生成 AI 活用による業務効率化事例

セガサミーホールディングス株式会社

生成 AI 活用環境を Azure OpenAI Service をベースに構築し
大規模言語モデルを生かした AI チャットボットを展開

生成 AI 活用による業務効率化事例 セガサミーホールディングス株式会社
業種 メディア・広告・エンターテインメント
テーマ
  • AI
  • データ活用
  • クラウド活用
  • その他
製品パートナー マイクロソフト

(左から)セガサミーホールディングス株式会社 ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課 渡邉 涼平 氏、課長 石森 拓郎 氏

グループ内 15社約 6000名超のユーザーが安全・快適に利用できる
世界に感動を与えるコンテンツ開発力の強化へ

「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をミッション/パーパスとして「エンタテインメントコンテンツ事業」「遊技機事業」「リゾート事業」を柱とするビジネスを展開しているセガサミーホールディングス(以下、セガサミー)。同社では、グループ全体のデータ活用をさらに前進させるべく、いち早く生成 AI の活用に乗り出しましたが、情報漏えいリスクの観点からオープンに提供されているサービスを利用するのは難しい状況でした。そこで目を付けたのが、クラウド上の閉域環境で AI モデルを運用する「Microsoft Azure OpenAI Service(以下、Azure OpenAI Service)」です。当時リリースされたばかりだった同サービスをベースに、グループ内 15社 6000人超のユーザーが安全かつ快適に生成 AI を活用できる環境を、実質わずか 3か月の短期間で構築し、将来的にはグループ全社への普及を目指しています。

【会社概要】
グローバルに事業を拡大する総合エンタテインメント企業グループ

セガサミーグループについてご紹介ください。

セガサミーグループは、2004年にセガとサミーが経営統合して誕生した総合エンタテインメント企業グループです。ゲームコンテンツからトイ、映像に至るまで多種多様な “ 遊び ” を提供する「エンタテインメントコンテンツ事業」、ぱちんこやパチスロの開発から販売までを手がける「遊技機事業」、ホテルの開発や運営等を行う「リゾート事業」を軸としたビジネスを展開しています。

現在、グループの海外売上高比率はコンシューマ分野では 60% を超えており、今後に向けてもさらにグローバル戦略を強化しようとしています。

【導入の背景】
リスクを過剰に恐れることなく生成 AI を積極的に活用

いち早く生成 AI 活用に踏み出した背景を教えてください。

セガサミーはグループを横断したデータ活用を推進しており、そうした中で生成 AI についてもリスクを過剰に恐れることなく積極的に活用していこうとしています。

最も関心を持っているテーマの 1つが、ゲームをはじめとするコンテンツ開発への生成 AI の活用です。映像や音声、プログラムコード、シナリオなどの作成を省力化や自動化することでクリエイターを支援し、生産性を高めたいと考えています。

実際にコンテンツ開発の現場からも、世間で話題となっている OpenAI が提供する「ChatGPT」をはじめとする生成 AI を、より安全かつ便利に利用できる環境を求める声が高まっており、ITソリューション本部としてもそのニーズに一刻も早く応えたいと考えていました。

生成 AI 活用における課題を教えてください。

コンテンツ開発の方をはじめセガサミーグループの従業員は、新技術に対する感度が非常に高く、当然のことながら生成 AI に関しても強い興味を持っており、オープンに提供されている各種サービスを個人的に利用し始めている人も少なくありません。

ただ、そうしたオープンな生成 AI サービスを会社の了承なく勝手に業務利用した場合、秘匿情報の漏えいや著作権侵害などを起こしてしまう危険性があります。

たとえば ChatGPT に関しても最低限の利用ルールをまとめたガイダンスを 2023年3月に作成し、注意を促してきましたが、あわせてシャドー IT を防止する必要がありました。

【選定の経緯】
現在では Azure OpenAI Service リファレンスアーキテクチャ―に賛同している JBS の信頼性を評価

生成 AI を活用するプラットフォームとして、Azure OpenAI Service を選定した理由を教えてください。

セガサミーホールディングス株式会社 ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課 課長 石森 拓郎氏

セガサミーホールディングス株式会社 ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課 課長
石森 拓郎 氏

Azure OpenAI Service は OpenAI が開発した大規模言語モデルをクラウド上の閉域環境で利用できるサービスであり、厳重なセキュリティを確保しながら生成 AI を安心・安全に利用できることが選定の決め手となりました。

JBS をパートナーに選定した理由を教えてください。

Azure OpenAI Service の導入を決定したのは 2023年3月のことで、サービス自体がリリースされて間もなく、仕様も明確ではなかったことから導入パートナーによる支援が必須と考え、まず JBS に声をかけました。

もともと JBS とは、Microsoft 365 のライセンス導入や Microsoft Azure Active Directory を利用した認証基盤構築などで取引実績があり、Microsoft Azure をはじめマイクロソフト製品に対する高度な知見とノウハウを有していることに、大きな信頼を寄せていたのがその理由です。

JBS は、早い段階から Azure OpenAI Service のサポート体制を整えて、現在では日本マイクロソフトの Azure OpenAI Service リファレンスアーキテクチャに賛同されているパートナ企業なので今回も協力いただくのが最も確実と考えました。

【導入プロセス】
JBS の支援を受け、実質わずか 3か月での短期導入を実現

Azure OpenAI Service の導入は具体的にどのように進められたのでしょうか。

JBS と正式に契約を結んだのが 2023年4月で、同年 5月に導入プロジェクトをスタートし、フェーズ 1 として一問一答型の Web UI を実装して暫定利用を開始しました。

さらにそれと並行する形でフェーズ 2 として Microsoft Teams(以下、Teams)をベースとするチャットボット型 UI の開発を進め、2023年8月23日にリリースしました。これにより Azure OpenAI Service の本格的な活用がスタートしました。

非常に短期間での導入ですが、多くの苦労もあったのではないでしょうか。

先に述べたとおり Azure OpenAI Service のサービス自体がリリースされて間もなくは情報が不足しており、対応策を手探りで検討しなければなりませんでした。

たとえば Azure OpenAI Service を提供しているリージョンは、当初米国だけに限られており、日本からどうやって接続すればよいのか不明でした。

またフェーズ 2 のチャットボット型 UI を実装するためには、ユーザーとの会話履歴を保持取得し、リクエストを送らなければなりませんが、どういったアーキテクチャやライブラリを使って構築するのがベストプラクティスなのかの情報が少ない状況でした。

Azure OpenAI Service に関して日々アップデートされる最新の技術情報を JBS が迅速にキャッチアップしてくれたおかげで、これらの課題を無事に解決し、結果として実質 3か月での短期導入を実現することができました。

【導入効果】
一人ひとりが求める情報にたどり着けるスピードを確実に向上

Azure OpenAI Service の導入によりどんな効果を得られましたか。

現在 Azure OpenAI Service は、セガサミーグループ内 15社 6000人超のユーザーが利用できる環境が整っており、将来的にはグループ全社での導入を目指しています。運用を開始してからまだ日が浅いこともあり、具体的な成果を示せる段階にはありませんが、一人ひとりが求める情報にたどり着けるスピードは確実に向上すると考えています。

これによる業務生産性のさらなる向上や、グローバル市場をターゲットとしたコンテンツ開発力の強化など、経営層からの期待も高まっています。

セガサミーホールディングス株式会社 ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課 渡邉 涼平氏

セガサミーホールディングス株式会社 ITソリューション本部 プラットフォーム部 ユーザーサポート課
渡邉 涼平 氏

【今後の展望】
日常業務全般を支援するパーソナルなアシスタントへの発展を目指す

今後に向けた計画や構想をお聞かせください。

今後に向けてイントラネット上で公開している社内規定や FAQ など、より広範な情報を Azure OpenAI Service によって活用することにより、コンテンツ開発にとどまらず日常業務全般のさまざまな申請や事務手続きも支援するパーソナルなアシスタントへと、生成 AI 活用を発展させていく構想を持っています。

生成 AI 活用を検討している企業に向けて、アドバイスをお願いいたします。

まずやってみる、恐れずにチャレンジすることが大事だと思います。当然のことながら生成 AI 活用にもリスクはありますが、周りの様子を眺めているだけでは前に進むことができません。リスクヘッジしながら、自分たちにとっての最適な活用をいかに実現していくのか。私たちが JBS の支援を得てプロジェクトを成功できたことからも言えるように、外部の良きパートナーを見つけることも重要なポイントです。

【JBS への評価】
スピード感を重視した要望に常に迅速なレスポンスで対応

JBS の導入支援・サポート体制に対する評価をお聞かせください。

集合写真

今後のグローバル競争を勝ち残るための鍵を握る生成 AI を、グループ全体で活用できる環境を早期に整えたいという私たちの要望に対して、JBS は常に迅速なレスポンスで対応していただき、とても助かっています。先にも述べたとおり、Azure OpenAI Service をベースとしたこの生成 AI 活用のプラットフォームを今後さらに発展させていく構想にあり、引き続き JBS には親身なサポートと提案を期待しています。

(取材日:2023年8月23日)

JBS 担当者からのコメント

通信・メディア事業本部 メディア・エンターテインメント部 酒井 大輔

本プロジェクトはまさに JBS の企業理念である「優れたテクノロジーを、親しみやすく」を体現できたプロジェクトでした。
Azure OpenAI Service という最新のテクノロジーを用いて「仮説と検証」を繰り返すたび、新たな発見が数多くあり、そのたびに感動するし、シンプルに「面白く、ワクワク」します。
また、セガサミーさまと一緒に課題を乗り越えたときの喜びを共有でき、常に一体感を持って進められたプロジェクトだったと思います。

通信・メディア事業本部 メディア・エンターテインメント部
酒井 大輔

通信・メディア事業本部 メディア・エンターテインメント部 2課 橋垣 将大

本プロジェクトはセガサミーさまの意思決定スピードが早く、いつも以上にスピーディーに対応させてもらいましたが、それ以上に、JBS をご指名いただいた要因は、この数年で数多くの取引やひたむきな技術サポートを通じた「信頼関係の構築」があったからこそだと思います。
また、本プロジェクトを通じて Azure OpenAI Service の仕組みや機能などの知識を広げられました。 JBS での Azure OpenAI Service はサービス関連では第一号案件ということもあり、「トップランナー」として開拓した知見や経験を社内に還元し、会社の発展に寄与したいと思います。

通信・メディア事業本部 メディア・エンターテインメント部 2課
橋垣 将大

事業管理本部 先端技術推進室 上田 英治

本プロジェクトはセガサミーさまの最新情報のキャッチアップもかなり早かったのですが、JBS としても「お客さまの期待を超える」ために、お客さまの視点に立ち、何を求めているのかを先回りして、スピーディーに調査や検証を心がけたのが良かったと思います。
特に、Teams 対応に関しては、今後のアーキテクチャを考えるうえで多くの学びを得ることができました。 今後、生成 AI の分野で JBS として価値を提供し続けられる部分の見極めを間違わずに、サービスやアプリケーションの開発を進めていければよいと思っています。

事業管理本部 先端技術推進室
上田 英治

ビジネスソリューション事業本部 クラウドサービスアーキテクト室 西野 佑基

セガサミーさまの Azure OpenAI Service は、自分にとって「挑戦と成長」の連続でした。
セガサミーさまと一緒にトライ&エラーを繰り返すことで、自分自身でも仕組みを学んで実践で知識を広げることができ、広げた知識がさらに新しい知識の土台になり、非常に学びが多かったと思います。
生成 AI は発展途上の分野ですが、これから絶対に伸びる分野なので、継続してインプットしていきたいと思っています。
アウトプット面でも、本プロジェクトで経験したことを活かして、社内のみならず社会全体に貢献できるような仕事を続けていきたいです。

ビジネスソリューション事業本部 クラウドサービスアーキテクト室
西野 佑基

セガサミーホールディングス株式会社

代表者:代表取締役社長 グループCEO 里見 治紀
本社所在地:〒141-0033 東京都品川区西品川一丁目1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー
設立:2004年10月1日
資本金: 299億円(2023年3月31日現在)
事業概要:総合エンタテインメント企業グループの持株会社として、グループの経営管理及びそれに附帯する業務

2023.09.29公開

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