製造

UBE三菱セメント株式会社

国内実績のグローバルレベルでの IT ガバナンス展開により、
大きなシナジーを引き出し、持続可能な運用体制を確立

グローバルでの IT ガバナンス強化事例 UBE三菱セメント株式会社

国内と同一のポリシーをグローバルで展開し IT ガバナンスを強化
時差の壁を超えた持続可能な運用体制を実現

UBE三菱セメントでは、「セキュリティ」と「シナジー」を軸に、国内と同一ポリシーによるグローバル IT ガバナンス強化を推進しています。JBS との継続的なパートナーシップのもと、あえて最難関の拠点から着手する大胆なアプローチによりノウハウを蓄積し、グローバルサービスデスクと連携することで、現地の業務時間に合わせた柔軟なサポートを提供。これにより、持続可能な運用体制を確立しています。

グローバルでの IT ガバナンス強化事例 UBE三菱セメント株式会社

【会社概要】
無限に進化し続けるグローバルカンパニーを目指す

UBE三菱セメントは、三菱マテリアル株式会社ならびに UBE株式会社がそれぞれ 50%出資し、2021年4月に設立されました。そして両社のセメント事業および関連事業を統合する形で、2022年4月1日より営業を開始しました。

無限に進化し続けるグローバルカンパニーを目指す

自らの使命を、ビル・橋梁・道路などの社会インフラの整備に向けた基礎素材の安心・安定供給と、循環型社会の発展に貢献することを通じて、地球と人びとの持続可能な未来を、世代を超えて守りつづけることと位置づけています。両社の長い歴史の中で培われてきた「挑戦とイノベーションの精神」と「卓越した技術の力」を融合し、大きく発展させることで、目指す姿の実現、さらなる成長に向け、全社一丸となって取り組んでいます。

また、海外では北米、アジア、オセアニアの 3地区に、合計 9社の現地法人を擁し、グローバルなビジネスを展開しています。

【導入の背景】
「セキュリティ」と「シナジー」の2軸が IT ガバナンスの定義

グローバルに事業を展開する企業にとって、IT ガバナンスの海外展開は決して簡単な課題ではありません。国・地域ごとに異なる法規制、言語や文化、商習慣の違い、バラバラの IT 環境、現地法人間の主導権争いなど、さまざまな壁が立ちはだかり、本社主導による標準化を妨げ、投資効率や安全性の確保を困難にします。

そうした中、三菱マテリアルと UBEのセメント事業が統合して誕生した UBE三菱セメントは、今回の「新会社としてのスタート」を絶好の機会として捉え、IT ガバナンスの海外展開に踏み切りました。

同社 情報システム部長の国井 巌氏は、「やるか、やらないかの議論はまったく行いませんでした。新会社が始動する以上、IT ガバナンスを効かせるのは当然です。何年も経ってから始めるほうが、よほど難しくなりますから」と振り返ります。

ここで同社が掲げた目標は、極めてシンプルです。「当社の IT ガバナンスは『セキュリティ』と『シナジー』を 2 軸としています」と国井氏は強調します。

まずセキュリティについては、国内と海外で同じポリシーを適用することを原則とする基本方針を貫いています。一方のシナジーは、IT インフラの統合を進めることで導入効果を高めていきます。例えば Microsoft 365 やゼロトラストネットワーク、SD-WAN などのインフラをグローバルで統一し、各地の個別事情に応じた細部だけを調整するアプローチを取っています。

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部長 国井 巌 氏

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部長
国井 巌 氏

「国内での実績をそのまま海外でも生かせるという確信がありました。クラウドの時代、グローバルでやるべきことに本質的な違いはありません」(国井氏)

【JBS 選定の経緯】
国内 IT インフラ構築を担ったコアメンバーが継続

IT ガバナンスの海外展開を進めていくにあたり、同社はそのパートナーとして JBS を選定しました。

「JBS とは、当社設立時の国内 IT インフラ構築でも協働してきました。このプロジェクトで重要な役割を担ったリーダーをはじめとするコアメンバーがそのまま残り、同じフォーメーションで IT ガバナンスの海外展開に臨むと約束してくれたのです。当社の IT インフラを熟知し、もともと課題感を共有できている JBS を選定したことは、まさに自然な流れでした」(国井氏)

同社 情報システム部 企画管理室長の瀧口 靖博氏も、「気心の知れた JBS のメンバーと再びタッグを組めることになり、とても心強く思いました」と続けます。

【導入プロセス】
あえて最難関から始めたことが最大の成功要因

IT ガバナンスの海外展開の第一弾として選ばれたのは、米国の大型拠点である Mitsubishi Cement Corporation(以下、MCC 社)および Robertson's Ready Mix, Limited(以下、RRM 社)です。一般的には、小規模な拠点から段階的に進めるケースが多く見られますが、同社はあえて逆の選択をしたのです。

「万一何らかのインシデントが起こった際に、ビジネスに与える影響が最も大きい現地法人から、まず着手すべきと決断しました」(国井氏)

結果として、この戦略が大きく功を奏しました。

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部 企画管理室長 瀧口 靖博 氏

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部 企画管理室長
瀧口 靖博 氏

「最初に難易度の高い拠点を経験したことで高度なノウハウが蓄積され、その後の展開がスムーズになりました。MCC 社および RRM 社の実績をベースに、JBS に作成してもらったテンプレートを用いて基本方針と拠点ごとにアジャスト(調整・適合)が必要な部分を明確に切り分けることで、3 社目以降は大幅に工数を削減できました」(瀧口氏)

もっとも、この過程では多くの苦労があったのも事実です。JBS 側のプロジェクトメンバーは、次のように振り返ります。

「当初はリモートを中心に現地法人との折衝を進めていたのですが、節目となるチェックポイントで現地を訪問したところ、ガバナンス設計の理解度にも齟齬が生じるなどコミュニケーション不足が露呈しました。そこで訪問頻度を増やし、現地特有の環境や課題を直接把握した結果、相手側メンバーの信頼を得られ、積極的な協力体制へとつながりました」(クラウドグローバルサービス事業本部 グローバルデリバリーセンター 山野辺 邦彦)

「お客さま、JBS ともに日本企業であることから、英語力と高度な技術力を併せ持つエンジニアは限られていました。そこで本プロジェクトでは、英語が堪能なエンジニアと技術力の高いエンジニアでチームを編成。英語でのミーティング後には必ず振り返り会を行い、認識合わせとネクストアクションを明確にすることで、円滑なプロジェクト推進を実現しました」(製造事業本部 クラウドインテグレーション部 祝井 大季)

「日本側が夜の時間帯にも現地法人から緊急度の高い連絡が来ることがありましたが、JBS USA のメンバーでできる限りの一次対応を行い、状況を正確に把握したうえで日本側へエスカレーションする橋渡し役を果たしてきました」(製造事業本部 営業1部 1課 牧野 彩乃)

【導入効果】
埋められない “時差” をグローバルサービスデスクがカバー

2026年2月現在、プロジェクトは最終段階に入っていますが、すでに IT ガバナンスの展開を終えた各現地法人における継続的な運用を支えているのが、JBS のリモートサービスデスクを同社向けにカスタマイズした「グローバルサービスデスク」です。これは、JBS のシンガポール拠点から、時差を超えたグローバルサポートを提供するものです。

「IT ガバナンスの海外展開を進めるにあたり、最大の核心はプロジェクト完了後の体制づくりにあると考えていました。どんなにテクノロジーが進化しても、日本の本社と各地域の現地法人との間に存在する “時差” だけは、絶対に埋められないからです。グローバルサービスデスクがこの課題に応えてくれています。問い合わせ対応の実運用を通じて徐々にナレッジを蓄積し、スキルも高まってきていることは、ここまでの取り組みの最大の成果と捉えています。最終的に日本と同レベルまでサポート品質を高めることができれば、これ以上に嬉しいことはありません」(国井氏)

埋められない “時差” をグローバルサービスデスクがカバー

実際、同社内のみで現地の業務時間に合わせたサービスデスク体制を準備し、運用していくとなれば、大変な困難が予想されました。

「仮に当社内のリソースで体制を組むとなると、毎日 2 ~ 3 交代の勤務体制を整えなくてはなりません。ですが、情報システム部内の人的リソースは圧倒的に不足しており、一人ひとりのスタッフに重い負担を強いてしまいます。年末年始や大型連休も関係なく稼働してくれる、JBS のグローバルサービスデスクには本当に助かっています」(瀧口氏)

  • グローバルサービスデスクの体制

  • こうした同社のニーズを受けて、JBS としてもグローバルサービスデスクの体制をさらに強化すべく、日々改善に努めています。

    「国内 IT インフラ構築に始まり IT ガバナンスの海外展開まで、プロジェクトを共に推進してきた私たちだからこそ、各地域の現地法人の課題がどこにあるのかを把握したうえで、必要な運用項目を洗い出し、グローバルサービスデスクに引き継ぐことができました。今後に向けても、この緊密な関係性を生かしたサービスの拡充を図っていきます」(山野辺)

    「実際にグローバルサービスデスクは、運用開始後も絶え間なくカスタマイズを続けています。例えば各現地法人で業務上のネックになりがちだったゼロトラストネットワーク関係の問い合わせについて詳細なマニュアルを整備し、グローバルサービスデスクのみで一次対応を完結できる体制に発展させています」(グローバルサービス事業本部 グローバルデリバリーセンター1グループ 稲井 隆太)

    【今後の展望】
    ビジネス側への貢献に投資を集中していく段階へ

    冒頭でも述べたとおり、IT ガバナンスの海外展開は簡単ではありません。同じ悩みを抱える企業の CIO に向けて、国井氏は次のようなメッセージを送ります。

    国井 巌 氏、瀧口 靖博 氏

    「IT ガバナンスの海外展開から逃げて済む時代はもう終わりました。誰もがやるべき責務と理解しており、そこで求められるのは覚悟だけです。特に IT インフラのガバナンスについても、クラウド時代の今こそ対応できます。課題を先送りし、次世代に負担を残すのか、それとも会社の将来のために覚悟を持って取り組むのか――そのどちらかです」

    実際、攻めの姿勢でチャレンジした同社だからこそ、蓄積したノウハウに基づくテンプレートを活用しながら、今後の新たな現地法人の開設や M&A といった動きにも柔軟に対応できる体制を整えることができました。

    「もはや当社は新会社ではありません。IT 基盤整備の段階はすでに完了しており、次はいよいよビジネス側への貢献に投資を集中していく段階に入りました」とする国井氏の言葉は、新たな時代の成長を見据えた強い意志を示しています。

    UBE三菱セメント株式会社

    代表取締役社長:平野 和人
    本社所在地:東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング
    設立:2021年4月14日
    従業員数:連結 7,872人、単体 1,849人(2025年3月末現在)
    事業概要:国内・海外(米国ほか)のセメント事業および生コンクリート事業、石灰石資源事業、環境エネルギー関連事業(石炭事業、電力事業、環境リサイクル事業)、建材事業その他関連事業等

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    2026.03.25公開

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