Microsoft Azure 導入事例
FWD富士生命保険株式会社
コーポレートウェブサイトを短期間で Azure 上で公開 ~保険業界で斬新な取り組みをクラウド上で実現~
業種 | 金融・保険 |
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テーマ | クラウド活用 |
製品パートナー | マイクロソフト |
FWD富士生命保険株式会社 執行役員 兼 CTOO(チーフ・テクノロジー&オペレーションズ・オフィサー)金田 龍二 氏
ウェブサイトのシステムインフラ構築・運用だけでなく、
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのパートナーとして JBS を選択
「人々が抱く“保険”に対する感じ方・考え方を刷新すること。」をブランド・ビジョンに掲げる FWD富士生命保険株式会社(以下、FWD富士生命保険)では、新たに開設したコーポレートウェブサイトのシステムインフラに Microsoft Azure(以下、Azure)を採用。クラウドリソースの利用だけでなく、保守・運用やセキュリティ監視なども含めた JBS との CSP(Cloud Solution Provider)契約により、短期導入を実現し、コストの最適化も図っている。
【システム概要】
Azure 上でコーポレートウェブサイトを公開し、BCP(事業継続計画)に伴う東西間のリージョンでの DR(Disaster Recovery)環境も実現
JBS が構築を支援したシステムの概要について教えてください。
当社は 1996年8月8日に設立され、生命保険事業を展開してきました。2017年4月末にアジアでビジネスを展開する FWDグループの一員となり、2017年9月1日に社名を「FWD富士生命保険株式会社」に変更し、グループのビジョンである 「人々が抱く“保険”に対する感じ方・考え方を刷新すること。」の実現をめざして、新たに事業をスタートさせました。
それにともない新たにコーポレートウェブサイトを公開しました。JBS には、その設計から構築、運用、保守に加え、インフラの維持管理やセキュリティ面の対応にいたるまでシステムインフラに関するすべてを委託しています。
システムインフラに関しては Azure を全面的に採用していますが、強固なファイアウォールをはじめ、セキュリティオペレーションセンター(SOC)による 24時間 365日体制でのセキュリティ監視や東西間のリージョンでの DR 環境の構築などにより、セキュリティや可用性、信頼性を担保しています。
また、Azure のリソースや各種サービスだけでなく、各種設定や運用や監視サービスなども含めたすべてを CSP 契約とすることで、利用したリソースや期間に応じて利用料金を払うという、これまでの企業情報システムとは異なる契約形態を取っています。
コーポレートウェブサイトのビジュアルイメージも、他の保険会社などとは異なる印象を受けますね。
FWD富士生命保険では「いくぜ、人生。」というスローガンを掲げており、これには「お客さまの心配事は当社が引き受けるので、お客さまには”今の人生を思いっきり楽しんでほしい”」という思いが込められています。
コーポレートウェブサイトをはじめとしたビジュアルイメージにもこの考え方が反映されており、そのような印象を持ったのかもしれません。もちろん、ビジュアルイメージだけでなく、顧客視点でカスタマー・エクスペリエンスを向上させることで、ビジネスをさらに加速させていくことをめざしてコーポレートウェブサイトを構築・運用しています。
FWD富士生命保険コーポレートウェブサイトのトップ画面
【導入背景】
さまざまな制約を克服するため、国内の保険業界では実績例の少ない Azure の活用を決断
なぜ今回、保険会社として先進的かつ実践例の少ない方法でシステムインフラを構築したのでしょうか。
私たちの業界では、安全性と安定性を重視して、時間をかけて保守的なシステムを構築するのが一般的です。また、実績がないものには手を出さないというのも慣習のようになっています。
しかし、今回の取り組みに関しては、「時間がない」「リソースがない」という状況だったことは間違いありません。JBS に依頼をした段階で社名変更の日まで、すなわち新コーポレートウェブサイトオープンまでの期間は、約 2か月間しかありませんでした。社名変更に伴う業務は多岐にわたり、最小限の社内リソースで新規にシステムインフラを用意しなければならず、コスト的にも余裕がある状況ではありませんでした。
しかし、これらの制約以上に、FWD富士生命保険では先進的なデジタルテクノロジを積極的に活用して独自の商品やサービスを進化させていく、いわば国内でデジタル技術や DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用する一番の保険会社をめざすという方針を打ち出しており、新たなチャレンジとしてこれらの2つの「ない」を克服するためにクラウドの本格活用を決断しました。
Azure を採用した理由を教えてください。
他のクラウドサービスの採用も比較検討しておりましたが、FWDグループでは Azure をグループ共通の標準インフラとしていたこともあり、Azureを選定しました。もちろん Azure は、国内はもちろんグローバルで利用実績が急増しており、将来的にさまざまな業務や分野で基盤として活用することができるということは前提となります。一時しのぎの対応ではクラウドを採用するメリットは限定的になってしまいますので、統合インフラ環境として拡張性や継続的な利用、さまざまなシステムでの利用を前提に評価をしました。
Azure に構築しているシステムの構成概要図
【選定理由】
高度な技術力と豊富な実績に基づくサポート体制と提案内容を高く評価
サポートベンダとして JBS を選んだ理由を教えてください。
国内の保険会社もしくは金融業では、コーポレートウェブサイトを Azure で構築し、一般公開するという前例は少ないと聞いていたので、少しハードルは高いかもしれませんが、次のような要件項目を検討してサポートベンダを選定しました。
- コーポレートウェブサイト公開の日程は変更できないので、指定の期間内にインフラ環境の準備(構築)ができるか。
- 設計・構築から保守・運用・システム監視・セキュリティ監視などを、一括で任せられる体制を持っているか。
- 継続的な提案や支援を受けられる体制や技術力を備えているか。
- 可用性、セキュリティ、災害対策、アクセス集中への対応を踏まえたインフラ設計の最適化に関する提案内容。
- 保険業のシステムに関する経験とノウハウを持っているか(FISC のガイドラインへの理解、実装力など)。
- Azure およびマイクロソフトの製品やソリューションに精通しているか。
JBS からの提案は選定要件をクリアしており、経験が豊富で技術力も高く、体制が充実しているのはもちろん、CSP 契約などコスト面に関しても当社にメリットが多い提案をしてくれました。
また、当社からの要望や不明点に対して迅速かつ的確な回答を示し、構築スケジュールも公開日に間に合うよう明示してくれたので、安心してシステムインフラの構築・管理を任せられると判断しました。
【効果】
より付加価値の高いサービスを提供していくための第一歩として、安定した運用基盤を確立
今回のコーポレートウェブサイト構築作業についての評価をお聞かせください。
コーポレートウェブサイト構築においては、当社の既存のご契約者様や商品やサービスにご興味をお持ちいただいているお客さまへ利便性が高く、わかりやすく当社の保険について説明することが最大の目的になります。お客さまにご満足いただける操作性やデザイン、そしてそれを支える安定した運用基盤を確立できたことで、最低限の目標は達成できたと捉えています。
さらに、会社の顔であるコーポレートウェブサイトにクラウドサービスを採用したことで、より付加価値の高いサービスを提供していくための第一歩を踏み出せたものと考えています。
これだけの短期間でゼロからコーポレートウェブサイトを構築・リリースしたにもかかわらず、システムインフラに関しては大きな不具合が発生せず、安定的に稼働しています。良いことなのですが、これまでの経験上とても珍しい出来事でもあります。
また、クラウドなので当たり前のことなのかもしれませんが、やはり実務面では インフラの保守運用やハードウェアのトラブルから解放されたことが、もっとも実感できる成果でもあります。
【今後の展開】
国内でもっとも DX を有効活用する保険会社をめざす
今後の展開予定があれば教えてください。
コーポレートウェブサイトに関しては、モバイルツールやアプリケーションなども活用したインシュアテック(「Insurance(保険)」×「Technology(テクノロジ)」)をいち早く導入し、さらにユーザフレンドリなサービスとシンプルでわかりやすい商品の提供をめざしていきます。
あわせて、 CSP 契約における料金体系の柔軟さを最大限に活用して継続的に最適化を図りながら、同時にセキュリティや可用性のレベルを保ち、運用の自動化や機能の集約などを図ることで、より一層のコスト削減にも取り組んでいきたいと考えています。
一方、Azure という基盤をベースに、AI チャットボットや RPA (Robotic Process Automation)など、先進技術を積極的に取り入れ DX を推進していきたいと考えています。その結果、お客さまにより品質の高いサービスを提供するとともに、カスタマー・エクスペリエンスの向上にも勤め、代理店様に対しても保険募集活動を支援する体制を強化するよう取り組んでいく予定です。
【評価】
DX を推進していく上で重要なパートナーとして期待
JBS への評価をお聞かせください。
JBS による作業が迅速であったことは間違いありませんが、それと同時にアドバイスや提案があったからこそ的確な判断を下すことができました。
また、 メンバー一人ひとりの技術的なスキルやコミュニケーション能力が高く、コンテンツ制作会社とも上手く連携を取りながら作業を進めてもらえたので、自然とチームメンバー間に一体感も生まれ、今回のプロジェクトは上手くいきそうだという確信を持てるようになりました。
今回のプロジェクトで接したメンバーは若い方が多かったのですが、明るく前向きで積極性がある方ばかりで、当社にはとても合っていました。また、JBS の経営陣の方にも面会する機会があったのですが、どなたもオープンでフランクな方ばかりで、経営陣と現場の距離が近く、このような良い雰囲気は JBS の社風だと思っています。
これまでも話をしてきましたとおり、JBS は当社が DX を推進していく上で重要なパートナーだと考えていますので、これまで以上に迅速な対応や先進的な提案に期待しています。
今回のプロジェクトに携わった FWD富士生命保険ご担当者の皆様と JBS 担当者
(後列 左より)FWD富士生命保険株式会社 テクニカル・サービス統括部 統括部長 藤田 健氏、
執行役員 兼 CTOO 金田 龍二 氏、IT企画・管理部 IT品質管理グループ グループ長 小田島 州夫 氏、
IT統括部 IT開発2部 井上 直樹 氏
(前列 左より)JBS イノベーションサービス統括本部 エンタープライズイノベーション本部
クラウドプラットフォーム部 マネージャー 木幡 健文、
イノベーションサービス統括本部 金融システム本部 副本部長 田中 健司
JBS 担当者からのコメント
今回、FWD富士生命保険様としての事業を日本でスタートさせる記念すべき第一歩のコーポレートウェブサイトをお任せ頂けることになったとき、本当に身の引き締まる思いでした。会社の顔となるものですので、絶対に失敗は許されませんし、FWD富士生命保険様として DX を日本で推進していくという、強い思いも込められていることも伝わってきました。
お話を頂いたタイミングから本番リリースまで2か月間しかなく、金融保険業で Azure 上に公開ウェブサイトを構築した事例がほとんどない状態でしたので、この短納期で金融に求められるシステム・セキュリティ要件をクリアしつつ、クラウド上に実現させるために JBS から色々アイデアを出させて頂きながら、ご相談させて頂きました。
短納期でのシステム構築にあたり、重要なのは、お客さまがそのシステムで何を実現させたいのか、が明確であることに尽きるのですが、FWD富士生命保険様は、CTOO である金田様の新会社に対する思いが社内全体まで行き届いており、驚くべきスピードで意思決定がされ、JBS もその流れに乗る形で FWD富士生命保険様と信頼関係を築きながらシステム構築を成功させることができました。 その範囲は、単なる構築だけではなく、拡張性・柔軟性・安全性・安定性・運用効率化などシステムを運用する上で必要な要件をすべて満たしたということも特筆すべきところだと思います。
これからも FWD富士生命保険様が推進する DX の更なる実現に向けて、JBS もこれまで以上に尽力させていただく所存です。
FWD富士生命保険株式会社
代表者:代表取締役社長兼CEO 友野 紀夫
本社所在地:東京都港区虎ノ門4-3-20 神谷町MTビル
設立:1996年8月8日
資本金:337億円5千万円(2018年4月1日現在)
従業員数 :786名(2018年3月末現在)
事業概要 :生命保険業
2018.08.24公開