カスタマーサポート支援システム事例

日本ビジネスシステムズ株式会社

JBS のナレッジ・マネジメントで見えた カスタマーサポートの新しい姿

ServiceNow 導入事例 日本ビジネスシステムズ株式会社
業種 JBS ショーケース
導入ソリューション サービスデスク ナレッジ活用トータルサポート
テーマ 運用管理
製品パートナー その他

(左から)日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部 カスタマーサポートセンター アシスタントマネージャー 織田 美樹、サービス&サポート本部長 岡本 健

ServiceNow お客様事例「CSMの活用によってカスタマーサポートのサービス品質を向上 手作業の解消など業務効率化も実現する」より転載

IT ソリューションプロバイダーとして、大手エンタープライズ向けを中心にサービスを提供する日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)。主力事業のひとつであるIT関連サービスにおける競争力を高めるために、属人化した業務を解消し、散在するナレッジを集積する必要があった。同社の課題を解決したソリューションについて話を聞いた。

数多くの受賞歴を誇る優れた IT ソリューションプロバイダー

1990年創業の JBS は、マイクロソフトを中心とした数多くのパートナー企業とのコラボレーションを通じて、大手エンタープライズ向けを中心に多彩なクラウドソリューションを提供する IT ソリューションプロバイダーである。

その実績はマイクロソフトからも高く評価され、米国マイクロソフトコーポレーションが各国で 1社のみに与えるアワード「2018 Microsoft Country Partner of the Year」を受賞したほか、日本国内の「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」のアワードは 7年連続で受賞(2013年~2019年)している。

「約1,700名を数える当社のエンジニアは、マイクロソフトのプラットフォームの利点や活用方法を知り尽くしており、また、さまざまなお客様への 30年に及ぶサービス提供を通じて、ソリューションを活用しながら企業のビジネス課題を解決するノウハウも蓄積しています。そうしたプロフェッショナルとしてのサービスが、お客様のみならずマイクロソフトからも評価され、数多くの受賞に結び付いているのだと思います」と語るのは、同社サービス&サポート本部長の岡本健氏である。

岡本氏が統括するサービス&サポート本部は、JBS が導入したシステムの運用サポートのほか、サブスクリプション型の IT サービスを提供。

サービスの企画・事業化を担当するサービスインテグレーション部やテクニカルサポートセンターのほか、実際にサービスを提供する機能として、顧客の IT 環境の運用・保守をワンストップで支援する「マネージドシステムサービス」。クライアント PC の導入から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」。お客様問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する「サービスデスク」などを編成している。

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部長 岡本 健

サービス&サポート本部長 岡本 健

「当社はストックビジネスのさらなる成長を目指しており、お客様と長期にわたって確かな信頼関係を築き上げることを重要視しています。お客様との日常的な接点であるサービス&サポート本部は、その重要な担い手であると自負しています」と岡本氏は語る。

もちろん、顧客から継続的に評価を得るためには、継続的なサービスの改善が欠かせない。サービスの品質を飛躍的に向上させるため、サービス&サポート本部は、2017年に ServiceNow のカスタマーサービスマネジメント(CSM)を導入した。

「従来は、各部署やチームがサービス提供のためのマネジメント基盤として、インシデント管理システムや Excel などのツールをばらばらに利用していました。その結果、ナレッジが散在してしまい、お客様からの問い合わせに即応できないこともありました。迅速かつタイムリーな対応を実現し、お客様の満足度を高めるために、サービス提供のための基盤を見直すことにしました」。ServiceNow の導入理由について語るのは、カスタマーサポートセンターのアシスタントマネージャーを務める織田美樹氏である。

では、数ある IT サービス関連ソリューションの中から、JBS はなぜ ServiceNow の CSM を選んだのか?

顧客満足度向上のため ServiceNow の CSM を導入

ServiceNow の CSM は、カスタマーサポートの担当者が、問い合わせやリクエストに手間なく対応できるようにする機能を持っているのが大きな特徴である。

電話やメール、チャットなど、あらゆるチャネルを通じて入ってくる問い合わせやリクエストと、その対応の履歴がひとつのデータベースに蓄積されていく。その結果、センターごとやチームごとにデータが散在することはなくなり、対応の途中で担当者が変わっても、共有された履歴をもとに、抜け漏れなくスピーディに顧客の要望に対応できるようになる。

「カスタマーサポートの仕事は、担当者の変更やシフトによって、対応の連続性が保ちにくいのが大きなネックです。それによって、お客様から『遅い』とか『対応が悪い』と思われると、最悪の場合、契約が無くなってしまう可能性もあります。逆に、いつでも迅速・正確に対応できるような体制を整えれば、お客様の満足度は上がり、サービスの継続や新規成約に結び付きやすくなると考えます。ServiceNow の CSM は、それを実現するのに欠かせない基盤だと評価しました」と織田氏は語る。

そもそも、ServiceNow の CSM を導入する以前は、顧客からの問い合わせやリクエストを受け付けるチャネルは、電話とメールしかなかった。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や「働き方改革」の実践とともに、企業が利用するコミュニケーション手段は多様化している。

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部 カスタマーサポートセンター アシスタントマネージャー 織田 美樹

サービス&サポート本部 カスタマーサポートセンター アシスタントマネージャー 織田 美樹

「スマートフォンなどをコミュニケーションに利用するお客様が増え、ポータルでの問い合わせやチャットなど、より幅広いチャネルに対応できるサービスが求められています。ServiceNow のプラットフォームはあらゆるチャネルに対応し、すべての問い合わせやリクエストを一つのデータベースに集積できるだけでなく、どのチャネルでも先進的な UI(ユーザーインターフェイス)や UX(ユーザーエクスペリエンス)をお客様に提供できることも、選定の大きな決め手になりました」と岡本氏は語る。

手作業の「自動化」によって業務効率も改善

もう一つ、岡本氏と織田氏が高く評価したのが、ServiceNow ならではの「自動化」のテクノロジーだ。

例えば JBS のカスタマーサポートセンターは、顧客ごとに問い合わせの内容や件数、対応状況などに関するレポートを提出している。以前は、複数のデータベースに散在するデータを抽出し、Excel に取り込んで集計・加工するという手作業を行っていたが、ServiceNow の CSM なら、自動的に必要なデータを集めてレポートを作成してくれる。

「手作業でのレポート作成には経験も必要で、丸 1日かかるほど時間を取られる作業でした。これまでの方法だと担当者が不在のときにはお客様にご迷惑をかける可能性もあります。それが ServiceNow の CSM によって自動化され、労働時間の短縮とともにタイムリーでお客様のニーズに合ったレポートが提出できるようになり、お客様の満足度向上に結び付いたのですから、自動化の効果は絶大だったと思います」と織田氏は語る。

 実際、このレポート機能の活用などによって、レポート作成の工数は約 40% 削減されたという。また、ServiceNow のプラットフォームは、現在 JBS が力を入れている IT オペレーションマネジメントソリューションである OpsRamp など、ほかのソリューションとも柔軟にAPI連携し、あらゆるデータを自動的に取り込んで活用できるのも大きなメリットだという。

サービス&サポート本部は、この API 連携機能を「マネージドシステムサービス」による顧客のIT環境の監視サービスにも活用している。システムやネットワークなどの不具合を検知すると、その情報がすぐさま ServiceNow のプラットフォームに共有され、インシデント登録される仕組みだ。

織田氏は、「メールで送られてくる不具合などの報告についても、以前は手作業でインシデント登録していたのですが、ServiceNow の導入によって自動処理されるようになりました。おかげで、チーム全体で 1ヵ月当たり 102時間の作業削減を実現しました」とその効果を語る。

インシデント管理を手作業で行うと、その分、タイムラグが発生するだけでなく、登録漏れなどのケアレスミスが発生して、顧客の IT 環境に大きなダメージをもたらしてしまう恐れもある。ServiceNow のソリューションは、JBS のサービスへの信頼向上にも貢献している。

岡本氏は、「さまざまなソリューションと自由に連携できるということは、お客様お客様に提供できるサービスの幅をどんどん広げていけるということです。ServiceNow のソリューションを活用し、お客様のニーズにますます積極的に対応していきたいですね」と語った。

KCS に準拠した基盤でナレッジのヒット率が向上

カスタマーサポートのサービス品質を上げるには、迅速に対応するだけでなく、問い合わせを受けた内容に的確な答えを返せるようにすることが必要である。そのためには、過去の問い合わせ対応によって蓄積されたナレッジの整理と共有が欠かせない。JBS のサービス&サポート本部が ServiceNow の CSM を選定したのは、このナレッジ・マネジメントのための機能が備わっていることも大きな理由であった。

「複数のソリューションを検討しましたが、IT サービスマネジメント(ITSM)のベストプラクティスである ITIL(*1)と、ナレッジ・マネジメントのベストプラクティスである KCS(*2)の 2つに準拠しているのは ServiceNow だけでした。
ServiceNow の CSM を導入すれば、効率よく成果の高い IT サービスマネジメントだけでなく、回答の質を高めるためのナレッジベースの構築も同時に実現できると考えたのです」と織田氏は振り返る。

織田氏がその効果を実感したのは、ある企業からの「チャットボットの運用成果を上げたい」という相談がきっかけだった。

その企業は、別のベンダーに依頼してカスタマーサポート用のチャットボットを構築したが、問い合わせに対する回答のヒット率が非常に低く、困り果てていた。織田氏は「ヒット率を上げるため、JBS が蓄積しているナレッジベースを提供してもらえないか」という相談を受け、実際に提供したが、それだけでは改善されなかったという。

この経験から、「チャットボットを狙いどおりに運用するには、そもそも回答の元となるナレッジベースがしっかり整理されていること」に加え「信頼性の高いフレームワークに基づいて運用を回すことが重要」という原点にたどり着いた。この経験を活かし、以後は KCS に沿ったナレッジ・マネジメントの実践を提案するようにし、見事受注につなぐことができた。

「JBS では数名のスタッフが KCS の資格を取得しており、そのフレームワークに基づいてベストプラクティスのナレッジ・マネジメントを ServiceNow で実践したところ、ナレッジ検索のヒット率はかなり改善されました。それに伴って、サポートセンターへの問い合わせが、質問のカテゴリごとに 30~80% 削減されるという効果が表れています」と織田氏は語る。

[注釈]
(*1)ITIL:IT サービスマネジメントにおけるベストプラクティス(成功事例)をまとめたガイドライン。「Information Technology Infrastructure Library」の略。
(*2)KCS:Consortium for Service Innovation(サービス革新コンソーシアム)が開発したナレッジ・マネジメントのベストプラクティス。「Knowledge-Centered Service」の略。

より多くのお客様に品質の高いサービスを提供していく

この取り組みがスムーズに実現したのは、ServiceNow の CSM が KCS に準拠したフレームワークを備えているからであった。

「例えば ServiceNow の CSM には、『利用者がナレッジをどのように捉えているか?』といった傾向を数値化できる機能があります。そうした評価に基づいてナレッジの修正や追加・削除を行えば、ナレッジ記事の充実やヒット率の上昇を促すことができるのです。これは KCS の考え方に沿った改善活動であり、ServiceNow の CSM はその取り組みをしっかりサポートしてくれます」(織田氏)

JBS のカスタマーサポートセンターは、現在も KCS に沿ったナレッジ・マネジメントを継続的に推進しており、これによって問い合わせに対する回答を、適切かつスピーディに返せる体制づくりを進めている。

「カスタマーサポートの仕事は「サポート範囲を超えても極力ベストエフォートで対応しようとする」点がどうしても属人化しやすく、担当者によって問い合わせに対する答えにばらつきが出てしまいがちです。KCS に沿ったナレッジ・マネジメントの実践と属人化排除の運用を心がけることによって、対応のクオリティは平準化され、サービスへの信頼が一層高まります」と織田氏は語る。

このほか織田氏は、KCS に沿ったナレッジ・マネジメントの実践によって、カスタマーサポート担当者の業務効率が改善したことも評価している。

「KCS には、お客様からの問い合わせ内容のナレッジがなければ、すぐに作成・編集するというルールがあります。従来は受付時間の終了後にまとめてナレッジを作成していたので、どうしても残業が多くなりがちでしたが、ルールに沿ってやり方を変えたおかげで早く退社できるようになりました」(織田氏)

また、先ほども述べたように KCS ではユーザーの利用状況を評価しながらナレッジの修正や追加・削除を行うが、ServiceNow の CSM なら、その作業も容易だという。

「以前は、複数のツールにナレッジがばらばらに存在していただけでなく、どのナレッジがいつ、どのように修正や追加・削除されたのかを管理するのが大変でした。その点、ServiceNow の CSM は、すべてのナレッジに管理番号が付与されるので、管理の手間が大幅に省けます。ナレッジベースの精度が上がると同時に、省力化も実現できました」と織田氏は語る。

ServiceNow の CSM で実現したナレッジ・マネジメントによって、属人化が解消され、業務の効率化にもつながった。これにより、従来のカスタマーサポートとは一線を画す新しいカスタマーサポートとして、新たなビジネスが創出されるだろう。

JBS は、今後もより多くの企業に品質の高い IT 関連サービスを提供していく方針だ。岡本氏は「そのための基盤として、『ドメイン・セパレーション』という ServiceNow 独自の技術を利用し、数多くのお客様に、それぞれにカスタマイズされたサービスを、セキュアな状態で提供できる環境整備を進めています。また、ServiceNow のチャットボットについては、これから進む自然言語理解(NLU)への対応によって、まだまだサービスの質が向上すると期待しています。これからも JBS のサービス展開にぜひご期待ください」と語った。

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部長 岡本 健

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部長
岡本 健

データセンター運営企業を経て、2010年に JBS 入社。マネージドサービスセンターの責任者に就任。その後、ヘルプデスク、システム運用、運用設計の統括担当を兼務するとともにクラウド関連のサービス開発にも従事。

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部 カスタマーサポートセンター アシスタントマネージャー 織田 美樹

日本ビジネスシステムズ株式会社 サービス&サポート本部 カスタマーサポートセンター アシスタントマネージャー
織田 美樹

Sler で 2010年から Microsoft Business Productivity Online Suite(現:Microsoft Office 365)のシェアード型ヘルプデスクを専門とするサポートに従事し、2016年 JBS 入社。現在は JBS リモートサポートサービスデスクのリーダーを務める。

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