アプリポケット with Microsoft Power Platform 導入事例
株式会社ベネッセコーポレーション
リモートワークにより発生した煩雑な勤怠管理を 2か月で導入したビジネスアプリケーションで解消
業種 | 流通・サービス・公共・その他 |
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導入ソリューション | アプリポケット with Microsoft Power Platform |
テーマ |
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製品パートナー | マイクロソフト |
(左から)株式会社ベネッセコーポレーション 情報システム部 ワークスタイル変革推進課 課長 十河 宏允氏、与口 裕章氏
アプリポケット with Microsoft Power Platform がビジネスアプリケーションの短期開発・導入を強力に支援
通信教育や模擬試験、雑誌の発行など教育・生活事業を展開する株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)では、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリモートワークの推進によって発生した社員間コミュニケーションのボトルネックを、Microsoft Power Platform(以下、Power Platform)によるビジネスアプリケーションで解消しました。
【会社概要】
「進研ゼミ」など、教育・生活事業を展開するベネッセ
ベネッセについてご紹介ください。
ベネッセは、教育、生活、福祉、語学のリーディングカンパニーであるベネッセグループにおいて、教育・生活事業を展開しています。
子どもを未来からの留学生と捉えて、その成長を支援する「国内教育事業」をはじめ、語学だけでなく海外の文化や価値観についても吸収してもらうことを目指す「海外教育事業」、そして、女性とご家族の幸せな暮らしの支援をする「生活事業」を柱に、お客さまの「よく生きる」の実現を支援すること。お客さまや地域・社会にとってなくてはならない企業であることを目指しています。
具体的には、国内 254万人、海外 120万人の加入者を誇る「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」といった通信教育サービスをはじめ、世界 70以上の国と地域に 400以上の英語教室を有する「ベルリッツ」。『サンキュ!』、『たまごクラブ』、『ひよこクラブ』、『いぬのきもち』、『ねこのきもち』といった雑誌の発行。国内最大級 334拠点を展開する高齢者向け生活ホームなど、ベネッセの事業をご存じの方も多いのではないでしょうか。
【利用状況】
「勤怠共有ツール」により、勤務状況の可視化と共有化を実現
今回導入したビジネスアプリケーションについて教えてください。
ベネッセでは新しい働き方として、3密対策を目的とした「ハイブリッド勤務」を実施しています。ハイブリッド勤務とは出社・在宅の全社平均で、出社率を 5割以下とする在宅勤務体制を実現する取り組みです。
今回導入した「勤怠共有ツール」は、「勤務状況の可視化」および「組織内での共有化」、さらには「勤怠管理の効率化」といった社内コミュニケーションの強化を図るために、社員の生産性支援策の一環として独自に開発したビジネスアプリケーションとなります。
JBS が Power Platform で開発した「アプリポケット with Microsoft Power Platform」は、当時プロトタイプでしたが、このプロトタイプをベースに我々も協力し、画面や機能を完成させました。開発をスタートして約 2か月で一部の部署、約 300ユーザでトライアルを実施して、2020年10月より全社規模、約 2,300名での本格利用を開始しました。
具体的には、どのような機能を搭載しているのでしょうか。
ハイブリッド勤務環境下で、課題となっていた社員間のコミュニケーションを円滑にするための機能や、勤怠管理などの事務面で生産性を高めるための機能を搭載しました。主な機能は次の通りです。
- 各社員の勤務場所や勤務時間の予定と実績を入力する「勤怠情報の登録機能」
- 業務や体調などの報告を行う「日々の業務管理機能」
- 出社日に応じた交通費の支給を申請する「通勤費の精算機能」
- 各社員の勤務状況をリアルタイムで一覧表示する機能
- 出社予定などの入力を一括して登録する機能
サンプル画面:勤怠状況を上司だけでなく、チーム全体でリアルタイムに共有
サンプル画面:個別に出社予定を登録し(左)、部・課などごとに出社予定や出社率を把握できるようになっている(右)
【導入背景】
リモートワークの推進により、勤務管理が煩雑化
勤怠共有ツールを導入した背景を教えてください。
2020年2月にハイブリッド勤務の導入を決めた後、働く場所が分散したことに加え、子どものいる環境での在宅勤務などでは、やむを得ない「業務の中断」が発生するなど、勤務状況が複雑になっていました。そのため、社内アンケートなどにより社員の声を聞くと、都度、メールなどによって業務の開始・中断・終了を連絡する作業が、部下にとっても、勤怠状況を管理する上司にとっても、大きな負担となっていることがわかりました。
また、だれがどこで勤務しているかを把握するのが難しくなったことで、業務報告やちょっとした相談、部下の体調管理など、同じフロアにいれば簡単にできていたことが煩雑になり、業務効率が低下するといった状況も見られました。
そのため、ハイブリッド勤務下で柔軟な勤務状況を維持しつつ、社員の負担を軽減するための勤怠情報の共有ツールの導入を検討することにしました。また、このツールを単なる出社・勤怠管理の事務効率化にとどめず、職場の生産性向上やコミュニケーション改善までも図るツールとして開発したいと考え、勤務状況の共有機能も追加しようと考えました。
株式会社ベネッセコーポレーション 情報システム部 ワークスタイル変革推進課 課長
十河 宏允氏
【導入効果】
コミュニケーションのボトルネックを短期開発のアプリケーションで解消
勤怠共有ツールを導入して、どのような効果が見られますか。
株式会社ベネッセコーポレーション 情報システム部 ワークスタイル変革推進課
与口 裕章氏
ハイブリッド勤務によって発生してしまったコミュニケーションのボトルネックを短期間で解消し、社員の業務環境の改善を実現したと同時に、オフィス内の 3密対策の強化を図ることができました。
効果1:勤務場所に関係なく、報告や相談がしやすい環境を実現
シンプルな操作で「勤務中」、「休憩・中断中」、「勤務終了」を登録でき、管理者に限らず全員が、事業本部全体などの範囲でリアルタイムに勤務状況を共有できるようになりました。その結果、在宅でも出社していても勤務場所に関係なく、報告や相談がしやすい風通しの良い環境を実現することができました。
効果2:オフィス内の3密回避策を強化
出社予定管理機能により、個別に出社予定を書き込み、部・課などで出社率を簡単に把握できるようになると同時に、フロアごとの予定出社状況も把握できるようになり、オフィス内での 3 密を回避するための対策強化にもつながりました。
効果3:社員の業務環境改善を実現
新しい働き方を推進する「ワークスタイル変革プロジェクト」としては、コストや手間を最小限に抑え、短期間で勤怠共有ツールを導入し、社員の業務環境を改善できたことも重要な成果だと捉えています。
【選定理由】
JBS オリジナルのプロトタイプが勤怠共有ツールの原型に
アプリケーションの開発インフラとして、Power Platform を選んだ理由を教えてください。
緊急的な対応が求められる状況において、要望に見合う出来合いのサービスやシステムはなく、コストや時間をかけてシステムを開発する余裕もなかったため、以前から注目していた Power Platform によるツールの開発を検討しました。
Power Platform を選んだのにはいくつかのポイントがありますが、今回の「ワークスタイル変革プロジェクト」には職種・年代の多様な社員が参加しており、IT 部門だけでなく人事部門などと共同で機能を実装しなければならないという背景がありました。そのため、ローコーディングでデータを収集・解析するビジネスアプリケーションを構築・運用できること。そして、機能の修正や追加が容易で、短期間でのツール開発・修正が可能というのは重要なポイントでした。
また、当社では Microsoft Office 365 を契約しているため、追加のライセンスを購入しなくても全社的に利用できるので、導入のハードルが低いというメリットもありました。
一方、社内における Power Platform によるアプリケーションの開発は実績がほとんどなかったため、JBS に開発のサポートをお願いすることにしました。
サポートベンダーとして JBS を選んだ理由を教えてください。
最初に相談をした段階では、細かな要件が固まっていない部分もあったのですが、当社の要件を伝えたところ、すぐにプロトタイプを提示してくれました。あとから話を聞くと、JBS の社内で実験的に作ったアプリケーションだったということですが、そのプロトタイプを見たところ画面や細かい調整は必要なものの、そのまま利用しても大丈夫なのではないかという内容でした。
また、JBS は Power Platform や、Microsoft SharePoint Online などのマイクロソフトのサービスを組み合わせたアプリケーションの開発・運用環境にも精通しており、フットワークも軽いことから、サポートを依頼することにしました。
【JBS への評価】
「No」と言わない積極的な姿勢を評価
どのように開発を進めたのでしょうか。
JBS から提示されたプロトタイプを原型に、インターフェースや使い勝手を調整しながら、各機能を実装していきました。
開発期間中は、Microsoft Teams 上で情報を共有しながら、毎朝ビデオ会議で打ち合わせを行い、修正ができあがり次第、アプリケーションの機能を確認するというアジャイル型の手法で開発を進めました。コロナ禍であったこともあり、直接対面で打ち合わせをしたのは初回ミーティングのわずか 1回だけでした。
JBS への評価をお聞かせください。
タイトなスケジュールの中、難しい要望をお願いすることもあったかもしれませんが、JBS 側から「できない」と言うことはなく、常に積極的にできる方法を探り、提案してくれました。最終的にはリリースを優先して取捨選択しなければならない部分もありましたが、納得のいく仕上がりとなりました。
【今後の展開】
新しい働き方としてハイブリッド勤務を継続
今後の展開などあれば教えてください。
これからも新しい働き方としてハイブリッド勤務を継続するにあたり、企業理念である「よく生きる」を社員自身が実践できるワークスタイルを実現し、新たなオフィスのあり方(機能やレイアウト、地域社会との連携など)の検討も進めていきたいと考えています。
勤怠共有ツールに関しては、運用をしながら細かな機能の修正や改善を行っていく予定ですが、今回、Power Platform の可能性や有用性が証明されたので、さまざまな業務の DX 化を推進するために活用できればと考えています。
JBS 担当者からのコメント
ベネッセ様の業務改善に寄与できて嬉しく思います。JBS の対応スピード、技術力を評価いただき担当冥利に尽きるプロジェクトでした。
ソリューションスペシャリスト本部 ソリューション2部 副部長 酒井 大輔
コロナ禍にも関わらず、プロジェクト開始から終了まで非常にスムーズに進んだプロジェクトでした。ベネッセ様と JBS が密にコミュニケーションを取り一丸となって課題解決に取り組めた結果と感じています。
ITソリューション統括本部 テクノロジーソリューション本部 江口 慧
ベネッセ様からはさまざまなイメージやアイデアをご提案いただき、プロジェクトを円滑に進めることができました。我々の培ってきたスキルも相まってより良いツールが完成したと実感しております。
モダンワークプレイス本部 クラウド開発部 2グループ 藤嵜 稜平
リモート対応の中でも密にコミュニケーションを取れたことにより、お客さまと一緒に仕事をしている意識で進められました。ベネッセ様の課題を技術で解決する一助となり、大変嬉しく思います。
モダンワークプレイス本部 クラウド開発部 2グループ 夫 美紗
2021.03.24公開