Microsoft Azure 環境へ移行・再構築事例

横河電機株式会社

事業のグローバル展開を支えるため、クラウド化によるシステムの統合・最適化を実現

Microsoft Azure 環境へ移行・再構築事例 横河電機株式会社
業種 製造・ヘルスケア
テーマ クラウド活用
製品パートナー マイクロソフト

(左から)横河電機株式会社 デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課 野口 龍太氏、課長 二木 隆夫氏

330台以上のシステムをオンプレミス仮想サーバー環境から Azure 基盤への構築・移行を全面支援

計測・制御・情報システムの世界的なリーディングカンパニーとして知られる横河電機株式会社(以下、横河電機)を要とする YOKOGAWAグループ。1915年の創業以来、計測・制御・情報の技術を軸とした最先端の製品やソリューションを提供し続けている。2022年には、製造業の DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する横河デジタル株式会社を設立。グローバルで全体最適を実現する経営コンサルティングサービスからシステムの実装、運用・保守までを一貫して提供する体制を強化している。

海外売上比率が約 70% の横河電機は、事業のグローバル展開を支えるため、社内システムとして運用してきた 770台以上の VMware ベースのオンプレミス仮想サーバー環境へのアセスメントを実施した後、330台以上のサーバーを Microsoft Azure(以下、Azure)基盤へ移行し、クラウド化によるシステムの統合・最適化を実現しました。同プロジェクトにおける移行計画の策定から移行作業の実施までを、JBS がワンストップで支援しました。

【概要】
770台以上のオンプレミス仮想サーバー環境を統廃合し、Azure 環境へと移行・再構築

JBS が支援したサーバー基盤の移行プロジェクトについて教えてください。

横河電機では、ファイルサーバーや認証サーバーなど私たちの所属するデジタル戦略本部が提供する全社共通サーバーおよび、各事業部が業務に用いるアプリケーションを稼働させるため、合計で 770台以上のサーバーを運用していました。それらはすべて、VMware ベースのオンプレミス仮想サーバー基盤上で運用していたのですが、2022年に同仮想サーバー基盤が EOS(サポート終了)を迎えることから、2019年に仮想サーバー基盤を Azure へと移行するプロジェクトへの取り組みを開始しました。

サーバーの台数が多く、個別に移行作業を実施するのは現実的ではありませんでした。そのため事前にアセスメントを実施して、マイクロソフトのクラウド移行ツール「Azure Migrate」を用いて、従来のサーバー環境をそのまま移行できるシステムが本プロジェクトの対象となります。最終的に従来の環境のまま Azure へと移行したサーバーは約 150台、基盤環境を再構築して移行したサーバーは約 180台、合計約 330台となります。

なお、本プロジェクトにおいて移行が難しいと判断したサーバーは、別途、移行作業を実施し、不要と判断した約 310台のサーバーは廃止をしています。

今回のプロジェクトにおいて、JBS はどのような役割を担ったのでしょうか。

JBS には、コーディネーターとして各種調整や移行プロジェクトの全体を管理してもらうとともに、次のような移行に関する実務、そしてプロジェクトマネージャーとして進行管理を依頼しました。なお、移行作業は対象業務の重要度や移行の難易度、停止許容期間などをサーバーごとに精査して、4つのフェーズに分けて実施しています。

  • 各サーバーに関する情報収集、管理者への個別ヒアリング、移行可否の判断などの「移行アセスメント」
  • 移行アセスメントの結果に基づく「移行計画の策定」
  • 移行計画に基づく、移行先の再構築、および Azure Migrate による「移行の実施」

なお、JBS には本移行プロジェクトと並行して、一部の重要システムおよび大規模システムに関して、別の移行プロジェクトにて対応してもらいました。

  • プロジェクト

  • サーバー移行プロジェクトの実施概要

    短期間で一度に移行をせず、フェーズに分けて移行作業を実施した理由を教えてください。

    社内の様々な業務をつかさどる数多くのシステムが移行の対象となるので、失敗することは絶対に許されません。旧仮想サーバー基盤の EOS も決まっているので、移行の遅延による延長などもできません。一方、このような大規模なクラウド移行に関しては経験やノウハウ、さらに人員も十分ではなかったので、もし、最初のフェーズで問題点や計画通りに行かないことがあれば、改善をしながら次の段階でスムーズな対応ができるようフェーズを分けました。

    JBS に依頼した個別の移行対応や新しく Azure 上に構築したサーバーはどのようなシステムがあるのでしょうか。

    まず、ファイルサーバーがあります。ファイルサーバーは、ディスクの合計容量が 100TB 以上と膨大で、旧仮想サーバー基盤における台数も多く、OS のバージョンアップが必要なサーバーもあったので、統廃合して新しいファイルサーバーを立ち上げることにしました。また、連結会計システムや見積システムなど全社的に利用する重要度の高い基幹システムや、Always On による冗長構成が採用された SQL Server に関しては、個別に移行を依頼しました。仮想デスクトップ環境に関しては、これまで利用してきたオンプレミスの VMware Horizon 環境、Citrix XenApp 環境が契約終了を迎えていたこと、仮想デスクトップのスペックを柔軟に変更できないといった課題があったため、その課題を将来的に解決できオンプレミスの環境に対して、トータルでコスト削減に寄与できる Citrix Cloud with AVD へ移行しました。

    【選定理由】
    Windows サーバーが多く、各サーバーの管理者も Azure 環境を希望

    移行先の基盤として Azure を選択した理由を教えてください。

    横河電機株式会社 デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課 課長 二木 隆夫氏

    横河電機株式会社 デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課 課長
    二木 隆夫氏

    今回の移行先の基盤として Azure を選んだポイントは次の通りです。

    • 旧仮想サーバー環境の多くが Windows サーバーであり、Windows サーバーと相性が良い
    • 構築・運用やセキュリティに関して、汎用的なツールやサービスが充実している
    • Azure では EOS を迎えた Windows サーバーに対するセキュリティ更新プログラムも提供される
    • 世界最大級のクラウドサービスであり、信頼性、安定性、将来性に対して、安心感がある
    • マイクロソフトとの包括的契約によるコスト削減効果が期待できる
    • 全社標準 VDI として提供される、Azure Virtual Desktop との接続性が良い
    • 既存の Azure の環境がデジタル戦略本部の標準 IT 環境に準じており円滑な移行が期待できる

    JBS へ移行プロジェクトの支援を依頼した理由を教えてください。

    移行プロジェクトの社内担当者は数名しかおらず、膨大な数のサーバーに関して担当部門に調査・聞き取りなどのアセスメントを実施して、旧基盤サービスの EOS の期日までに移行作業を確実に終えるのは難しい状況でした。そのため、実務だけでなく移行プロジェクト全体をコーディネートしてもらえる信頼できるパートナーの協力が不可欠だと判断しました。また、マイクロソフトのソリューションや Azure に強いベンダーの知見やノウハウを取り入れて、社内 DX をより積極的に推進していきたいという考えも持っていました。

    JBS は横河電機が Azure の本格的な利用を開始した当初からのパートナーとして実績と信頼感があり、マイクロソフトのソリューションだけでなくシステム全般に対しても造詣が深いことから、Azure への移行に関する相談をしました。

    【効果・評価】
    JBS の技術力とプロジェクトマネジメント力の高さを実感

    サーバーを移行した成果はありましたか。

    スケーラビリティや可用性の向上、運用負荷の軽減といった Azure のメリットをサーバー単位ではなく全社的に享受できるようになったことは大きな成果だと捉えています。また、先進的な基盤や機能を活用できる環境が整備されたことで、社内の DX 推進を後押しするきっかけになればと期待しています。

    JBS に対する評価もお聞かせ願えますでしょうか。

    実際の移行作業において目立ったトラブルはなく、計画通りに移行作業が完了した様子を見て、あらためて JBS の技術力とプロジェクト管理能力の高さを実感しました。

    また、コロナウイルス感染拡大の影響により、各サーバーのアセスメントや調整もリモート環境下で対応してもらわなければならなかったのですが、アセスメント担当者の知識レベルとコミュニケーション能力が優れていたので、とてもスマートに対応してもらえました。

    さらに、長期間にわたるプロジェクトであり、関わるメンバーも多かったのですが、社内の連携や情報共有がとても上手く取れているようで、ストレスを感じることもほとんどありませんでした。

    今回の移行プロジェクトは私たち担当者だけでなく、周辺の関係者からも評価が高く、成功プロジェクトの 1つとして社内では認知されています。

    横河電機株式会社 デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課 野口 龍太氏

    横河電機株式会社 デジタル戦略本部 グローバルインフラ・セキュリティセンターインフラマネジメント部 クラウド推進課
    野口 龍太氏

    【JBSへの期待】
    Azure を最大限に活用するための支援に期待

    今後の展開予定があれば教えてください。

    集合写真

    サーバー移行プロジェクトは完了となりますが、Azure 基盤の活用を促進するために、構築・運用などに関する標準化を図っていきたいと考えており、JBS にも協力をお願いしているところです。できれば、社内利用だけでなく、お客さまに提供するサービス基盤として Azure を活用する際の標準化にも発展させていきたいと考えています。

    JBS への要望や期待があればお聞かせください。

    迅速で丁寧な対応と周到な準備により、プロジェクトの実施中もトラブルが発生しないよう、JBS は最大限の手を尽くしてくれたと思っています。

    これからも、横河電機が Azure やマイクロソフトのソリューションを最大限に活用していくために、JBS のバックアップは欠かすことができませんので、今後もこれまでと変わらないレベルの高い対応に期待しています。

    JBS 担当者コメント

    クラウドプラットフォーム本部 クラウドプラットフォーム4部 2グループ エキスパート 丸古 銀次

    移行プロジェクトを通じて、横河電機様の DX 推進に貢献できたことを大変うれしく思います。約 2年にわたる長期プロジェクトでしたが、皆さまのお力添えにより無事に完遂できましたこと、感謝申し上げます。今後も様々な分野で横河電機様のご支援ができるよう尽力してまいります。

    クラウドプラットフォーム本部 クラウドプラットフォーム4部 2グループ
    エキスパート 丸古 銀次

    ソリューションアーキテクト本部 ITアーキテクト部 2グループ エキスパート 木村 彰吾

    本移行プロジェクトの完遂と関係者からの高評価に貢献できたことをうれしく思います。数百というサーバー/システムご担当者さまとリモートのみでコミュニケーションを取るのは当時初の試みでしたが、この経験とノウハウは他のプロジェクト推進にも活用できる、非常に有用なものであると感じております。今後も様々な分野でご支援させていただければと思います。

    ソリューションアーキテクト本部 ITアーキテクト部 2グループ
    エキスパート 木村 彰吾

    製造・流通本部 製造流通3部 部長 蜂須賀 将善

    横河電機様の Azure の導入・活用における各施策に携わることができ、大変光栄に思います。長期にわたるプロジェクトとなりましたが、クラウド推進課の皆さまを中心に多数の関係者さまのご協力のもと成しえたものと感じており深く感謝申し上げます。
    今後も Azure をはじめとしたクラウド技術を活用し、横河電機様の DX 推進に貢献できるよう尽力してまいります。

    製造・流通本部 製造流通3部
    部長 蜂須賀 将善

    横河電機株式会社

    代表者:代表取締役社長 奈良 寿
    本社所在地:東京都武蔵野市中町2-9-32
    創立:1915年9月1日
    資本金:434億105万円 (2022年3月末現在)
    従業員数:17,258人 (連結)
    事業概要:制御事業、測定器事業、新事業他

    2023.02.08公開

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