オンプレミスから AWS への移行事例

株式会社ネクスティ エレクトロニクス

オンプレミスからの AWS 移行で運用負荷軽減とコスト最適化を実現
クラウドのノウハウ蓄積で内製化の体制作りにも寄与

オンプレミスから AWS への移行事例 株式会社ネクスティ エレクトロニクス
業種 流通・サービス・公共・その他
テーマ
  • DX・内製化
  • クラウド活用
  • セキュリティ
  • 運用管理
製品パートナー アマゾン ウェブ サービス

(左から)株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 インフラグループ 秋山 剛 氏、ITシステム部 部長 豊嶋 健太郎 氏、ITシステム部 インフラグループ グループリーダー 田中 義雄 氏

クラウドネイティブな IT インフラへと転換し組織変革を推進
顧客により高い付加価値を提供できる基盤へシフト

株式会社ネクスティ エレクトロニクス(以下、ネクスティ エレクトロニクス)は、豊田通商グループに属す、カーエレクトロニクス分野で世界トップクラスの売上規模を誇る半導体商社です。同社では 2022年4月よりクラウド活用戦略に基づく DX 推進ロードマップのファーストステップとして、オンプレミス環境のデータセンターをクラウドに移行するプロジェクトをスタートし、Amazon Web Services(以下、AWS)への移行を進めています。その目的は単なる IT インフラの更新にとどまらず、顧客ニーズに対する迅速かつ柔軟な対応、セキュリティと管理負荷の軽減、ビジネス拡大の支援、そしてクラウドネイティブな組織への変革など多岐にわたります。

【会社概要】
カーエレクトロニクス分野を中核に企画から品質対応までトータルでサポート

ネクスティ エレクトロニクスについてご紹介ください。

ネクスティ エレクトロニクスは、カーエレクトロニクス分野で世界トップクラスの売上規模を誇る、豊田通商グループの半導体商社です。「幅広いサポート体制」「高い品質・技術力」「これまで培った確かな経験」を強みに、半導体や電子デバイス製品の設計、製造、販売を行っています。

また、半導体デバイス事業のみならず、お客さまの課題に寄り添いながらニーズに応じて組み合わせたソリューションを提供しており、企画から品質対応まで、トータルでサポートできる体制を整備しています。
さらにオートモーティブの成長領域を「電動化」「自動運転/ADAS」「次世代コクピット」「コネクティッド」の 4分野に定義し、新技術、保有機能、パートナー網、そして商社としての情報力を駆使して、社会とお客さまの課題解決に寄与するソリューションの提供を目指しています。

【導入の背景】
「資産を持たない」方針のもとクラウド移行プロジェクトを始動

IT インフラのクラウド移行を進めることになった背景を教えてください。

ネクスティ エレクトロニクスでは、これまでオンプレミスをメインに IT インフラを運用していました。
しかし、旧来の仮想基盤がサポート終了(EOS)を迎えようとしていたことから、リプレースの必要があり、オンプレミスを継続するか、それともクラウドに刷新するかの二択に迫られていました。

オンプレミス時代には、運用面においてどのような課題があったのでしょうか。

ネクスティ エレクトロニクスでは、かつて、オンプレミスで運用しているデータセンターが 4つ存在しており、高コストかつリソース効率が悪いうえ、セキュリティ対応の高度化や範囲の拡大等、IT インフラの管理にあたる人材の負荷も高まっていました。
また、利便性や即時性等、さまざまな理由から、一部ユーザーが個別にクラウドサービスを契約して運用するなど、全社的な IT ガバナンスを効かせるのが難しい状態だったため、早急に IT インフラを整理する必要がありました。

このことからオンプレミスの継続は、これらの課題の解決を先延ばしにするだけだと判断し、IT インフラのクラウド移行へと舵を切ることを決断しました。

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 部長 豊嶋 健太郎氏

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 部長
豊嶋 健太郎 氏

クラウド移行プロジェクトをどのような方針で進めていったのでしょうか。

「クラウド活用戦略・計画書」に基づき、DX 推進ロードマップを策定し、2022年4月にクラウド移行プロジェクトをスタートさせました。
プロジェクトでは「資産を持たずに身軽に運用する」という方針を打ち立て、そのファーストステップとして各オンプレミスのデータセンターに存在しているサーバーのうち 115台のサーバーを候補としてピックアップし、その中から 90台のサーバーをクラウドへ移行する計画を立案しました。クラウド導入フレームワークに従いワークロードの優先順位付けを行った結果、50台のサーバーを移行対象として選定し、取り組みを進めてきました。

【選定の経緯】
マルチクラウドベンダーならではの経験と実績を評価し JBS を選定

クラウド移行プロジェクトのパートナーに JBS を選定した理由を教えてください。

ネクスティ エレクトロニクスでは、クラウド移行後もベンダーロックされることなく、できる限り自社メンバーで IT インフラを運用・管理していく体制を整えることで、クラウドのメリットである俊敏性等のメリットを享受できるようになることを最終目標としていました。
しかしながら、当社には大規模クラウド基盤構築に関する知識や経験が乏しかったため外部から知見や客観的な視点を取り入れる必要がありました。

そこで、「クラウド活用戦略・計画書」の策定にあたってコンサルティングの支援をしていただいた JBS をプロジェクトのパートナーに選定し、プロジェクトを伴走してもらいながら、当社でもクラウドのナレッジを蓄積していくことにしました。
それだけでなく、JBS はかねてから当社とお付き合いがあり、すでに人としての信頼関係が築かれていたため、当社の要望をうまく取り入れながら、最適な提案を行ってくれるのではないかと期待していた部分もあります。

移行先に AWS を選んだ理由を教えてください。

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 インフラグループ グループリーダー 田中 義雄氏

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 インフラグループ グループリーダー
田中 義雄 氏

別業務やプロジェクトで過去に AWS の利用経験が多少あったこと、他のクラウドサービスと比べ、試算上、コストメリットがあったこと、自分たちでやっていくうえで、参考になりそうな技術記事や導入事例など、インターネット上に情報が充実していたことから AWS をメインのクラウドプラットフォームにすることにしました。

また、先の選定理由にもつながるのですが、JBS はさまざまなクラウドに深く精通しているベンダーであることから、クラウド導入フレームワークの「AWS Cloud Adoption Framework(AWS CAF)」に沿って移行をスムーズに進めていただけると考え、安心して AWS を選定できました。


【導入効果】
IT インフラのお守りから解放され、クラウドネイティブな組織へと変革

今回のクラウド移行によって得られた成果をお聞かせください。

JBS のサポートのもと、2022年4月にスタートしたクラウド移行プロジェクトですが、2024年4月のプロジェクト完了を目指し、現在(※2024年2月)も移行作業を進めているところです。そのため、精緻な定量的な効果は算出できていませんが、プロジェクトの過程で、仮想サーバーの集約や削減、サーバーレス機能への置き換え等によるアーキテクチャの見直し、オペレーションの合理化等を進めることにより、これまでのところ、AWS 費用は当初想定範囲に収まっており、IT インフラの管理コストは中長期的に削減できる見込です。
さらに、各部門が独自に契約をしていたクラウドサービスを我々インフラ部隊が管理できる下地が整い、セキュリティ面やガバナンス面が大きく強化されつつあると感じています。

一番の効果としては、クラウドへの理解が進んだことで、積極的にクラウドを活用する文化やマインドが社内で醸成されたことと言えます。これまでは、何か新しいシステムのリソースを準備する際には、まずはオンプレミス仮想基盤の全体リソース状況などの制約条件を前提に、仮想マシンのスペック設計やノード配置等を考えていたのですが、クラウド移行を経験したことで、「クラウドを使えば、オンプレミスよりも良い仕組みを、早く、簡単に実現できるのでは?」といった具合に、クラウドネイティブな思考で物事を考えられるようになりました。

クラウド活用を前提とした思考は、中長期的なビジネスの成長を考えるうえで必須になると思いますので、遅ればせながら、この思考にシフトできたことは大きな成果だと感じています。

【今後の展望】
ユーザーが求める仕組みを迅速に提供し、顧客サービスの向上を目指す

クラウド活用における今後の展望をお聞かせください。

主な IT 環境のクラウド移行が一通り終了した後には、サーバーレス化の促進や Infrastructure as Code(IaC)による自動化の推進、より耐障害性のある環境の構築等、運用レベル、セキュリティレベル向上に向けて、さまざまなことにチャレンジしていこうと計画しています。そのためにもクラウドの機能をフルに活用し、より保守性の高いアーキテクチャを考えていきたいですね。
オンプレミスでは、システムが大きくなるほど拡張性に制限が生じますが、クラウドであれば柔軟にスケールアウトできるため、さまざまな機能を積極的に活用しながらビジネスそのものの拡大にも貢献できればと思います。

また、IT 部門としてもユーザーにとってより利便性の高い仕組みを能動的に提供できる組織へと進化していけたらと考えています。そのためにも、クラウド環境を上手に使いながら、ビジネスの変化に柔軟に対応し、必要な時に必要なサービスを迅速に提供できるよう、知見やノウハウを蓄積させていく所存です。そして最終的に、お客さまにより高い付加価値を提供できる組織を目指していきます。

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 インフラグループ 秋山 剛氏

株式会社ネクスティ エレクトロニクス ITシステム部 インフラグループ
秋山 剛 氏

【JBS への評価】
目線を同じくした親身なサポートで移行を支援

あらためて JBS の移行支援に対する評価をお聞かせください。

集合写真

移行プロジェクトにおいて JBS は、何事も自分事に捉え当社と同じ目線に立って最適な提案をしてくれました。
たとえ我々がジャストアイデアで提案を持ち掛けたとしても、「この方法では余計にコストがかかってしまいます」といったように、正直ベースで回答してくれるため、パートナーとして大きな安心感があります。もちろん、何か質問を投げかければ、迅速かつ丁寧に回答していただけます。
このことから、当社に寄り添って二人三脚で歩んでくれていると実感できました。

JBS 担当者からのコメント

トヨタ事業本部 営業部 大石 光男

ネクスティ エレクトロニクスさまの情報システムを AWS にクラウド化するお手伝いをできて、とても光栄に思います。
技術的なサポートは営業職なのでできませんが、コロナ禍だったため、いつも以上に「One Team」でプロジェクトを進めることが重要だと考えて裏方としてサポートをしたつもりです。
2年に渡るプロジェクトでご一緒できたチームが、これからもさまざまな形で関われるように努力していきます。

トヨタ事業本部 営業部
大石 光男

クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 3 部 4 グループ 本山 崇

ネクスティ エレクトロニクスさまのクラウド化推進プロジェクトに携わることができたことを大変うれしく感じております。移行計画の策定から環境設計、実際のサーバー移行まで、IT システム部の皆さまを中心に多数の関係者さまのお力添えにより成せたと感じており深く感謝申し上げます。
今後もネクスティ エレクトロニクスさまのご支援ができるよう尽力してまいります。

クラウドソリューション事業本部 ハイブリッドクラウド 3 部 4 グループ
本山 崇

プロフェッショナルサービス事業本部 プロフェッショナルサービス 1 部 2 グループ 篠崎 柾人


今回は統制の取れるクラウド環境として移行先の設計から始まり、第一陣のオンプレミスサーバーの移行支援まで行いました。
お客さまのやりたいことから改めて AWS のアップデートを調べて実現可能であることの確認など、最新情報についてもお客さまとともに追うことができたこと、深く感謝申し上げます。現場の要望を確認しながら進めることができ、非常に達成感のある案件となりました。

プロフェッショナルサービス事業本部 プロフェッショナルサービス 1 部 2 グループ
篠崎 柾人

株式会社ネクスティ エレクトロニクス

代表取締役社長 柿原 安博
東京本社:東京都港区港南2-3-13 品川フロントビル
設立:1972年9月6日(統合年月日:2017年4月1日※)
   ※株式会社トーメンエレクトロニクスと株式会社豊通エレクトロニクスの統合
資本金:5,284百万円
従業員数:1,076名(2024年1月末現在)※単体のみ
事業概要:半導体販売、エレクトロニクス製品の設計、製造、販売
     組込みソフト開発、自社製品開発など

2024.03.18公開

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