Microsoft Dynamics 365 Business Central 導入事例
ミウラボイラメキシコ株式会社
メキシコ日本法人の会計業務 DX 化を推進 Microsoft Dynamics 365 Business Central を約 5か月で導入
業種 | 流通・サービス・公共・その他 |
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テーマ | ERP |
製品パートナー | マイクロソフト |
(右から)Miura International Americas, Inc. 販売事務 担当 Anny Soto氏、同Pan American Executive Operations Analyst 青木 崇光氏 、同 経理担当 Brenda Morales 氏(左から2番目)JBSメキシコ エンジニア 岡田 一郎
日系企業におけるクラウド ERP の構築・運用を JBS メキシコが現地でトータル支援
メキシコにおいてボイラおよび関連機器などの販売・メンテナンスを手がけるミウラボイラメキシコ株式会社(以下、ミウラボイラメキシコ)では、Microsoft Dynamics 365 Business Central(以下、Dynamics BC)を独自に導入。会計関連業務の精緻化・省力化・迅速化・効率化を実現しました。
【会社概要】
熱・水・環境のベストパートナー「ミウラグループ」
ミウラボイラメキシコについてご紹介ください。
ミウラグループはお客さまに役立つ独自の技術で、熱・水・環境分野における多彩な製品やシステムを開発・製造し、メーカーならではのワンストップメンテナンスを展開しています。
主力の貫流ボイラとボイラ技術を基盤に、水処理機器、食品機器、メディカル機器、排ガスボイラなどの機器を組み合わせた工場のトータルソリューションをグローバルに提供することで、工場全体のエネルギー問題にも解決策を提案できる体制を整備しています。また、省エネ・工場診断と水分析データなどをもとに、お客さまが直面している課題から潜在的問題まで、省エネ問題やトータル水処理の解決策も提案しています。
常に地球環境への配慮のもと、グローバルに提案できる製品を開発することを目指し、独自の高機能化技術でさまざまな製品の省エネ・省資源・優環境を実現しており、CO2 や NOx の排出量削減など技術力は高く評価され、数々の権威ある賞を受けています。
日本で培った技術とサービスを世界のお客さまに届けたいという思いから、北米をはじめ、メキシコ、ブラジルなど中南米地域、さらには韓国や中国、ASEAN 地域全体へと拠点展開を積極的に進めており、ミウラボイラメキシコではアメリカの工場で製造したボイラ関連製品のメキシコ合衆国への販売を担っています。
【導入背景】
導入にリソースや時間がかかる自社 ERP を回避し、汎用パッケージを選択
Dynamics BC は、日本などほかのミウラグループでも導入されているのでしょうか。
Miura International Americas, Inc. Pan American Executive Operations Analyst
青木 崇光氏
日本の本社では自社開発した ERP を導入しています。同システムのミウラボイラメキシコでの導入も検討したのですが、メキシコ特有の Factura(請求書)や税務署(SAT)のシステムとのデータ連携を考慮すると、それを日本の情報システム部が理解してシステムを構築する必要がありました。
そのため、自社開発した ERP システムには大幅な改修が必要でした。導入にリソースや時間がかかること。また、ビジネスのサイズ感なども異なることから同システムの導入を断念し、今回、Dynamics BC を導入するにいたりました。
Dynamics BC を導入した経緯を教えてください。
Dynamics BC の導入前は、会計業務の各データを表計算ソフトや経理業務を対象とした会計ソフトなどを用いてバラバラに管理・処理していました。そのため、業務が複雑化していただけでなく、売掛・買掛・在庫の一覧などを簡単に確認することができず、集計した数字が会計データと合わないといったような状況も発生していました。
そのため、あやふやなデータを見て経営的な判断を下さなければならなかったり、日本の本社へのレポートに時間がかかったりしていたため、ミウラボイラメキシコのトップダウンで ERP の導入を進めることになりました。
【選定理由】
日本語およびスペイン語で現地サポートを受けられる JBS メキシコの提案を採用
Dynamics BC を採用したポイントを教えてください。
日本で利用している ERP の導入は難しく、IT 部門などを持たないミウラボイラメキシコがシステムを自社開発するのは現実的な選択肢ではありません。そのため、汎用 ERP パッケージの導入を前提にJBS メキシコへ相談をしたところ Dynamics BC の導入に関する提案を受けました。
提案を受ける前は、Dynamics BC については詳しく知りませんでしたが、次のポイントから導入を決めました。
- 規模の企業向けに適しているという評価が高い
- クラウド型 ERP パッケージなので導入・運用にかかる負荷やコストを抑えられる
- 原価管理、債権債務、受発注など基本的な機能がパッケージに網羅されている
- スペイン語および英語に対応している
- メキシコ税制に対応できる(オプションモジュール)
- マイクロソフトのサービスなので、信頼性やセキュリティが担保されている
- Microsoft Office 製品との親和性が高い
- 世界中の企業において導入実績が豊富である
- JBS メキシコによる現地サポートが受けられる
JBS メキシコへとサポートを依頼した理由を教えてください。
私の知っている限り、メキシコで日本語・英語・スペイン語の 3言語でサポートをしてもらえるシステムベンダーはほかになく、私自身も含め日本からの駐在員にとっては大きな安心材料となります。もちろん言葉の問題だけでなく、最初に現状を把握してもらうために当時のオペレーションや業務を現地でヒアリングしてもらったのですが、その様子を見たりやり取りを通じて、業務理解力や会計業務に関する知見もあるので、信頼できるという印象を持ちました。
加えて、システムの提案に関して、メキシコ国内における日系企業に対する Dynamics BC をはじめとしたマイクロソフト製品・サービスの導入実績が豊富で、さらに導入から運用までのメソッドを確立しているので、システムの専門家がいないミウラボイラメキシコにとって最適なパートナーだと判断しました。
【利用状況】
会計モジュールにメキシコ税制対応オプションを組み合わせたERP を導入
ミウラボイラメキシコにおける Dynamics BC の利用状況について教えてください。
ミウラボイラメキシコでは、2020年8月より Dynamics BC の会計モジュールに、JBS が開発したメキシコ税制対応オプションを組み合わせた ERP を導入しました。Dynamics BC の標準機能をベースに、仕訳業務や在庫および在庫の原価管理、売上・売掛・買掛の管理などを実施しており、現在、メインオフィスのあるメキシコシティのほか、3か所の地方拠点でも利用しています。
使用言語を教えてください。
通常のオペレーションは現地スタッフがスペイン語で利用していますが、日本やアメリカから駐在している社員は英語で利用していることが多いようです。
使い勝手はいかがでしょうか。
業務をパッケージの機能に合わせたこともあり、当初は戸惑いもあったようです。しかし、Microsoft Office 製品と使い勝手が似通っている部分も多く、JBS メキシコに導入トレーニングもしてもらったので、すぐに慣れました。
Dynamics BC を導入する際に、JBS メキシコの担当した業務を教えてください。
JBS メキシコには、導入前の業務調査をはじめ、Dynamics BC のコンセプトトレーニング、設計、構築、メキシコ税制機能のアドオン、受入テストのサポート、ユーザートレーニング、運用サポートなど、導入から運用までトータルで対応してもらいました。
JBS メキシコによる Dynamics BC の導入スケジュール例
【導入効果】
データの一元管理により、会計関連業務の精緻化・省力化・迅速化・効率化を実現
Dynamics BC の導入効果について教えてください。
経営的な視点から見ると、データを一元管理できるようになり、経営指標が正確かつ迅速に確認・レポートできるようになったことが最大の導入効果であると捉えています。
現場のオペレーションに関しては、業務の精度向上や効率化にもつながっています。たとえば、これまで都度、手入力していたアイテムの金額データなどを、一覧からアイテムを選ぶだけで自動入力できるようになったので、作業の省力化や時間短縮、ミス・漏れの防止を図ることができました。
また、標準的な業務の流れがパッケージ化されており、承認フローを設定することで、これまで紙の伝票を使っていた発注や請求といった業務のペーパーレス化を実現し、迅速化・効率化を図ることもできました。
導入にあたり、苦労したことなどがあれば教えてください。
パッケージに業務内容を合わせる必要があったので、従来の業務をヒアリングしてフローチャートで可視化した後、Dynamics BC で想定されている業務フローへと落とし込み、新しい業務フローを完成させなければなりませんでした。私自身がシステムの専門家ではなく、汎用パッケージの導入に携わった経験もなかったので手間取ったところもありました。
結果的には、JBS メキシコが提供している Dynamics BC のコンセプトトレーニングがとても役に立ち、JBS メキシコと相談しながらシステムの仕様を固めることができたので、満足できるレベルの機能を実現できました。
また、業務が可視化されたので、これまでは問題があってもどこをどう変えればいいのかを把握するのが難しかったのですが、いち早く問題点や関連する業務を把握できるようになったのは、想定外の成果でした。
今後の拡張予定などがあれば教えてください。
Dynamics BC によって単なる会計業務だけでなく、在庫や請求、受注、仕入といった業務領域の一部も一元的に管理できるようになりました。具体的にはまだ決まっていませんが、対応する業務領域を拡大して、販売や出荷、予算といった業務の効率化を図っていきたいと考えています。
また、適用する業務範囲はまだ限られていますが、今回の Dynamics BC の導入はこれまでミウラグループ内ではあまり利用されてこなかった汎用パッケージによる ERP 導入の成功例となりました。工数やコストをかけず、短期間で導入でき、一定の成果も上がっていますので、今後、グループ内のグローバル拠点における汎用パッケージ活用の促進にもつなげていきたいと考えています。
【JBS メキシコへの評価】
迅速で真摯な対応を評価
JBS メキシコの対応に対する評価をお聞かせください。
JBS メキシコは、常に迅速で日系企業ならではの真摯な対応で要望に応えてくれました。特に、コロナウイルス感染拡大の影響により、私自身が現地に出向けなくなってからも(青木氏は Miura International Americas, Inc. の所属であり、通常はアメリカに駐在)、アメリカとメキシコをリモートでつないでシステムの構築を継続できたので、とても助かりました。
コロナの影響もあり、当初予定していたよりもカットオーバーのスケジュールは少しずれ込みましたが、このような状況でも新しいシステムを使い始めることができたのは、クラウドサービスであったことと、JBS メキシコの対応力のおかげだと感謝しています。
JBS 担当者からのコメント
青木様を始め、メキシコのスタッフの方も社内フローや、実現されたいことをプロジェクト開始前からしっかりとまとめていただいていました。Dynamics BC のシステムコンセプトをきちんと把握するために学習に必要な時間を十分にとっていただいたりと、皆さまのご協力があり、プロジェクト Kick Off の後の進みも非常にスムーズでした。コロナがなければ最短期間の導入になったかもしれませんが、それよりもお客さまの重要なご要件がきちんとシステム化でき、管理業務の作業効率が大幅に改善できた点を非常に嬉しく思います。
Japan Business Systems, S.A. de C.V.
Director General 田中 輝
Miura Mexico 様と密接なコミュニケーションをとらせて頂きながら、Dynamics BC の導入をさせて頂くことができました。 今後も引き続き、Miura Mexico 様の良きビジネスパートナーとしてサポートさせていただきたいと思います。
Japan Business Systems, S.A. de C.V.
岡田 一郎
2021.07.08公開