製造

サンスターグループ

将来のグローバル標準化を見据えてMicrosoft Dynamics 365 Finance を導入。
月次の手作業をなくし管理会計を高度化

Microsoft Dynamics 365 Finance 導入事例 サンスターグループ

業務部門主導の会計システム刷新
グローバルで戦える、手作業に頼らない経理基盤へ

オーラルケア製品や健康食品などの消費財事業と、接着剤・シーリング材や二輪・四輪車部品などの生産財事業をグローバルに展開するサンスターグループ(以下、サンスター)。同社は、2002年から利用してきた会計システムのサポート終了を機に、Dynamics 365 Finance で刷新しました。そして、業務部門が主体となって Fit to Standard の方針のもとプロジェクトを進め、長年の改修で複雑化した業務プロセスを見直すとともに、グローバル標準化にも対応できる経理基盤を構築しています。

業務部門主導の会計システム刷新 グローバルで戦える、手作業に頼らない経理基盤へ

【事業概要】
消費財及び生産財を通して「お口と全身の健康」と「安全」を両軸で支える

サンスターのオーラルケア製品、GUMの歯周病予防用歯みがき粉・洗口液・歯ブラシ・電動歯ブラシ等

オーラルケア製品や健康食品などの製造・販売を手掛ける消費財事業と、建築・自動車用の接着剤・シーリング材や二輪・四輪車部品などの製造・販売を手掛ける生産財事業を展開しているサンスター。現在のグループ本社はスイスにあり、21カ国に拠点を置き、100 以上の市場で事業を展開しています。

消費財事業では、「G・U・M(歯周病予防)」「Ora2(オーラルビューティ)」「健康道場(健康食品)」などのブランドを軸に「お口の健康から全身の健康へ」という考え方を打ち出し、歯周病と全身疾患の関係に関する研究にも長年取り組んできました。

一方の生産財事業は、高い技術力と品質が認められ、接着剤・シーリング材は世界的な自動車メーカーや主要な施設に製品が採用されています。大型バイク向けのディスクブレーキやチェーンのスプロケット(※歯車の一種で「チェーンホイール」とも呼ばれる)では国内トップクラスのシェアを誇り、海外の大手二輪車メーカーにも数多く採用されています。

【導入の背景】
グローバル標準化に向けて複雑化していた会計システムの再構築を決断

サンスターは近年、グローバルな組織体制への移行を進めています。IT についてもグローバルを横断した新体制のもと、消費財事業、生産財事業、コーポレートの 3組織におけるシステムとセキュリティの一本化を目指しています。

IT&DX推進部 コーポレートシステムグループ長の小島 大明氏は、「これまで各システムは、ヨーロッパ、アメリカ、日本、そして日本を除くアジア地域(シンガポール拠点が中心)の 4地域でそれぞれ管理され、サイロ化した状態にありました」と話します。

そうした中で顕在化していたのが、既存の会計システムの課題です。2002年から運用してきたこのシステムは、安定稼働を続けていたものの、経営環境の変化やその時々のニーズに合わせて改修を重ねるうちに複雑化していました。

IT&DX推進部 データマネジメントグループ長の佐保 洋志氏は、「業務自体は円滑に進んでいましたが、実際にはシステムの都合で、本来不要な作業を続けざるを得ないプロセスが少なくありませんでした。大半は不要でも、一部が別処理の元データになっているため廃止できないのです。また、当時の分析軸に合わせてシステムを作り込んでいたため、事業環境の変化に柔軟に対応できない課題もありました」と明かします。

サンスターグループ IT&DX推進部 コーポレートシステムグループ長 小島 大明 氏

サンスターグループ IT&DX推進部 コーポレートシステムグループ長
小島 大明 氏

加えて、システムの維持管理に多くの工数・費用がかかっていました。こうした状況を踏まえ、同社は会計システムの再構築を決断。既存の会計システムの EOS(サポート終了)が 2027年に迫っていたことも大きな契機となりました。

【製品・JBS 選定の経緯】
マイクロソフト製品に対する専門性と確かな実績を評価し、JBS を選定

サンスターグループ IT&DX推進部 データマネジメントグループ長 兼 コーポレートシステムグループ 佐保 洋志 氏

サンスターグループ IT&DX推進部 データマネジメントグループ長 兼 コーポレートシステムグループ
佐保 洋志 氏

新たな会計システムの基盤選定にあたって前提としたのは、グローバルで使えるソリューションであることです。そこで注目したのが、Microsoft Dynamics 365です。実はサンスターグループでは、シンガポールやタイの拠点で 2021年頃からすでに Microsoft Dynamics 365を運用しており、米国でも導入が進められていました。この実績も踏まえつつ、複数製品に対する評価を実施した結果、採用を決めました。

「Microsoft Dynamics 365は機能が過度に多くない分シンプルで、財務分析の項目なども柔軟に変更できます。コアビジネスに必要な機能を十分に備え、マイクロソフトからライセンスの購入方法や、将来的にグループの他拠点とライセンスを融通する方法まで手厚い助言を得られたため、コストと機能の両面で費用対効果が高いと判断しました」(佐保氏)

既存のマイクロソフト製品との親和性も大きなポイントでした。

「当社では Microsoft 365を使っており、皆がその使い勝手に慣れています。操作性や見た目になじみがあるので、ユーザーにとって親近感を覚えやすいと思いました。さらに、認証基盤に Microsoft Entra ID を使っていることもあり、マイクロソフト製品との相性は無視することができません」(小島氏)

そして、マイクロソフトからの推薦を受け、JBS を導入パートナーに選定しました。

「JBS はMicrosoft Dynamics 365の専門部隊を擁し、マイクロソフトのアワードも受賞するなど、国内トップレベルの知見を持つと聞いていました。また、マイクロソフト製品を幅広く扱い、要件定義から開発、展開、運用まで一貫して対応できる点も評価しました」(佐保氏)

【導入効果】
業務部門が自ら業務を見直し、手作業に頼らない経理基盤を構築

プロジェクトは 2023年春ごろから構想策定に着手し、2024年1月に本格的にスタートしました。その後、約 5か月にわたる要件定義では、週 2回のペースで、ほぼ対面での会議を重ねました。

「私たちは普段の業務用語で説明するため、一般には伝わりにくい表現も多かったと思います。それでも JBS の皆さんが意図をくみ取り、当社の業務フローを理解していただき、とても助かりました」と話すのは、プロジェクト当時、財務部に所属していた武市 朋子氏です。

プロジェクト当時、財務部に所属していた藤田 理恵子氏も、「たとえば支払い業務では、取引先ごとに支払い方法やサイトが異なるため、当初は認識のずれもありましたが、打ち合わせを重ねることで、両社の認識を合わせることができました」と続けます。

その後も対面とリモートを併用して仕様と進捗を確認し、2024年6月以降、開発、結合テスト、総合テスト、UAT(ユーザー受け入れテスト)を実施。2025年10月に並行稼働を開始し、期間中は Web 会議を通して状況を共有しながら課題の早期把握と改善を進めました。

業務部門が自ら業務を見直し、手作業に頼らない経理基盤を構築

プロジェクトを通じて徹底したのが、Fit to Standard の方針です。Microsoft Dynamics 365の標準機能を最大限活用することで、定期的なバージョンアップの恩恵を受け、最新のイノベーションを継続的に享受できる基盤の構築を目指しました。

「法制度上不可欠なもの、業務に必須のもの、他社との差別化につながるもの。この 3点を基準に、『あれば便利』という機能は極力省き、カスタマイズを最小限にしました」(佐保氏)

また、標準機能で満たせない要件は、まず業務目的に照らして必要性を見極め、必要な場合も標準機能に合わせて業務を変更できないかを業務部門で検討しました。それでも追加機能が必要なら、想定される定量・定性効果や、システム化しない場合の代替運用と工数を申請書にまとめ、プロジェクト事務局の一次審査とステアリングコミッティ(※プロジェクトや組織の方向性や優先順位などを決めるための会議体)の最終審査を経て、対応の可否を判断しました。

本体へのアドオンを避けるため、Microsoft Power Platform や Microsoft Power BI を活用した内製化も積極的に進めました。Microsoft Dynamics 365からの出力レポートは制度会計に限定し、管理会計・分析系のレポートはすべて Microsoft Power BI に移行。一部は JBS が開発し、大部分は内製で開発することで、スキルの習得とプロジェクトコストの削減を両立しています。さらに、ユーザーへのヒアリングや利用実態の調査を踏まえて不要なレポートの廃止や類似レポートの統合を進め、レポート数を約 45%削減しました。

また、企業や国ごとに要件が分かれやすい固定資産や資産リース(リース資産)の領域にも対応しました。これらは減価償却の方法をはじめ日本固有の会計要件が多く、Microsoft Dynamics 365でも対応事例が限られます。今回のプロジェクトでは、固定資産管理の既存システムからの移行に加え、個別に運用していたリース資産管理のシステム化までを問題なく完了しました。

プロジェクト当時、財務部に所属していた寺澤 厚美氏は、「旧システムに慣れた人には『以前はできたのに』と感じる点もありますが、Microsoft Dynamics 365から使い始めた人にとっては、よりシンプルでわかりやすくなったと思います」と話します。

2026年1月に本稼働した新会計システムは、早くもさまざまな効果を上げています。その一つが、配賦データの生成・投入作業の自動化です。「従来、財務部門は月次締め後の第1営業日に約 8時間をかけて手作業で対応していましたが、現在は作業時間がほぼゼロになりました」(武市氏)

支払い業務の効率化も大きな成果です。「海外送金を 1件ずつ手入力していたのが、現在はデータで一括処理できるようになり、大いに助かっています」と藤田氏は語ります。

  • 月次締め後の配賦データの生成・投入作業は毎月約8時間からほぼ0に。管理会計・分析レポートの見直しで、レポート数を約45%削減。海外送金データの作成を手作業からシステム化。

  • 【今後の展望】
    生成 AI 活用も見据え、業務部門と IT の連携でさらなる業務変革へ

     集合写真

    すでにサンスターは、次の段階へと歩みを進めています。会計基盤については Microsoft Dynamics 365への移行が完了しましたが、他の基幹システムの中には現在もホスト上で稼働しているものも残っています。これらも数年以内にサポート終了を迎えることから、Microsoft Dynamics 365を移行先の候補の 1つとして、今後の方針を検討しています。

    一方、グローバル共通のデータ分析基盤や管理会計の仕組みの整備など、継続的な改善も進めています。そうした中、特に期待が高まっているのが AI 活用です。小島氏は、「Microsoft Dynamics 365で Microsoft Copilot を活用し、業務効率化などにつなげたいと考えています。JBS には、Microsoft Dynamics 365における生成 AI の具体的な活用方法をぜひ教えてほしいですね」と要望を寄せます。

    最後に佐保氏は、「システムはあくまで手段です。導入や置き換えそのものを目的とせず、業務部門を巻き込みながら、業務変革を軸とした見直しを並行して進めることが重要です」と語ります。
    サンスターは今後も、業務部門と IT&DX推進部の密な連携により、さらなる DX を推進していく方針です。

    サンスターグループ

    設立:1932年
    従業員数:グループ全体約 4,000名
    事業概要:オーラルケア製品、健康食品、ビューティーケア製品などの消費財と、自動車・建築・電子機器向け接着剤・シーリング材、二輪・四輪車向け金属部品などの生産財の製造・販売

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    2026.11.04公開

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