デジタル化による業務効率化事例
DGSHAPE株式会社
分社化に伴う業務システムの刷新に Microsoft Dynamics 365 を採用
アナログな業務フローの改善とペーパーレス化を実現
業種 | 製造・ヘルスケア |
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テーマ |
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製品パートナー | マイクロソフト |
(後列左から)DGSHAPE株式会社 管理部 経営管理ユニット Systemスペシャリスト 三浦 和典 氏、市場開発部 日本カスタマーサポートユニット マネージャー 荒川 哲 氏、事業推進室 室長 花島 正樹 氏、事業推進室 推進1ユニット 医療特務グループ 小久保 貴章 氏(前列左から)市場開発部 副部長 角 圭一郎 氏、事業推進室 推進1ユニット 医療特務グループ 辻 健至 氏
本社依存の業務システムからの脱却を目指し 業務をシステムに合わせる方針で全体最適化を推進
DGSHAPE株式会社(以下、DGSHAPE)は、デンタル・メディカル用 3D 機器の製造・販売や、3D デジタル加工を事業の柱に、3D プリンタや切削機器、それに伴うソリューションを提供する企業です。2017年に親会社であるローランド ディー.ジー.株式会社から分社化するも、営業部門は親会社の業務システムを使い続けていたため、DGSHAPE の業務に沿わない点が多く出てきていました。そこで、システムの刷新を図るべく、Microsoft Dynamics 365(以下、D365)を採用。標準機能に業務を合わせる方針のもとシステムを移行し、ワークフロー全体のデジタル化や業務効率化を可能にしました。
【会社概要】
デンタル・メディカル特化の 3D 機器とソリューションを製造・開発
DGSHAPE についてご紹介ください。
DGSHAPE では、「未来を形にする想像力を」をブランドビジョンに掲げて先進的なデジタルソリューションを提供しています。事業としては、デンタルやメディカル、3D 加工におけるモノづくり事業を手掛けています。また、IoT や AI、次世代のデジタル技術を活用した、効率的なモノづくりのワークフローを各事業分野で展開しています。
2022年4月には「DGSHAPE CLOUD」の提供を開始しました。これは、Web アプリを通じてリモートでメンテナンスサポートを受けたり、スマホの画面で遠隔からハードウェアの状況を確認したりといったことができるクラウドサービスです。
このように我々はハードウェアを提供するだけでなく、デジタル時代に適合したソリューションを提供し、新たな価値の創出を目指しています。
【利用状況】
Azure 環境と親和性の高い Dynamics 365 を業務システムに採用
今回、JBS の提案およびサポートにより導入したシステムについて教えてください。
DGSHAPE が営業を開始したのち、2018年以降、ローランド ディー.ジー.から DGSHAPE へセールス部門等の移管を徐々に進めてきました。その際、それらの部門に関わる業務システムは、ローランド ディー.ジー.が運用していたシステムを使っていました。
しかし、親会社への業務委託は必要最小限にしていくという会社方針のもと、2022年にカスタマーサポート部門を DGSHAPE 独自で立ち上げることになりました。また、営業スタイルが親会社と異なっており、業務上の不都合が生じていたこともあり、ローランド ディー.ジー.で長年使っていたシステムをそのまま移行するのではなく、よりスマートなシステムを導入することになりました。
ローランド ディー.ジー.グループ内では、さまざまなマイクロソフトソリューションが活用され、DGSHAPE でも Azure を使ったアプリ開発や SaaS による IoT 連携に実績がありました。また、Power Platform を活用した DX 人材育成にも力を入れていたことから、高い親和性を持つ D365 を選定することにしました。
導入によりどのようなことを実現したかったのでしょうか。
従来の業務システムと連携して使っていたアプリ、サービス群は、DGSHAPE では使われておらず、各種データの一元管理ができていませんでした。まずは、データ管理の課題を解決しながら、業務システムの充実化を図りたいと考えていました。
また、小売からサプライヤーまで一気通貫してシームレスに対応できる顧客管理システムを構築するとともに、戦略的・計画的に利益を上げられるような仕組みづくりを目指しました。
さらに、販売店や物流業者、お客さまサポートを業務委託している担当者との連絡手段が、これまでは電話や FAX、メールをはじめとするアナログなやり取りがメインになっていました。そこで、ユーザーポータル、物流ポータル、販社ポータルなどを Web ポータルで実装し、1000件を超える取引先とリアルタイムに連携することで、コミュニケーションを改善できました。すべてのサービスの対応状況を可視化し、DGSHAPE および代理店がどんな場所からでも情報を参照・入力できる体制を整えることで、サービス業務を管理したいと考えていました。
【導入背景】
レスポンスの早さ、未来志向での提案力を加味し、JBS を選定
JBS がシステム導入・構築を支援するに至った経緯を教えてください。
DGSHAPE株式会社 市場開発部 副部長
角 圭一郎 氏
先に触れたとおり、社内連携の面からもマイクロソフト製品を選定したいという思いが強かったので、D365 にほぼ決め打ちしていました。JBS を選定した理由は、フットワークの軽さ、そして見積りの段階から JBS の技術担当者が最適な提案を行ってくれたことが挙げられます。当社が感じていた課題に対する提案内容が具体的であったこと、そしてシステムの高度化を見据えた未来志向の提案が好印象でした。
IT 導入ありきの提案ではなく、JBS の技術担当者が当社の業務フローを深く理解したうえで D365 の最適な使い方を提案してくれたため、移行プロジェクトを進めるうえで安心感がありました。
【導入プロセス】
完全リモートでも問題なくプロジェクトが進行
D365 の導入・構築はどのような流れで行われましたか?
以下のようなスケジュールで導入・構築が進められました。
- 2020年12月:業務システム移管決定
- 2021年3月末:プロジェクトキックオフ、JBS 選定
- 2021年4月:プロジェクト取締役会承認、プロジェクト開始へ
- 2021年5~7月:要件整理、要件定義
- 2021年8~9月:基本設計、詳細設計
- 2021年10月~:開発、単体テスト
- 2022年4月:本格運用開始
JBS のサポートはどのような形で行われましたか?
コロナ禍ということもありフルリモートでプロジェクトが進みました。一度も顔を合わせないままで進行したシステム構築は、当社にとって初めての試みでしたが、定期的にリモート会議で進行状況を共有していたため、ロケーションが離れていても問題なくプロジェクトを進められました。この新たなチャレンジは、DGSHAPE が成長するうえで大きな糧になっています。
導入するうえで何か工夫したところはありますか。
D365 の導入にあたり、業務を標準機能に合わせることに対して社内から反発の声もありました。しかし、システムを徐々に見直し、部分最適を全体最適にしていく方針を社内に訴え続けた結果、社内メンバーに納得感を持たせることができました。
従来までの保守契約業務およびサービスレポート業務のフロー
【導入効果】
ペーパーレス化による業務改善とアナログ業務からの脱却を実現
D365 の導入効果について教えてください。
最も良かったと感じたのは、ペーパーレス化による業務負担の軽減です。特に、保守契約業務とサービスレポート業務における改善効果が大きかったです。
保守契約では、従来、紙の契約証書を発行しており、契約更新の案内を毎年 1000社以上に郵送していました。そのため、契約書作成、発送における業務負荷が大きいだけでなく、コストもかさんでいました。ですが、D365 によりシステムを通してこれらの作業をデジタル化できるようになったことで、ペーパーレス化と業務効率化を実現できました。
サービスレポートについても PDF 化することができました。従来、フィールドサービスを行う場合、お客さま先に小型のサーマルプリンターを持ち込んで、プリントアウトした紙に署名を書いてもらっていました。ですが、D365 の署名機能を活用することで、スマホもしくはタブレット上にサインしてもらい、ポータル機能を介してサービスレポートとして PDF 化できる体制を構築できました。業務効率化はもちろん、デジタル化を望むお客さまのニーズにも応えられるようになりました。
DGSHAPE株式会社 市場開発部 日本カスタマーサポートユニット マネージャー
荒川 哲 氏
カスタマーサポート部門においても、フィールドサービスの委託会社の調整という点で大きな効果を発揮しています。委託会社が D365 を利用することで、アサイン管理業務の工数削減を実現しました。
また、ユーザーポータルの提供により、お客さまとのコミュニケーション基盤を実現し、お互いの接点環境が強化されました。意思疎通のスピードが向上し、お客さまへ迅速にサービスを提供できるようになりました。
これらの取り組みは、単に業務効率化のためだけではなく、会社としての方向性、新しいデジタルの時代に合致したソリューションの提供を目指すという姿勢も示しています。市場にいるお客さまや販売店をはじめ業務に関わる多くの方に、我々のポリシーを伝え、認識していただく 1つのわかりやすい形だと思っています。
【今後の展望】
蓄積したデータを分析し、意思決定の迅速化と倉庫在庫の見える化を推進
今後に向けたシステムの展望を教えてください。
DGSHAPE株式会社 管理部 経営管理ユニット Systemスペシャリスト
三浦 和典 氏
無事、システム移行が完了しましたが、まだまだ D365 の機能をすべて使いこなしてはいない状況です。そのため、システムの改良や改善に取り組むとともに、JBS にそのサポートをお願いしたいです。
また、D365 によってデジタルなワークフローに大きく舵を切ったことで、現場では苦労している部分もあります。将来的には、システムの存在を意識することなく、当たり前の業務ツールとして日々のワークフローをこなせるような環境を構築したいと思っています。
さらに、D365 の導入により、データを蓄積できるようになったため、今後はそのデータを可視化、分析し、意思決定に活かしていく方針です。これを実現するべく、経営と現場の問題意識が 1つにつながるダッシュボード機能の実装を検討しています。例えば、顧客満足度などの指標がダッシュボードで一覧でき、優先度順に色分けしたシグナルですぐに把握できれば、経営層も素早く理解できるようになり、現場もすぐに実行できるようになるでしょう。このようにデータドリブンで自発的に現場が動く環境を目指しています。
【JBS への評価】
ベンダーの枠を超えた支援によりスムーズなプロジェクト進行が可能に
JBS への評価を聞かせてください。
JBS には技術的支援だけでなく、カウンセリング的な対応もしてもらいました。JBS は、単にシステムを導入するだけではなく、DGSHAPE が何を目指し、そして何を成し遂げたいのかをヒアリングしたうえで、どのようにシステムに落とし込むと業務フローの効率化や見える化が実現できるのか、最適な提案を行ってくれました。カウンセリングを通して、我々が全体最適だと思い込んでいる部分が、実は部分最適だったなど、あらゆる場面で“気づき”を提供してくれたため、プロジェクトを通して当社の成長にもつながりました。
また、JBS メンバーが構築からリリースまでの詳細なスケジュールを組み、それがスムーズに進行できるようプロジェクトを率先して引っ張ってくれたため、わずか 1年足らずで本番稼働に至ることができました。D365 に対する豊富な知見や構築経験はもちろんのこと、良きパートナーとしてプロジェクトを歩んでくれたことが、プロジェクト成功の要因になっています。さらなる改善に向けて、引き続き JBS と協業していけたらと思います。
D365 を使ったコミュニケーションのイメージ
JBS 担当者からのコメント
今回のプロジェクトの成功要因としては、お客さま自身のシステム導入に対する思いと意識の高さが大きいと思います。JBS としては、スピーディーな提案及びお客さまに「寄り添う」をモットーに提案活動とプロジェクト推進や構築をご支援させて頂きました。主要プロジェクトメンバーが初めてリアルでお会いするのがプロジェクト終了の半年以上も後でしたが、初見とは思えず意気投合できたのは「寄り添う」プロジェクト推進が成功したと実感できました。
ソリューションスペシャリスト本部 ビジネスアプリケーション&データソリューション部
吉原 哲平
今回は広範囲の業務をカバーするシステム構築となりました。難易度の高い調整事項が多々あったと存じますが、さまざまなご決断をプロジェクトメンバーの皆様にスピーディーにいただけたことが高い推進力となり、決して長くない期間でプロジェクトを完遂することができたと考えています。今後もより良い業務環境をご提供できるよう、伴走させていただきたいと思います。
クラウドビジネスソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部
CRMソリューション2グループ 小野寺 美緒
DGSHAPE 様と顧客、販売店、物流業者、そして外部業者をつなぐ架け橋となるようなシステム構築に携わることができ、光栄に思います。全てのソリューションに対してプロトタイプを用いたことで、使用感を共有することができ、プロジェクトに関わる全員で作り上げたシステムになったと感じています。引き続き DGSHAPE 様の業務の一助となるべく尽力してまいります。
クラウドビジネスソリューション本部 Dynamicsプラットフォームソリューション部
CRMソリューション2グループ 伊藤 慧
D365 Field Service、Customer Service、ポータルソリューション、モバイルソリューション、複数のソリューションを1つのプロジェクトでリリースできた成功事例です。DGSHAPE 様の IoT・AI 戦略を下支え、牽引するシステムへと成長すべく、今後も発展に向けたご提案をして参ります。
ソリューション戦略本部 マーケティング部 マーケティングテクノロジー&データ課
三田村 国樹
DGSHAPE株式会社
代表者:取締役社長 尾藤 寿
本社所在地:静岡県浜松市北区新都田1-6-4
設立:2016年1月21日
資本金:1億6000万円
事業概要:ヘルスケア、3D機器の製造、販売
2023.02.02公開