AWS 上での IaaS から PaaS への移行事例
某専門サービス業
AWS 上での IaaS から PaaS への移行を支援し
仮想サーバーの OS 管理からの脱却を実現
業種 | 流通・サービス・公共・その他 |
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テーマ |
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製品パートナー | アマゾン ウェブ サービス |
内部 DNS から監視ツール、アプリケーション実行・管理基盤まで
幅広い IT インフラを PaaS に移行して管理対象の仮想サーバーを削減
今回支援したお客さまでは、Amazon Web Services(AWS)の Infrastructure as a Service (IaaS)Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)を利用し、さまざまな社内システムを構築・運用しています。しかし、インスタンス(仮想サーバー)より上位レイヤーについては、責任分界点に基づきゲスト Operating System(OS)のメンテナンスやライフサイクル管理を自ら行わなければならず、少人数体制で IT インフラの運用管理を担っている中での重い作業負担となっていました。そこで長年にわたる技術支援契約を通じて自社業務やシステムを熟知している JBS をパートナーに選定し、IaaS から Platform as a Service (PaaS)への移行を推進しました。
【導入の背景】
OS のメンテナンスやライフサイクル管理から脱却したい
IaaS から PaaS への移行が求められた背景を教えてください。
今回、JBS が支援したのは、企業変革を推進・支援している某専門サービス業の会社です。
プロジェクトの最大の目的は、IT 運用管理の負荷軽減です。IaaS を利用している場合、仮想サーバーより上位レイヤーの運用管理はお客さま側の責任範囲となるため、例えば、ゲスト OS へのパッチ適用やアップデートなども自力で対応しなければなりません。
お客さまは社内 IT インフラの運用管理を少人数の体制で担っており、こうした OS のメンテナンスやライフサイクル管理から脱却することで、作業負担を軽減し、本来の事業に人的リソースを集中させたいと考えていました。
また、お客さまは以前より Software as a Service(SaaS)の導入も積極的に進めるなど、よりクラウドネイティブなシステムを実現したいという思いも持っていました。
【選定の経緯】
長年にわたる技術支援契約を通じて業務とシステムを熟知
プロジェクトのパートナーとして、JBS が選定された理由を教えてください。
お客さまと JBS は長年にわたる取引があり、もともと技術支援契約という形でお客さまのシステム導入や運用管理をサポートしてきました。定例会やさまざまな問い合わせ対応などを通じて日頃からお客さまとは緊密なコミュニケーションをとっており、業務もシステムも熟知していることに加え、AWS についても高い技術力を有しているといった総合力を高く評価していただき、JBS が選定されたと認識しています。
なお、今回の PaaS 移行にあたっては、従来からの契約とは別枠での契約を結んでおり、お客さまと連携しながら JBS も実作業にあたることになりました。
AWS についての技術力も評価されたとのことですが、実際に JBS はどんな強みを持っているのでしょうか。
JBS は、APN パートナープログラムにおいてセレクトティアサービスパートナー認定を受けており、取得プログラムは AWS ソリューションプロバイダープログラム、サービスデリバリープログラムでは Amazon EC2 for Windows Serverを 取得しています。また、弊社エンジニアは AWS 認定において、ソリューションアーキテクト(アソシエイト、プロフェッショナル)など多くの認定資格を有しており、さまざまな業界の企業のビジネスパートナーとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するソリューションとサービスの提供に注力しています。
【プロジェクトの経緯】
内部 DNS、監視、アプリケーションの PaaS 移行を完了
PaaS 移行がどのような形で進んできたのか教えてください。
2022年4月にお客さま側で PaaS 移行の方針が固まったことに伴い、現在稼働している仮想サーバーの中で移行可能なもの検討し、順次作業を進めていきました。
最初に着手し、2022年6月に作業を完了したのが、内部 DNS の Amazon Route 53 への移行です。AWS のプライベートホストゾーン機能を活用することで、従来どおりのマスター/スレーブ構成も維持しています。
これを成功体験として、2023年4月より監視ツールおよびアプリケーションの移行プロジェクトを開始しました。
監視ツールについては Amazon CloudWatch への移行を行い、2023年9月にリリースしました。従前の監視ツールでお客さまが慣れ親しんだ操作感を継承すべく、UI/UX を含めたカスタマイズを施したことが工夫したポイントになっています。移行後は、AWS の各種サービスの監視も Amazon CloudWatch に一元化するなど、利便性も向上しています。
アプリケーションについては、実行・管理プラットフォームを AWS Elastic Beanstalk に移行しました。アプリケーションの負荷状況に応じて、コストを最小限に抑えつつロードバランシングやスケーリングが自動的に行われるため、IT インフラの運用管理に費やしてきた作業工数の軽減に大きく貢献します。
そして 2024年1月に、計 4本のアプリケーションの移行を実施しました。AWS Elastic Beanstalk の管理画面からデプロイするだけの比較的単純な作業で、各アプリケーションを迅速にリリースできました。
AWS 採用前のシステム構成イメージ
【導入効果】
IaaS 上で稼働する仮想サーバー台数を 1/4 に削減
今回の PaaS 移行によって得られた成果をお聞かせください。
お客さまが運用しているシステム全体から見れば一部ではありますが、IaaS 上で稼働していた仮想サーバーの稼働台数を、従来の 1/4 まで削減しています。これに伴い「OS 管理からの脱却」という当初からの目標達成に大きく近づくことができました。
実際、お客さまは 2023年末に既存の仮想サーバーの全面的な OS リプレースを実施したのですが、この作業においても移行対象台数を削減することができました。
お客さま側でシステム運用管理を担っているすべての担当者が、必ずしも社内 IT 専任というわけでありません。その意味でも今回の PaaS 移行によって実現された負荷軽減の意義は非常に大きく、削減できた工数を本来の事業にシフトすることが可能となりました。
AWS 採用後のシステム構成イメージ
【今後の展望】
生成系 AI の活用に向けた検討を開始
今後に向けた計画や構想をお聞かせください。
お客さまではクラウドストレージ内に大量のドキュメントやコンテンツを蓄積しており、これらのナレッジをより効率的に検索し、活用可能とするための新たな仕組みづくりを検討しています。この取り組みの一環として、関心を高めているのが生成系 AI の活用です
AWS でも Amazon Bedrock と Amazon Q といった生成系 AI の新サービスをリリースしています。特に Amazon Q は、AWS が提供している多彩なサービスと連携しつつ、より簡単かつ手軽に生成系 AI を使いたいと考えるユーザーのニーズに応えるアシスタント機能となるもので、JBS としても大きな期待を持ってその動向を注視しています。
引き続きお客さまの具体的な要望をヒアリングし、ユーザー視点に立った改善活動を視野にいれながら、こうした生成系 AI の活用なども検討し、適切なタイミングでソリューションを提案していきたいと考えています。
【JBS への評価】
決してあきらめない JBS の粘り強い姿勢を再評価
今回のプロジェクトを通じて、JBS はお客さまからどのような評価を受けていますか。
お客さま側の環境や背景を正しく認識・理解したうえで、細やかな要望の中には困難なものもありましたが、決してあきらめることなく回避策や代替案などを探りながら柔軟に対応し、お客さまの望む形での移行を遂行することができました。
こうした JBS の真摯かつ “粘り強い” 姿勢は、今回のプロジェクトでもお客さまから高い評価をいただけたと自負しています。
JBS 担当者からのコメント
今回の PaaS 化支援を通して、一部ではありますがクラウドネイティブな構成を実現することができ、保守の面や可用性の向上に繋げることができたことを大変うれしく感じております。今後も関係性を深めるとともに、より技術力を向上させお客さまへ貢献させていただきます。
クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 3部 4グループ
本山 崇
PaaS への移行プロジェクトに携わり、お客さまとコミュニケーションをとりながら二人三脚で移行を推し進めることができたことに深い感謝と、大きな達成感を感じています。ここで得た経験、ノウハウは、今後他のプロジェクトにおいても活用できる、非常に有益なものになると確信しています。これからも AWS をはじめとしたクラウド技術を駆使し、お客さまの IT 運用効率化に寄与できるよう努力してまいります。
クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 2部 3グループ
坂本 典久
お客さまの AWS 上での IaaS から PaaS への移行を支援できたこと大変うれしく思います。今回の PaaS 移行によりお客さまの IT 運用負荷軽減が実現できたのは、皆さまのご協力があったものと感じており深く感謝申し上げます。今後も関心を高めている領域をはじめ、お客さまのご要望に合わせた支援ができるよう尽力してまいります。
クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 3部 4グループ
竹内 裕幸
今回 JBS が IaaS から PaaS への移行支援ができたことを大変うれしく感じております。
広い視野を持ってサービスを提案させていただけたのは、お客さまの協力のもと、密なコミュニケーションで常に方向性をそろえることができたことにより成せたものだと感じており深く感謝申し上げます。今後は生成 AI など JBS としても最新動向を注視しつつ、引き続きご支援させていただきます。
クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 3部 4グループ
相澤 萌々子
お客さまの望む PaaS への移行に営業担当として関わることができ、大変光栄です。今回はさまざまな理由のため移行対象とならなかった他システムにおいても、引き続きソリューションの紹介などの形で支援させていただきたく存じます。今後もお客さまが望む内容に沿って支援できるよう、尽力してまいります。
デジタルセールス本部 デジタルセールスセンター ストラテジックセールス 1課
今泉 雄三
2024.03.26公開