電話に縛られないコミュニケーションを実現
ここまで見てきた 2社の成功事例で、注目すべきポイントがある。それが、コミュニケーション手段としての電話の位置付けだ。電話というものは本来、こちらの都合に関係なく一方的にかかってくるもの。打ち合わせ中に電話がかかり、中座を余儀なくされた経験を持つ人もいるはずだ。また、本人が不在の場合、電話をかけた人の時間が無駄になるだけでなく、その部署で電話を受けた人にも取り次ぎの手間がかかり、業務の妨げとなりかねない。
こうした問題に対し、JBS の佐藤は「『Skype for Business』のメリットは電話に縛られないコミュニケーションができることです」と言う。まず、PC のディスプレイで相手のプレゼンス(状況)を確認し、在席していれば電話をかけるといった判断が可能になる。また、「急いで連絡したいときにはインスタントメッセージ、詳細な内容を伝えたいときには
メールというように、用件に応じてコミュニケーション手段を使い分けられ、業務効率も向
上します」と佐藤はメリットを説明する。「Skype for Business」は、固定電話の代わりに PC に受話器型ハンドセットやヘッドセットを接続して通話できるほか、LAN (社内のデータ通信回線)にIP電話機を接続することも可能だ。そして、転送や保留など既存 PBX と同様の機能を利用できる。
ただ、既設 PBX のリースが残っている企業の場合、「Skype for Business」に完全にリプレースすることは難しい。また、使い慣れた PBX や固定電話機を一気に替えるのも、操作性や運用性の点で不安があるという総務担当者もいるだろう。こうした課題を抱える企業は、JBS の取り組みが参考になる。
同社では既存 PBX (IP-PBX)と「Skype for Business」を連携。一部の部門では既存の固定電話機(IP 電話機)を利用しつつ、インスタントメッセージやプレゼンス機能を利用できる ICT 環境を整備している。「投資を無駄にすることなく、既設のPBXを併用しながらリース切れに応じて全面的に『Skype for Business』へ移行することもできます」と JBS の石田は述べる。今後、「Skype for Business」のみで電話を利用するといった使い方も検討するという。