企業統合 IT インフラ構築事例

UBE三菱セメント株式会社

クラウドファーストと Fit to Standard を基本方針として掲げ新会社の事業開始に向けてゼロベースで IT インフラ環境を構築

企業統合 IT インフラ構築事例 UBE三菱セメント株式会社
業種 製造・ヘルスケア
テーマ
  • クラウド活用
  • セキュリティ
  • コラボレーション
製品パートナー マイクロソフト

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部長 国井 巌 氏

Microsoft 365 を中心にクラウドサービスを組み合わせ
ビジネスニーズに柔軟に対応できる基盤を迅速に構築

三菱マテリアル株式会社とUBE株式会社のそれぞれ 50% 出資により設立されたUBE三菱セメント株式会社(以下、UBE三菱セメント)は、2022年4月1日の営業開始に向けて IT インフラ環境をゼロベースで構築することを決定。クラウドファースト、Fit to Standard の方針のもと、ゼロベースで IT インフラ環境を構築。Microsoft 365 を中心に他製品を組み合わせつつ、セキュリティ強化、運用負荷軽減も目指した IT インフラの新規構築プロジェクトを JBS が支援しました。

【会社概要】
無限に進化し続けるグローバルカンパニーを目指す

UBE三菱セメントについてご紹介ください。

UBE三菱セメントは、三菱マテリアル株式会社ならびにUBE株式会社がそれぞれ 50% 出資し、2021年4月に設立された新会社です。両社のセメント事業および関連事業を統合し、2022年4月1日より営業を開始しました。

自らの使命を、ビル・橋梁・道路などの社会インフラの整備に向けた基礎素材の安心・安定供給と、循環型社会の発展に貢献することを通じて、人と地球の持続可能な未来を支え続けることと位置づけています。両社の長い歴史の中で培われてきた「挑戦とイノベーションの精神」と「卓越した技術の力」を融合し、大きく発展させることで、目指す姿の実現、さらなる成長に向け、全社一丸となって取り組んでいます。

【導入背景】
事業開始までの 14か月間での短期構築が絶対条件

今回、JBS が支援したシステムについて教えてください。

業務を支える IT インフラの構築および支援を今回 JBS にお願いしました。経営スピードの向上に貢献するとともに、急激に変化するビジネスニーズにも柔軟に対応できるビジネス基盤を目指したものです。

「クラウドファースト」と「Fit to Standard」を基本方針とし、Microsoft 365 を中心としたクラウドサービスを活用することでセキュリティ強化と運用負荷軽減を実現しました。

このインフラ構築における課題はどんな点にありましたか。

事業のスタートに合わせ、なんとしてもスケジュールを死守しなければならなかったことです。プロジェクトがスタートしたのは 2021年2月ですが、2022年4月1日までにインフラを完成させるとともに、その上に乗る業務システムが稼働していないと、事業を開始することができません。わずか 14か月しか猶予がなかった中で、絶対にこのプロジェクトをやり遂げなくてはなりませんでした。

そこで必然となったのが、前述したクラウドファーストのアプローチです。納期が最優先であり、クラウド活用以外の選択肢はありませんでした。

また、当社は三菱マテリアルとUBEのそれぞれ 50% 出資の会社であるため、あらゆる仕組みづくりに関して必ず両社の合意を得なければなりません。特にインフラに関してこの議論に費やす時間を短縮するためには「世の中の時流に合わせる」ことが肝要であり、もう 1つの基本方針である Fit to Standard を策定しました。

今回は既存のインフラを再構築するわけではなく、三菱マテリアルもしくはUBEどちらかのインフラに寄せるわけでもありません。まったく新規のインフラ構築です。その意味で過去のしがらみは一切なく、さまざまな課題を逆手にとって、思い切ったことにチャレンジできる側面もありました。

【構築プロセス】
フルリモートのプロジェクト進行によりスケジュール調整が効率化

JBS が構築したインフラについて、概要を教えてください。

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部 部長 国井 巌氏

UBE三菱セメント株式会社 情報システム部長
国井 巌 氏

ネットワークおよび Microsoft 365 を中心としたクラウドサービスの利用環境、セキュリティ、およびインフラ環境全般の運用設計まですべての領域をカバーする IT インフラ構築を JBS にお任せしました。

なお、インフラより上のレイヤーは別ベンダーの担当領域となりますが、その部分に、SAP ソリューションを中心とした基幹業務システムを実装しています。今後はさらにその上の階層に、DX 推進のためのさまざまな差別化アプリケーションを実装していきます。

インフラ構築はどのような形で進められましたか。

コロナ禍ということもあり、ミーティングのほぼすべてがリモートで進められましたが、対面とは異なるデメリットを感じることはありませんでした。

むしろリモートだからこそ、メンバーのスケジュール調整などに手を煩わされることもなく、決められた時間内で必ず結論を出すなど、効率的かつスピーディに意思決定を進めることができました。こうしたスケジュール管理や合意形成の点でも JBS がスムーズにプロジェクトをリードしてくれました。

【選定理由】
Microsoft 365 に関する知見とプロジェクトマネージャーのファシリテーション能力を評価

JBS にインフラの構築および支援を任せるに至った経緯を教えてください。

一意的には、Microsoft 365 に関して豊富な実績と卓越した知見を持っていたことから JBS を選定しました。ただし、JBS と同等の技術力を持ったベンダーが他になかったわけではありません。それでも JBS を選定した決め手となったのは、人的な能力の高さです。

今回のプロジェクトが非常にタイトなスケジュールであること、フルリモートで進めなければならないこと、合議制で進めなければならないことなどは最初からわかっていたので、私たちとしてはこれらの条件に最も柔軟に対応してくれるベンダーを求めていました。JBS の営業やプロジェクトマネージャーとのさまざまな質疑応答から見えてきたのが、その優れたファシリテーション能力で、JBS と手を組むのが最適と判断しました。

【導入効果】
安定稼働を続けている IT インフラ環境に満足

完成したインフラはどんな効果をもたらしていますか。

予定どおりにインフラが完成したことで基幹業務システムも無事に稼働し、2022年4月1日の営業開始(Day 1)を迎えられたことが最大の成果です。

インフラは安定稼働して当たり前であり、どうしても減点主義で評価せざるを得ないのですが、これまで重大なトラブルを起こしておらず、ユーザーからもほとんどクレームはありません。その意味で、JBS に構築してもらったインフラには非常に満足しています。

【今後の展望】
プロジェクトの第2フェーズとしてグローバル展開を推進

今後に向けたインフラの拡張予定を教えてください。

現在プロジェクトの第2フェーズ(Day 2)として、インフラおよび基幹業務システムのグルーバル展開を進めている過程にあります。また、先にも少し述べたように、セメント事業の DX 推進に資する差別化アプリケーションとして、AI を活用したデータ分析や IoT などのシステムを実装していくことになります。

これらはいずれもインフラとも深く関係しており、クラウドのさらなる“使いこなし”が求められるため、JBS には継続的なご支援をお願いしています。

【JBS への評価】
スコープの拡大にも柔軟に対応

JBS に対する評価をお聞かせください。

集合写真

JBS にはインフラ構築を任せ、それより上の階層は別ベンダーの担当となると述べましたが、実際にはこの 2つの領域は明確に切り分けられるわけではありません。アプリケーションベンダーからの要求を満たしたインスタンスの立ち上げやネットワーク接続、セキュリティ対策やバックアップの確保など、開発・テスト環境や実行環境をクラウド上に構築する作業は、インフラ側の担当となります。たとえば SAP ソリューションを利用するにあたっては、SAP のクラウド環境と Microsoft Azure 環境を連携させなければならず、SAP のドイツ側の技術者にも問い合わせながら多くの技術的な課題を解決する必要がありました。

結果としてインフラ側での担当スコープがどんどん広がっていったのですが、JBS のメンバーは次々に発生する課題にも真摯に応えてくれました。こうした JBS の貢献があったからこそ、今回のプロジェクトを成功させることができました。

JBS 担当者コメント

製造・流通本部 アカウントエグゼクティブ 松原 一馬

今回のような大規模な IT インフラ環境をわずか 14か月で構築するプロジェクトは、私たちにとっても初めての経験であり、本当にできるのか懸念を抱きながらスタートしたのも事実です。しかし、ゼロベースで新規構築するインフラでは、過去の遺産に引きずられることなく、新会社のあるべき姿を求めて思い切った判断を下していける良さもありました。そうした方針を国井様が打ち出し、合意形成をフォローするなど、私たちがファシリテートしやすい環境を築いていただけたことが、今回のプロジェクトの最大の成功要因であると考えています。

製造・流通本部 アカウントエグゼクティブ
松原 一馬

ソリューションアーキテクト本部 プロジェクトマネジメント部 部長 山野辺 邦彦

アプリケーション側のエンジニアは、機能や仕組みについては熟知していますが、新会社における利用シーンについてはあまり把握しきれていない部分もあり、そこを私たちインフラ側でフォローすることになりました。結果として、JBS 担当スコープがどんどん広がることになりましたが、今後のセメント事業の DX 推進を支えるインフラを実現するという観点から、これは不可欠の取り組みでもありました。Day 1 までのプロジェクトを通じて学ばせていただいたお客さま業務に関する知見を生かし、今後のシステムのグローバル展開や差別化アプリケーションの実装を進めていければと思っております。

ソリューションアーキテクト本部 プロジェクトマネジメント部 部長
山野辺 邦彦

UBE三菱セメント株式会社

代表者:代表取締役社長 小山 誠、代表取締役副社長 平野 和人
本社所在地:東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング
設立:2021年4月14日
資本金:502億5000万円(2022年4月現在)
従業員数:連結 8,000人以上、単体 2,000人以上
事業概要:国内・海外(米国ほか)のセメント事業および生コンクリート事業、石灰石資源事業、環境エネルギー関連事業(石炭事業、電力事業、環境リサイクル事業)、建材事業その他関連事業等

2023.01.13公開

この画面のトップへ