マネージドバックアップ for Microsoft 365 導入事例
株式会社八十二銀行
銀行業務の信頼性を担保するクラウドデータバックアップ体制を構築し
重要データの保護とコンプライアンス対応を両立
業種 | 金融・保険 |
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導入ソリューション | マネージドバックアップ for Microsoft 365 |
テーマ |
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(左から)株式会社八十二銀行 システム部(システム企画)小林 由希子 氏、主任調査役 西村 英昭 氏
JBS のマネージドバックアップ for Microsoft 365 で
改正電子帳簿保存法対応と BCP 強化を実現
長野県民に愛される金融機関を目指している八十二銀行は、行内業務の効率化や従業員体験向上を目的に Microsoft 365 を活用していますが、クラウドデータのバックアップ運用に悩みを抱えていました。独自にその仕組みを構築するとなれば、多額の初期投資が発生するほか、その後の運用保守も重い負担になります。そこで導入したのが、JBS のマネージドバックアップ for Microsoft 365 です。行内の作業負担を増やすことなくスムーズなサービスインを実現し、喫緊の課題であった改正電子帳簿保存法の法的要件を満たすとともに、強固な事業継続計画(以下、BCP)の体制を整えました。また、クラウドデータバックアップ体制が整った現在では、行内業務効率化や長野銀行統合に向けた対応に注力できる体制を維持しています。
【会社概要】
県民に愛されるトップバンクとして地域経済の発展と豊かな暮らしに貢献
八十二銀行についてご紹介ください。
当行は長野市に本店を構える地方銀行で、地域のトップバンクとして皆さまに愛される銀行を目指しています。
その取り組みの一環として、2026年1月1日に長野銀行との合併を予定しており、これに伴い、社名も「八十二長野銀行」となります。
この合併に伴う早期融和を図るとともに、これまで両行が培ってきたノウハウ、リレーション及び人材を掛け合わせることで、地域とともに成長する銀行へのさらなる変革を推進していきます。今まで以上にお客さまに寄り添い、地域の企業の「価値創造」と生活者一人ひとりの「豊かさ」の実現に向け、ともに歩んでいく所存です。
IT の取り組み状況も教えてください。
長野銀行との合併について述べましたが、これに先立って 2023年10月、連結子会社であった八十二システム開発株式会社を吸収合併しました。当行グループにおける経営資源の有効活用を図り、システム開発力の増強を目的とするものです。一方では、他の地方銀行との連携にも積極的に取り組んでいます。
当行は銀行の勘定系システムを共同利用する地方銀行 7行の(山形銀行、筑波銀行、武蔵野銀行、八十二銀行、阿波銀行、宮崎銀行、琉球銀行)の枠組みである「じゅうだん会」に参画し、当行が開発したシステムの共同化を進めてきました。
そしてこのたび、同じく地銀の連携組織である「TSUBASAアライアンス」(千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行)とも連携し、システムや店舗運営・業務効率化、サイバーセキュリティなどの課題解決に共同で取り組む「TSUBASA・じゅうだん会共同研究会」を発足させました。
さまざまな IT システムに関して、高い親和性をもつ両グループが多くの知見やノウハウを共有することで、効率的なシステム運用・業務プロセスを実現し、お客さま向けサービスの高度化をはじめ、地域経済の持続的な成長に貢献することを目指しています。
【導入の背景】
Microsoft 365 の運用に伴うデータバックアップ体制の構築が急務に
Microsoft 365 上のデータバックアップが急務になっていた理由を教えてください。
当行では行内業務の効率化や従業員体験向上を目的に Microsoft 365 を活用しています。そうした中でバックアップの問題が浮上したきっかけは、2024年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法への対応です。
お客さまや取引先とやり取りした見積書や請求書、領収書などの帳票類を、当行では Microsoft 365 の Microsoft SharePoint に電子データとして保存していますが、改正電子帳簿保存法を遵守するためには、これらのデータを長期間にわたって確実に保管するとともに、「税務調査の際に帳簿や書類、電子取引データを検索できるようにする」という法的要件を満たすための検索機能を備える必要がありました。
電帳法対応以外にもデータバックアップ体制における課題はありましたか。
BCP の観点からも、Microsoft 365 上でのデータ保護を強化する必要がありました。Microsoft 365 では日本マイクロソフトとユーザーの間の責任分界点が明確に定められており、Microsoft 365 のインフラやサービスは日本マイクロソフトが管理していますが、それ以外はユーザー側の責任となります。
要するに Microsoft 365 上で運用するデータの安全とコンプライアンスの維持はユーザーに委ねられており、当行としてもその体制を確立することが急務でした。
とはいえ、独自に Microsoft 365 のバックアップ環境を構築するとなれば、多額の初期投資が発生するほか、基盤の運用保守にもかなりの工数がかかってしまいます。システム部門の人的リソースも限られているため、運用保守は非常に重い負担となります。
そうした中、JBS から提案を受けたのがマネージドバックアップ for Microsoft 365 です。
マネージドバックアップ for Microsoft 365は、Microsoft 365 上で運用しているデータのバックアップを実施するにあたり、必要な初期設定から日々の運用や監視まで JBS が代行してくれるサービスです。データ復旧時の操作手順書の提供や問い合わせ対応などのサポートも充実しており、当行にとって最適なソリューションであると判断しました。
【JBS 選定の経緯】
アプリ開発プロジェクトを通じて構築した信頼関係とマイクロソフト製品に対する技術力を評価
JBS 及びマネージドバックアップ for Microsoft 365 のどんな点を評価しましたか。
株式会社八十二銀行 システム部(システム企画)
主任調査役 西村 英昭 氏
JBS とは 2021年頃から取引があり、現在も Microsoft Power Platform を用いたアプリの開発に共同で取り組むなど、すでに強い協力関係が築かれています。こうした実績を通じて、各種マイクロソフト製品やクラウド(Microsoft Azure、Microsoft 365)に関する JBS の高い技術力や真摯なサポートには、かねてから信頼を寄せていました。
そんな JBS からの提案ということもあって、マネージドバックアップ for Microsoft 365 もほぼ一択で選定に至った次第です。前述したメリットのほか、コストが当行の想定範囲内に収まっていたことも、導入の決め手となったポイントの 1つです。
【プロジェクトのプロセス】
わずか 3か月でバックアップ運用を開始し、日常業務のあらゆる重要データを保護
プロジェクトはどのようなスケジュールで進められたのですか。
マネージドバックアップ for Microsoft 365 の導入を決めたのは 2023年12月ですが、そのわずか 3か月後の 2024年2月より運用を開始しました。
仮に同等の規模や機能を備えたバックアップ環境を新たに独自に構築していたならば、現行の Microsoft 365 とは異なるMicrosoft Azure のリージョンでのインフラの調達、バックアップソフトの導入、テスト、運用スキルの習得などに膨大な時間を費やしたと考えられます。3か月という短い期間でサービスインを実現できたのは、マネージドサービスならではの利点です。
現在、改正電子帳簿保存法の対象となる Microsoft SharePoint 上の取引データだけでなく、Microsoft Exchange Online(メール)や Microsoft Teams(チャット)の履歴、Microsoft OneDrive の共有ファイルなど、Microsoft 365 上で行われている日常業務のあらゆる重要データを、マネージドバックアップ for Microsoft 365 でしっかり保護しています。
プロジェクトの途中で不安や苦労はなかったのでしょうか。
本店がある長野市と JBS の技術者がいる東京は物理的な距離が離れているため、当初は双方のコミュニケーションが十分にとれるのか、若干の懸念がありましたが、完全な杞憂に終わりました。
Microsoft Power Platform を用いたアプリ開発と同様、当行からのさまざまな問い合わせにも迅速に対応するなど、リモート環境でも真摯なサポートをいただいており、意思疎通にまったく問題はありませんでした。
また、マネージドバックアップ for Microsoft 365 のサービス提供基盤の 1つに採用されているバックアップソフトの AvePoint について、当行はその機能やパフォーマンスを検証するため、AvePoint Japan のサポートを受けながら試用版を用いてトライアルを実施したのですが、この結果についても JBS 側ですべて把握し、マネージドバックアップ for Microsoft 365 の運用設計に反映してくれました。おかげでプロジェクトの途中段階で大きな手戻りを起こすことなく、スムーズにサービスインにつなげることができました。
【導入効果】
重要データの保護により BCP 対応とセキュリティ強化を両立
マネージドバックアップ for Microsoft 365 によりどんな手応えを得ていますか。
株式会社八十二銀行 システム部(システム企画)
小林 由希子 氏
サービスインから約半年が過ぎた現在も、マネージドバックアップ for Microsoft 365 は問題なく運用を続けており、Microsoft 365 上の重要データを厳重に保護しています。当初からの課題であった改正電子帳簿保存法の法的要件や、金融庁をはじめとする監督省庁のガイドラインを満たすとともに、BCP やセキュリティ対策の観点からもデータ保護レベルは大きく向上したと考えています。
バックアップデータの検索や復旧も迅速です。ごくまれに担当者の操作ミスなどによって必要なデータを削除してしまうことがありますが、そんな場合でも依頼を受けてから 1日以内で目的のデータを復旧できるめどが立ちました。
【今後の展望】
Microsoft 365 のさらなる利活用に向け OA 環境の最適化に取り組む
今後に向けた計画や構想をお聞かせください。
当行の職員はこれまでシンクライアント端末から Microsoft 365 の各サービスにアクセスしてきたのですが、それぞれの業務での利用範囲や頻度が拡大するのに伴い、パフォーマンス性に課題が出始めています。Microsoft 365 を最大限活用するうえで、職員がストレスなく OA パソコン上で業務遂行できることは必須要件となりますので、今後は OA 環境の最適化を目指していきたいと考えています。
【JBS への評価】
ビジネスパートナーとしてのさらなる支援を期待
あらためて JBS の導入支援・サポート体制に対する評価をお聞かせください。
JBS の手厚いサポートのおかげでマネージドバックアップ for Microsoft 365 のスムーズな導入を実現するとともに、現在も高信頼の運用を続けています。万一、何らかの問題が発生した場合でも、迅速な対応をいただけるので安心です。
しかし、IT システムを取り巻く当行の課題はバックアップだけではありません。お客さまサービス品質の向上や行内業務の変革を目指した DX を進めていくためには、現在もオンプレミスに残っているレガシーシステムのクラウド移行のほか、その取り組みと歩調を合わせた BCP やセキュリティ対策のさらなる強化が不可欠です。JBS には引き続き当行のビジネスパートナーとして、より一層のご支援をいただければ幸いです。
JBS 担当者からのコメント
このたびは、JBS のマネージドバックアップ for Microsoft 365 を導入していただきありがとうございます。サービスのメリットである「導入から運用まで一気通貫でサポート」を評価していただいて大変うれしく思います。引き続き、お客さまの課題解決に向けてより良いご提案ができるよう尽力してまいります。
金融・保険事業本部 金融1部 1課
小俣 菜々
このたびは、マネージドバックアップ for Microsoft 365 を採用していただき、大変うれしく思っております。今後とも、八十二銀行さまのシステム部門の方が安心して本来の業務に集中できるよう、データバックアップについては引き続き JBS にお任せください。
クラウドマネージドサービス事業本部 テクニカルサポートセンター テクニカルサポート3グループ
齊藤 直哉
八十二銀行さまのクラウドデータバックアップに貢献でき大変うれしく思います。リモート環境で頻繁にやり取りをさせていただき、八十二銀行さまのご協力のもと、短い期間でスムーズな導入が無事に完遂できました。深く感謝申し上げます。クラウドデータバックアップについて、少しでもシステム部門の方のお役に立つことができるよう、今後も尽力してまいります。
クラウドマネージドサービス事業本部 テクニカルサポートセンター テクニカルサポート2グループ
千田 航也
株式会社八十二銀行
本社所在地:長野市大字中御所字岡田178番地8創立:1931年8月1日
資本金:522億円
従業員数:3,041人(2023年3月31日現在)
事業概要:銀行業務を中心としたさまざまな金融サービス
2024.09.12公開