その他
国立大学法人 長崎大学
ビッグデータ分析や機械学習など高負荷処理もスムーズに実行可能な、
柔軟で自由度の高い実践的教育のための環境を構築
Microsoft Azure Local を基盤とする高性能計算機サーバーシステムを軸に
教育・演習環境を全面刷新し、「情報科学×データ科学」の人材育成を推進
情報科学とデータ科学を主軸に実践的な人材の育成を目指す国立大学法人 長崎大学(以下、長崎大学)の情報データ科学部。演習室に設置されていたワークステーションのリース満了を機に、Microsoft Azure Local(以下、Azure Local)を基盤とする高性能計算機サーバーシステムと大容量ストレージ、高速ネットワークなどを導入し、演習環境を全面的に刷新しました。ビッグデータ分析や機械学習など高負荷処理もスムーズに実行できるようになり、学生の利便性も大きく向上しています。
【学部概要】
データ科学と情報科学を融合した実践的な人材育成を推進
長崎大学 情報データ科学部は、2020年に開設された新しい学部です。
昨今、あらゆる業界・業種において、データに基づく意思決定や、製品・サービスの AI 化などに注目が集まっています。こうした実社会に具体的な価値をもたらす人材を生み出すためには、「ICT 技術を駆使してアイデアをカタチにする情報科学」と「データから新たなアイデアを生み出すデータ科学」をかけあわせた教育研究が必須であり、その役割を担うべく同学部は開設されました。
特に実践力を重視し、基礎・専門科目の授業だけでなく、企業や自治体と連携した教育研究プログラムも積極的に取り入れています。民間の企業や研究機関出身の教員も多く、さまざまなバックグラウンドをもつ教員陣が次世代の人材育成をサポートしています。
【導入の背景】
柔軟性に欠ける据え付け型のワークステーションのスペック不足が教育の障壁に
国内でも類いまれな「情報科学×データ科学」の実践教育を目指す同学部ですが、そのコンセプトに見合う教育・演習環境が整っていませんでした。具体的には、コンピューター専用教室の各席に据え付けられたワークステーションを利用して講義や演習を行う、“ 昔ながら ” の教育スタイルを主としていたのです。
同学部 准教授の神山 剛氏は、「情報分野からデータサイエンス分野までさまざまな領域の教育・研究において、それぞれの用途に応じた環境構築を行う必要がありますが、据え付けのワークステーションでは頻繁な設定変更は困難でした」と振り返ります。
同学部 技術専門職員の松尾 堅太郎氏は、「教員の数だけやりたい教育があり、そのすべての要求を 1台のワークステーションで満たすのは、ほぼ不可能です。また、ワークステーション台数にも限りがあるため、学生が席を移動しながらマシンを使い分けるといった運用も現実的ではありません」と補足します。
国立大学法人 長崎大学 情報データ科学部 長大データバンク センター長 准教授 博士(工学)
神山 剛 氏
国立大学法人 長崎大学 情報データ科学部 技術専門職員
松尾 堅太郎 氏
加えて既存のワークステーションは数年前に導入されたもので、今の時代にはスペック不足という問題も抱えていました。
「例えばビッグデータ分析を行うにしてもパフォーマンスが足りず、演習時間内に結果を出せない場合もあります。多くの学生は高性能なノート PC を持参しているのですが、それらの機種よりもスペックが劣るワークステーションを、わざわざ講義や演習で利用しなければならない状況が生じていました」(神山氏)
【JBS 選定の経緯】
高性能計算機サーバーシステムと大容量ストレージを軸に自由度の高いセキュアな演習環境を構築
多くの課題を抱えていた同学部に転機が到来したのは、2024年6月のこと。既存ワークステーションのリース期間満了を機に、演習室のコンピューティング環境を全面的に刷新することになりました。
そして競争入札を経た結果、JBS が提案したシステムが採用されました。多様かつ高度な講義・演習・実験に利用できるAzure Local を基盤とする高性能計算機サーバーシステムおよび大容量ストレージの導入を軸として、演習室とサーバー間を結ぶ「ネットワークの高速化(10G 化)」、Type-C モニターの導入と高速無線 LAN の導入による「演習室の利便性向上」、ネットワーク接続や演習環境へのアクセスを全学の統合認証システムと同一のアカウント/パスワードで保護する LDAP(Lightweight Directory Access Protocol:軽量ディレクトリアクセスプロトコル)ならびに RADIUS(Remote Authentication Dial-In User Service:リモートネットワーク上のユーザーを認証するプロトコル)を導入した「セキュリティの向上」といった課題を包括的に解決するシステムです。
「当初はクラウドを利用することも検討したのですが、さまざまな教員が自由に使える教育・演習環境では、どんなサービスやリソースをどれだけ使うか見積もりづらく、大学としてのコスト管理が困難になる懸念がありました。その観点からも、オンプレミスで仮想化技術を活用し、柔軟な運用を実現できる教育・演習環境の構築を目指しました」(神山氏)
その後の導入プロジェクトもスムーズに進行。一連の新システムは、2025年4月の新年度開始とともに正式な運用フェーズに移行しています。
同学部 技術職員の後藤 広志氏は、「大きな遅延を起こすことなくスケジュールどおりに新システムを稼働できた背景には、JBS の多大な貢献がありました。Microsoft Teams を利用した継続的なプロジェクトマネジメント体制を構築し、週 1回の頻度で開催された定期ミーティングで私たちが投げかけた質問や要望についても、次回までには必ず回答が用意されているという、非常にクイックな対応をいただきました」と話します。
国立大学法人 長崎大学 情報データ科学部 技術職員
後藤 広志 氏
【導入効果】
教育・演習目的に沿った自由な環境構築とともに学生の利便性も向上
新システムの稼働開始により、同学部における演習環境は劇的に改善されました。最も大きな変化は、さまざまな教育・演習目的に沿った環境を備えた仮想マシンを、教員自身が高性能計算機サーバーシステム上で自由に構築できるようになったことです。
「従来の据え付け型のワークステーションでは、教員がそれぞれ勝手に言語やライブラリ、ツールなどをインストールしてしまうと、別の教員が設定した環境との間で競合が発生して不具合を起こす恐れがありました。教員ごとに完全に独立した環境を構築できる仮想マシンでは、そんな心配は一切ありません」(松尾氏)
もちろんスペック面でも大幅な強化が図られています。
「ビッグデータ分析をはじめ、機械学習や深層学習といったより計算負荷の高い処理もスムーズに実行できるようになりました。マシンの性能やデータ容量などの制約から解放されたことで各教員は、本学部が目指す『情報科学とデータ科学をかけあわせた実践的な人材育成』に資する、本来の教育に注力できるようになりました」(神山氏)
さらに学生たちの利便性も高めています。
「現在のネットワークは全学的に接続されているため、特定の演習室のみならず他の教室からも、学生たちは個人所有のノート PC を使って Wi-Fi 経由で高性能計算機サーバーシステムにアクセスすることが可能です。実際、大型ディスプレイを必要とするデータ可視化などの演習を除いて柔軟に教室への割り振りが行われるようになっており、学生の利便性向上に加えて教育活動の効率化にも大きく寄与しています」(後藤氏)
【今後の展望】
地域活性化のための産学連携プロジェクトでの活用も視野に
今回刷新された高性能計算機サーバーシステム高速サーバーおよび大容量ストレージ、さらにはネットワークの処理能力にはまだまだ十分な余力があります。同学部はこのポテンシャルを生かし、利用範囲をさらに拡大していくことを検討しています。
「現時点では、新システムは特定の授業の時間帯でしか利用されていませんが、学生たちは授業時間外にも自主的な勉強会を行ったり、特定テーマに関するコミュニティを立ち上げたりと、さまざまな活動を行っています。また本学部としても、例えばオープンデータ・ハッカソンや高校生を対象としたデータサイエンス教室など、地域の活性化につながるイベントを積極的に開催したいと構想しています。従来の運用ルールに加え、こうした多様な活動に対応した新しい利用規則を策定することで、新システムの活用価値を多方面に広げていきたいと考えています」(神山氏)
さらにその先で見据えているのが、産学連携プロジェクトでの活用です。
「長崎のような地方都市において、大規模かつ高性能な計算機サーバーシステムや大容量ストレージを所有している企業はごく少数です。だからこそ本学部が導入した新システムは地域の企業にとっても魅力的な資産であり、産学連携プロジェクトが活性化したならば、それは学生たちの実践力を育成するうえでも貴重な機会となります」(神山氏)
こうした同学部の将来構想を受け、JBS 西日本事業本部 営業 3部の下大田 樹立も「情報データ科学部さまにおける、今回の革新的なシステム導入に携わらせていただけたことを大変うれしく思います。この新システムがフックとなって産学連携の輪が広がっていけば、長崎はもとより九州全域のビジネス発展につながるのは明らかであり、JBS として今後も最適なシステム設計・運用に関する知見を惜しみなく提供させていただきます」と語り、継続的なサポートに向けた意欲を示しています。
国立大学法人 長崎大学
学長:永安 武所在地:長崎市文教町 1-14
創基:1857年 9月 26日
学生数:9,266 名(学部生 7,519名、大学院生 1,747名)※2025年 5月 1日時点
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2026.01.27公開