抑えながらセキュリティを確保できる最適な契約形態で提案し、宝印刷様のお役に立つことができました。
ライセンス形態やセキュリティ強化といった課題も、Office 365 と HDE One という 2 つのクラウドサービスを組み合わせてクリアできたことで、独立系である JBS ならではの強みを最大限に生かすことができたと自負しています。
宝印刷様から機能追加の要望もいただいておりますので、今後も引き続き Office 365 や SharePoint Online の能力を最大限に引き出すご提案を続けてまいります。
宝印刷株式会社
代表者:代表取締役社長 堆 誠一郎
本社:東京都豊島区高田3-28-8
設立:1960年4月15日 (創業: 1952年6月15日)
資本金:2,049百万円 (2016年5月31日 現在)
従業員数 :648名(単体)、702名(グループ全体)
事業概要 :ディスクロージャー並びに IR 関連物のコンサルティング、制作、印刷、ディスクロージャーに関連するソフトウェアの開発と販売、ディスクロージャーに関するセミナーの開催、書籍の出版
- 2019年2月1日をもって、株式会社HDE は HENNGE株式会社に社名変更しました。これに伴い、HDE One は HENNGE One に名称変更しました。
2017.06.04公開